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あなたの会社の採用要件は、5年前と同じことを書いていないでしょうか。もし同じなら、その会社はまだ5年前の仕事を売っているのかもしれません2026年7月、Business Insiderが、Googleがソフトウェアエンジニアの面接からコードを書く試験を外し、代わりに既存コードを読み解くラウンドを導入する方針だと報じました(https://www.businessinsider.com/software-engineering-job-technical-interviews-hiring-ai-2026-7)。しかもその場では、会社が承認したAIアシスタントの使用が許可されます。適性検査の実施は2024年以降54倍に急増し、GitLabの調査では85%の回答者が、開発の詰まりどころはコードを書く工程からレビューと検証の工程へ移ったと答えています。評価されるものが、作る力から疑う力へ移り始めているのです。
Googleが面接でコードを書く試験を外す意味
2026年7月、Business Insiderが報じたニュースが業界を揺らしています。Googleがソフトウェアエンジニアの面接でコードを書く試験を廃止し、代わりにcode comprehension(コード理解力)ラウンドを導入する方針を打ち出しました。候補者は既存コードをレビューし、バグを見つけ、デバッグし、性能を最適化します。しかも会社承認のAIアシスタントの使用が許可されます。LeetCode型の問題を速く解く時代は、最大手のGoogleから終わりを告げられました。
code comprehensionラウンドの中身
動いているのはGoogleだけではありません。DropboxやCiscoも候補者にAIをどう使っているかを質問し始め、採用担当者はGitHubやXでproof of work(実際の仕事の痕跡)を探しています。Mitch Ashley氏の分析によれば、適性検査は2024年以降54倍に急増しました。構文よりも適性が優先されるようになったというわけです。HackerRankはAIが技術面接を壊したと公言し、評価対象はAIエージェントをいかに指揮できるかに移行しているとしています。
85%が認めたボトルネックの移行
GitLabが2026年6月にThe Harris Pollと実施した調査(開発者・技術購買担当1,528名、6カ国)は、この変化を数字で裏づけます。91%が2つ以上のAIコーディングツールを稼働させ、78%がコード産出の高速化を実感する一方、85%がボトルネックはコードを書くことからレビュー・検証へ移ったと回答しました。個々の開発者は生産的になったのに、ソフトウェア納品プロセス全体は比例して加速していません。ECI Researchはこれをツールの問題ではなくシステムの問題だと評しています。
面接の逆選抜:正直者が落ちる構造
62%の禁止と半数超の違反
面接の課題がレビューと判断力に移ったことは分かりました。では、その新しい力を測る面接はちゃんと機能しているのでしょうか。答えはノーです。Karatの調査(エンジニアリーダー400名、米国・インド・中国)によれば、62%の組織が技術面接でのAI使用を依然として禁止しています。ところが、そのリーダー自身が候補者の半数超が隠れて使っていると推計しているのです。HackerRankでは盗用検知で60%にフラグが立ち、コーディングテストでのAI使用を認める開発者は50%を超えます。
この2つの数字を並べた瞬間、現在の技術面接が選別しているものが見えてきます。能力ではなく、ルールを破る意思の有無です。正直にAIを使わなかった候補者が落ち、隠して使いこなした候補者が受かる。これは能力の選抜ではなく、逆選抜です。
GoogleのAI解禁は降参のサイン
この文脈で見れば、GoogleがAI使用を解禁する方針は寛大さではなく降参と読めます。国際比較でもAI使用の許可率は米国38%に対し中国68%と、約2倍の差があります。禁止の実効性そのものが世界的に争点になっているのです。守られないルールは、ルールを守る人だけを罰します。自社の採用選考も人事考課も、全員がAIを使う前提で設計し直す必要があります。放置すれば、正直な社員を静かに罰し続けるという最悪の意思決定になりかねません。
増えた仕事は全部シニアの仕事だった
消えたのは新人の入口だけ
AIがコードを書いてくれるから未経験でもエンジニアになりやすくなった。この通説は誤りです。仕事は減っていません。むしろ増えています。レビュー、検証、判断、ガバナンス(統制の仕組み)。AIが生成した分だけ、下流の工数が膨らんだのです。ただし増えた分はすべてシニアの仕事でした。GitLabの調査では43%が、AI生成コードと人間が書いたコードを確実に見分けられないと答えています。その正しさを判断するのはシニアの領域です。
一方で、新人が最初に任される書く仕事だけが自動化されました。AIは仕事を上の階へ移し、1階を取り壊したようなものです。入口が消えて、いきなり2階から始めろと言われている。Cornell大学とHBRの研究では、新人はジュニア社員を指導するようにAIツールの作業を監督する役割だと位置づけられています。Cornell大学Johnson SchoolのVishal Gaur学部長は、情報を生み出すことの価値が下がり、情報が正確かどうかを判断することの価値が上がったと指摘します。
自信と実力の21ポイントの乖離
しかもこの構造を、企業自身が把握できていません。GitLabの調査では87%が、AIコードが本番障害の原因か24時間以内に判定できると答えました。ところが実際に障害を経験した組織の34%は判定できていません。自己評価と実力の間に21ポイントの乖離があるわけです。ECI Researchは、特定できないものをトリアージ(優先順位づけ)することはできないと警告します。
決定打は数字にあります。生成AIへの投資を増やす企業は40%。一方、IT人材の採用を増やす企業は23%にとどまります。AIが書いて人がレビューすると言いながら、レビューする人を増やしていないのです。この差が、いま現場の誰かの残業になっています。
求人票は最も正直な未来予測
今回の話はエンジニアの採用面接から始まりましたが、構造はあらゆる職種に通じます。AIに作らせた分だけ、誰かが検算しているのです。提案書、議事録、見積もり。黙って直している人の工数は、多くの場合KPIに計上されていません。心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
AIに任せる工程を決めるとき、その能力はどこで育てるのかを先に答える必要があります。答えのないまま自動化した工程は、そのまま将来の採用要件になって自社に返ってきます。Googleの面接変更が教えてくれるのは、採用要件はその会社が持っている最も正直な未来予測だということです。
91%の企業が12カ月以内にAIコードガバナンスツールへ投資する予定ですが、ツールを入れただけでは解決しません。検証できる人を育てる仕組みを同時に設計しなければ、数年後にレビューできる中堅がいないという形で跳ね返ってきます。速度の時代は終わりました。GitLabのManav Khurana氏が言うとおり、制御なき速度は資産ではなく負債なのです。
まとめ
第一に、技術面接の評価軸はコードを書く速さから、AIが出したコードを読み解き、検証し、判断する力へ移りました。Googleのcode comprehensionラウンド導入と、85%が認めたボトルネックの移行は、同じ現象の表と裏です。
第二に、62%の組織がAI使用を禁止しながら半数超の候補者が隠れて使っているという現状は、能力ではなくルール違反への態度を選別する逆選抜を生んでいます。禁止が守られないなら、ルールの側を作り直すしかありません。
第三に、AIが増やした仕事はレビューと検証、つまりシニアの仕事でした。それなのに生成AIへの投資は40%、人材採用の拡大は23%です。育成の空白を放置すれば、数年後に検証できる人がいないという形で必ず表面化します。
自社の求人票を読み返してみてください。5年前と同じ要件が並んでいるなら、その会社はまだ5年前の仕事を売っているのかもしれません。AIに任せる工程を決めるときは、その能力をどこで育てるのかを必ずセットで考える。それが、いま管理職に求められている最も現実的な仕事です。
参考情報
- Software engineering job technical interviews are changing because of AI (https://www.businessinsider.com/software-engineering-job-technical-interviews-hiring-ai-2026-7)
- GitLab Research Reveals Organizations Are Generating AI Code Faster Than They Can Control It (https://ir.gitlab.com/news/news-details/2026/GitLab-Research-Reveals-Organizations-Are-Generating-AI-Code-Faster-Than-They-Can-Control-It/default.aspx)
- Research: AI Is Changing What Employers Want from New Hires(Harvard Business Review) (https://hbr.org/2026/07/research-ai-is-changing-what-employers-want-from-new-hires)
- Engineering Interview Trends 2026(Karat) (https://karat.com/engineering-interview-trends-2026/)
- How AI Is Transforming Software Engineering Hiring(Mitch Ashley) (https://www.linkedin.com/pulse/ai-transforming-software-engineering-hiring-mitch-ashley-sorsc/)
この記事を書いた人
ビッグテック最前線.com / 編集部
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