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コンバージョン率最適化のためには、テストを通じて客観的なデータを得ることが必要です。どんな種類のテストがあって、どのようなケースにマッチするのかをご説明しましょう。Webサイトのどの要素を優先してテストすべきか、マーケターの判断を支援するCROフレームワークについてもご紹介します。

コンバージョン率最適化を導くための4つのテスト

ボタンの色などのWebサイトのクリエイティブな要素は、感覚で判断しがちです。きちんとテストを行うことで、主観ではなくデータに裏付けられた確かな仮説を導き出しましょう。以下では、コンバージョン率最適化のための代表的な4つのテストについて説明します。

1.「A/Bテスト」で同じページの2つの要素のコンバージョン率を比較

WebサイトのLPのコンバージョン率を最適化したい場合、A/Bテストを行うのが一般的です。

A/Bテストという名前の通り、同一URL上の2つの要素(変数)を、50%ずつのユーザーに分けてテストします。「コントロール」と呼ばれるオリジナル要素をAバージョンとした場合に、異なる要素のBバージョンと比較して、コンバージョン率がどう違ったかを比較します。AとBで、よりコンバージョン率が高かった要素をLPに採用します。

A/Bテストは、追跡される変数の数が少ないので大量のトラフィックを必要とせず、信頼できるデータを素早く取得できます。

2. 「多変量テスト(MVT)」で複数の変数・要素を比較する

同一ページ内で、複数の要素(変数)のコンバージョン率を比較するのが、多変量テスト(MVT:Multivariate Test)です。例えば、AとBの2つのバージョンのバナーと、異なる2つの説明文を組み合わせてテストする場合、A-1、A-2、B-1、B-2の4パターンのテストとなります。3つの要素の組み合わせなら、2×2×2の8パターンとなり、変数が増えるほどテストパターンが増大します。

このように、多変量テストでは、1つのテストのトラフィックがパターンの分だけ減るので、大量のトラフィックのあるページで行うことが必須となります。少ない変数で多変量テストを行い、その勝ち組でA/Bテストを行うという方法も良いでしょう。

多変量テストでは、要素の相互作用について多くのインサイトが得られます。コンバージョンのキーとなっている要素は何なのか、仮説を立てるためにも有効なテストです。

3. 「スプリットURLテスト」は別URL環境で行うテスト

スプリットURLテスト(Split URL Test) は、同一URLではなく、別URL環境で行うテストです。違うサイト構造やレイアウト、サーバー環境で、URL自体を50%ずつのユーザーに分けてテストを行います。ページ構成は同じでも、サーバーの反応速度をチューニングした結果、コンバージョン率が上がったなど、ページ要素以外のWebサイトの課題も見つけられます。

スプリットURLテストでは、別サブドメインでサイト構造を変えたテストが可能です。コンバージョンまでのステップを短くしたバージョンを試して、カゴ落ち改善に結びつけるといった施策に利用できます。

4. 「パーソナライゼーション」でユーザーをセグメンテーション

パーソナライゼーションは、最近A/Bテストツールに導入されている機能の1つです。サードパーティのデータを利用することで、ユーザーをセグメンテーションしてA/Bテストを行います。

流入元のサイトやユーザー動向に合わせて、別バージョンのコンテンツを表示して、コンバージョン率がどう違ったかを分析できます。同じトラフィックでも、ユーザーの環境要因やアクセスの背景は異なるかもしれません。パーソナライゼーションは、テストを行うにあたってのデータポイントとも言えます。

本来の意味でのパーソナライゼーションは、A/Bというテストの領域を超えて、ユーザーにマッチしたコンテンツを表示するというCRM (顧客関係性マネジメント:Customer Relationship Management) に属するものです。

サイトの定量データやサードパーティデータを使い、ユーザー属性に合わせたパーソナライゼーションで、特定のユーザーだけにコンテンツを表示させることが可能です。例えば、シャツページを見に来たユーザーのみに、ホームページで特別なプロモーションのオファーを提示するといったこともできます。

デジタルマーケティングにおけるパーソナライゼーションは、顧客エンゲージメントやロイヤルティを高めるための重要なアプローチと位置付けられています。

テストの優先要素を判断する3つのCROフレームワーク

CROフレームワークを使用すれば、WebサイトやLPで優先すべきテストを判断できます。代表的なフレームワークには、PIEスコア、PXLフレームワーク、ICEスコアの3つがあります。

米国における「A/Bテストでどういうフレームワークを使っているか」という300人のサーベイでは、PXL 12%、PIEスコア 10%、ICE 4%、自社内のフレームワーク 27%、何も使っていない 47% という結果でした。また、テストを数多く回しているマーケターほど、フレームワークを多用しているという結果も出ています。

1.KPI・基準を定めたテストのプライオリティが前提

パーソナライゼーションでの、コンテンツをどのようにユーザーに提供するのかというHOWの視点。何をもとに成果を見るのかという、テストに合わせたKPI。これらが、コンバージョン率最適化のプロセスとして大切になります。

テストツールの成果の入力では、売上に直結するKPIをはじめ、CTR (Click Through Rate)などが設定できます。CTRが上がったのにコンバージョン率が下がったなど、マーケターにとって有益な情報源となります。

次に、KPIを定めたテストのプライオリティを判断するための、3つのCROフレームワークについて紹介しましょう。

2.PIEスコア(Potential, Importance, Ease)

Potentialは、コンバージョンに近いページや要素などインパクトの大きさのスコア。Importanceは、ビジネス戦略上の重要性。Easeは、人材リソースの確保などのテスト導入の簡単さ。それぞれを1〜10でスコアリングし、3つの平均値を算出します。PIEスコアの高い要素を優先的にテストするという判断が可能です。

3.PXLフレームワーク(ConversionXLが開発)

PXLは、ConversionXLが開発したA/Bテストのための人気のフレームワークです。PXLでは、仮説に対して客観的なデータに基づく判断基準が求められます。ページの上部にある要素なのか、ユーザーが5秒以内に違いがわかるものか、要素を追加するか削除するのか、ユーザーのモチベーションを高めるものか、トラフィックの多いページなのかなどを、0か1でスコアリングします。信頼基準として、ユーザーテストや定性的フィードバックの結果把握されたデータなのかもスコアリングされます。

PIEスコアが評価者の主観による部分が大きいのに対し、PXLは判断ポイントが多岐に渡りますが、データドリブンなテスト優先基準という点で米国で人気のようです。

4.ICEスコア( Impact, Confidence/Cost, Ease )

PIEスコアと同様に、Impact(インパクトの大きさ)、Confidence(自信の割合)、Ease(導入の容易さ)という定性的な3つの基準から、1〜10でスコアリングして平均値を出すフレームワークです。ICEのバージョン2では、Confidenceの代わりにCost(費用)という指標が採用されています。

コンバージョン率最適化を導くテストとフレームワークのまとめ

シンプルなA/Bテストから、パーソナライゼーションを使った、より高度なテストとコンテンツのセグメンテーションも可能です。また、テストでは何をもとに成果を見るのかというKPIが前提となります。CROフレームワークの選定では、手軽に導入できるPIEスコアやICEスコアから始めて、データドリブンなPXLフレームワークに移行するのもいいかもしれません。

次回のエピソードでは、A/Bテストの対象を決める上でキーとなる、良質な仮説を立てるためのアプローチについて取り上げたいと思います。

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