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Editor Team

今回は、コンバージョン率を高めるためにはどんな施策があるのか、どんな指標・KPIをトラックして改善すればいいのか、についてお話します。ランディングページ(LP)の重要性や、直帰率やユーザーのつまづきポイントの把握といった日本では見落とされがちなCROポイントも解説します。

コンバージョン率最適化(CRO)の優先順位

コンバージョン率を最適化するための施策には様々なものがあります。CROの前提として、Webサイトの課題や問題点の仮説を、データとしてテスト実証することから始めましょう。最初はCROのために、どんなページや要素をテストすべきかよくわからない時は、シンプルにコンバージョン率最適化に取り組むのも大事なことです。

たとえば単純に、訪問者の数が多いページに対して、導入が簡単なテストを実施するのも一つの方法です。データが多いページほどテスト結果が早く出るので、短い期間で施策効果を予測できます。最初はシンプルに分析データの多いページからCROに取り組んでもいいと思います。

コンバージョン率最適化(CRO)への6施策

それでは、CROを実現するための6つの代表的な施策をピックアップして、それぞれについて解説していきましょう。

1. LPO(Landing Page Optimization)= ランディングページ最適化

ユーザーが最初に訪問するランディングページ(LP)の構造やデザイン、文字コンテンツを分析し、改善する施策です。

2. CTA(Call To Action)= クリックアクションの改善

ユーザーがアクションするボタンの色やテキストを最適化して、ユーザーがよりクリック(コンバージョン)しやすくします。

3. Creative Optimization = クリエイティブの最適化

Webページのクリエイティブを改善する施策です。写真イメージに男性、女性どちらを起用するのか、ビルと森のどちらをバックにするのかなど、ターゲットにマッチしたデザインにします。

4. Form Optimization = フォームの最適化

ユーザーがデータ入力する際に、長いフォームフォーマットにするのか短いフォーマットにするのか。もしくは短いフォームを違うページに分けて最後に送信するのかなど、コンバージョンのしやすさからフォームを改善します。

5. Conversion Step Optimization = コンバージョン・ステップの最適化

コンバージョンに至るまでの導線やユーザーエクスペリエンスを改善する施策です。7ページあった長尺ページを2ページにして離脱率を下げるなど、ユーザーがつまづいているポイントを取り払うことで、どのくらいコンバージョン率が改善するかをテストします。

6. Technical Improvements = テクニカル部分の改善

サーバー環境やコードレベルなど、クリエイティブ部分以外のテクニカルな要素を改善します。エラー解消やサイトレスポンスを上げることなどで、コンバージョン率を高める施策です。

CROは、ランディングページ(LP)から

ユーザーが直接訪問するランディングページ(LP)の改善は、まず取り組むべき施策です。ユーザー目線で見ると、訪問したサイトで一番重要なページは、トラフィックが多いページではなく、一番最初にブランドに触れるページだからです。ユーザーとの最初のタッチポイントであるLPの中で、最も勝たなければいけないページを改善することで、目に見える効果を上げられる場合があります。

LPはお店の入り口なので、入り口が汚かったりするとユーザーは入りません。まずはWebサイトにいっぱいある、どのお店の入り口をきれいにオシャレにするか、という点が大切です。

次に、選んだLPのどの部分を優先するかが問題になります。スクロールなしに表示されるページ上部のAbove the fold(アバブ ザ フォールド)の領域と、スクロールしてから見える下の領域ではプライオリティが違います。

ただし、サイトのプロダクトやサービスによっては、コンバージョンのボタンがページ下部にあってもいい場合もあります。ユーザーにきちんとコンテンツを読んで、内容を消化してからアクションを起こしてほしいという狙いがあるかもしれません。要は、LPO(ランディングページ最適化)でも、サイトの目的に応じて改善ポイントが違ってくるということです。

最重要KPIは「直帰率」

直帰率(Bounce Rate)とは、直接ページを訪れたユーザーがそのページだけで離脱してしまった割合です。

サイトの内部指数から直帰率を割り出し、改善することでCROで大きな影響が得られます。100万UU(ユニークユーザー数)のあるページの直帰率が50%から40%に下がれば、大きなインパクトになります。

CROでの最重要KPIとして直帰率(Bounce Rate)に注目する理由を述べます。一番重要なのは、1ページの直帰率改善の経験と学びから、サイト全体に適用できる価値あるナレッジが得られることです。

あるページの直帰率を10%減らす目標を立てた時、実現するためには何回ものテストが必要になってくるはずです。どういう要素が直帰率に影響を与えているのかを学んでいくことで、数字を動かせるマーケティング力が身につき、サイト全体の直帰率を10%減らすことも可能になるかもしれません。

Case1:9割の顧客が直帰するディスプレイ広告は継続すべきか?

直帰率は、人がWebサイトに入ってすぐに出ていった割合なので、原因を探らない手はありません。例えば、ディスプレイ広告を打って直帰率が90%だった場合、その広告を続ける意味があるのでしょうか?

「9割のお金をドブに捨てているも同じなのですぐに止めるべき」となります。そこでマーケターとして勇気を出してストップをかけられるのか、上司からの命令で成功しなきゃいけないと意地を張るのか、ビジネスセンスが問われます。

Case2:オーダーしない客ばかりのカフェにおける広告の意味

カフェの経営者が100万円で広告を出して、たくさんお客さんが来たけれど、9割は何もオーダーせずに帰った場合。オーナーはその広告を2度と打つことはないでしょう。

直帰率で問題点を把握して「なぜ?」をテストで追求する。このテストから得るWHYのインサイトが、直帰率がKPIとしてマーケターに重要な理由なのです。

コンバージョン率最適化(CRO)で監視したい6つの指標・KPI

コンバージョン率最適化のための6つの施策を紹介しましたが、それぞれに見るべき指標・KPIも異なりきます。CROで押さえておきたい6つの代表的なKPIをピックアップして解説しましょう。

1. 直帰率(Bounce Rate)

直帰率とは、直接ページを訪れたユーザーがそのページだけでサイトを離脱してしまった割合です。直帰率改善の学びと経験から得られるナレッジから、CROでの重要なKPIと位置づけています。

2. LPのトラフィック(Landing Page Traffic)

LPはユーザーが最初に訪れるページのアクセス数です。CROを実施するLPを選ぶ際、トラフィックの多いLPを選ぶことは重要です。

3. ユニークビジター数(Unique Visitors)

ユニークビジター数は、セッションに関係なく、特定の期間にWebサイトに訪れたユーザーの数です。ユニークビジター数も、コンバージョンレートの比較テストに必要なサンプル数の指標となります。

4. ゴール・成果の設定(Conversions)

コンバージョンレート最適化のゴールはケースによって様々なので、目標を明確に立てることが重要です。

5. 地域とデモグラフィックデータ(Geo/Demographic Data)

ジオグラフィックデータの地理的要因、デモグラフィックデータの人口統計学的属性でユーザーを把握する指標です。

6. ユーザーのつまづきポイント(Hesitation Data)

実際にユーザーテストを行ったり、ヒートマップなどを使ってユーザーのつまづきポイントを把握することは、CROの大変重要な施策に繋がります。

コンバージョン率最適化(CRO)に必要なデータ量

コンバージョン率最適化のテストで、より正確な結果とスピードを得るにはデータのボリュームが必要です。よって、訪問者の多いページを把握して改善対象にするすることには大きな意味があります。トラフィックの多いLPの直帰率を改善するという施策に結びつけることもできます。

ユニークビジター数が100人しかいないページで、コンバージョン率を比較しても意味はないでしょう。訪問者の多いページでテストを行えば、1%でも十分なサンプルサイズが得られてすぐに結果がわかります。繰り返しますが、テストではデータボリュームが大切です。

コンバージョン率最適化(CRO)のゴール目標明確化

「コンバージョン=ゴール」は業界によっても違うでしょうし、テストによっても異なります。コンバージョンは、Eコマースでの購入だけではなく、商品バナーのクリック率を上げたり、ホームページから商品ページへの遷移率を上げるなど様々です。BtoBの場合、コンバージョンに結びつくのは数カ月先かもしれないので、リードジェネレーションに目標を設定すべきかもしれません。

目標設定から逆算して、KPIを考えることです。LPのトラフィックボリュームだけを見ても、意味がない場合があるかもしれません。CROの振り返りポイントととしても、「コンバージョン = ゴール」の目標設定は重要なのです。

地域とデモグラフィックを使って正しい仮説に導く

Google Analyticsなどのツールで、デモグラフィックから、ユーザーの性別、年齢でユーザー属性を解析するとします。その結果、Eコマースで女性向けの商品を販売しているのに、直帰率が高いのが20代の女性だと分かったら大問題です。

ジオグラフィックから、関東向けに売ってる商品ページに北海道からアクセスが多いとわかると、「何でだろう?」となりますよね。そういうギャップやデータポイントから仮説を立てて、クリエイティブを地方の人向けに都会的イメージにしたり、東京からのアクセスにはイメージをハワイの海にする等の施策が可能になります。

解析から得るセグメンテーションでテストするターゲットを変えることで、地域とデモグラフィックからより正しい仮説を導けるようになります。つまり良い仮説のためには、単にトラフィックを追うのではでなく、データのニュアンスを知ることが大切です。

ヒートマップでユーザーの「つまづきポイント」を把握

意外と抜け落ちがちなKPIが、ユーザーのつまづきポイント(Hesitation Data)データです。コンバージョンに繋がらなかった人が、どこでつまづいているのかというデータポイントを得ることです。

そのために必要なのが、Webサイト内のユーザーのイベント系のデータです。
例えば、

  • フォームで氏名やEメールは入力したが、チェックすべき項目にチェックを入れていない
  • クリックするボタンを押さずに先へ進めなくて離脱している

など。滞在時間が長いのにコンバージョンに繋がっていないのは、探しているものが見つからなかったり、どこかで迷っている可能性があるわけです。

ヒートマップを使うと、ユーザーのマウスオーバーやクリックのイベントが、赤や青にカラーリングされるので、ユーザーのつまづきポイントを把握するのに有効です。ヒートマップ機能があるツールには、スクロールの量や、レコーディングデータからビデオでユーザーの動きを見ることもできます。10〜20 のビデオを見て、コンバージョンに繋がった人と繋がらなかった人の動きを比較すれば、ある程度のパターンが見えてくるものです。

そういったユーザーイベントのインサイトから、つまづきポイントの仮説を立てテストすることで、コンバージョン率を高められるようになります。ヒートマップで、セグメンテーションしたユーザー属性によるイベントの違いを見ると、より深いインサイトが得られるかもしれません。

On-Page Surveys でユーザーの定性データを把握

Webページやサイトに、ユーザーの声を直接取得できるOn-Page SurveysやOn-Site Surveysを設置することで、ユーザーの定性データを把握できます。サイト内サーベイのポップアップで「あなたは何のためにサイトに来ましたか?」という質問から、「シャツを見に来ました」という人をセグメンテーションしてトラフィックを分析することが可能です。

シャツページのトラフィックではなく、ユーザーの意欲や動機に基づいた定性データに注目するわけです。そうすることで、トラフィックはジーンズページが一番大きいけれど、実はシャツページに問題があったことに気づけるかもしれません。Google Analyticsの定量データとサイト内サーベイの定性データを組み合わせることで、確度の高い仮説を立てられ、CROの優先度を意思決定できます。

コンバージョン率最適化(CRO)の施策とKPIのまとめ

コンバージョン率最適化を実現する施策では、お店の入り口となるLP最適化の重要性をお話しました。CROで見るべきKPIでは、直帰率改善による学びの重要性に注目、地域やデモグラフィックの定量データとサイト内サーベイの定性データの組み合わせ、ユーザーのつまづきポイントの把握の大切さについて述べてきました。

CROを成功させるためには、データのニュアンスやインサイトから、サイトの問題点や改善点のより確度の高い仮説を立てて、テストを通じてコツコツと実証していくことになります。

次回、A/Bテストなど具体的なテストの方法や、CROの優先要素を判断するフレームワークについて取り上げたいと思います。

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