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Meta Platformsが、Q3 2025で強力な決算結果を発表した。2025年10月29日に発表された決算説明会で、同社は総収益$512億(約7.68兆円)、前年同期比26%増加という好成績を報告した。同時に、AIインフラへの大規模投資戦略も明らかにされた。
市場予想を上回る収益成長
Q3 2025の総収益は$512億(約7.68兆円)、前年同期比26%増加(定額通貨ベースでは25%増加)となった。これは、市場予想を$18.3億上回る結果だ。
セグメント別売上分析
Family of Apps(ファミリーオブアプリ):$508億(前年比+26%)
ファミリーオブアプリは、Metaの収益の大部分を占めるセグメントだ。Q3の総収益は$508億(約7.62兆円)、前年同期比26%増加した。
広告収入:$501億(前年比+26%)
広告収入は$501億(約7.5兆円)、前年同期比26%増加(定額通貨ベースでは25%増加)となった。広告インプレッション数は14%増加し、広告単価は10%上昇した。これは、広告主の需要が高まっており、特にAIを活用した広告パフォーマンスの改善が需要を牽引していることを示している。
広告収入の成長は、AI推薦システムの改善と、エンドツーエンドでAIを活用した広告ツールの普及によるものだ。完全にエンドツーエンドでAIを活用した広告ツールを通じた年間売上高は$600億(約9兆円)を突破している。
その他収入:$6.9億(前年比+59%)
ファミリーオブアプリのその他収入は$6.9億(約1,035億円)、前年同期比59%増加した。WhatsApp有料メッセージング収益とMeta Verifiedサブスクリプションが成長を牽引している。WhatsAppは、ビジネス向けの有料メッセージングサービスを拡大しており、Meta Verifiedは認証済みアカウント向けのサブスクリプションサービスとして成長している。
Reality Labs:$4.7億(前年比+74%)
Reality LabsセグメントのQ3収益は$4.7億(約705億円)、前年同期比74%増加した。この成長は、主に2つの要因によるものだ。
Questヘッドセット
ホリデーシーズンに向けて小売パートナーがQuestヘッドセットを在庫として確保したことが、収益成長の一因となった。Quest 3Sヘッドセットが2024年第4四半期にローンチされたため、昨年の第3四半期には同様の利益がなかった。しかし、今年は小売パートナーが早期に在庫を確保したため、Q3の収益が大幅に増加した。
AIグラス
強力なAIグラス収益もQ3の収益成長に貢献している。新しいRay-Ban MetaグラスとOakley Meta Vanguardsは好調に売れており、特に新しいMeta Ray-Banディスプレイグラスは48時間以内に完売するなど、高い需要を示している。
税務費用:87%という異常な高さ
Q3の税務費用は87%と異常に高かった。これは、新しい米国税法(OBBBA:One Big Beautiful Bill Act)の下で使用を予定していない繰延税金資産の非現金削減による一時的な影響を受けたためだ。
この費用を除くと、税率は14%となり、純利益とEPSはそれぞれ$186億(約2.79兆円)と$7.25となった。実際の純利益は$27億(約405億円)、1株当たり$1.05となったが、これは一時的な税務費用による影響だ。
$30B債券発行計画
Metaは、最大$300億(約4.5兆円)の債券発行を計画している。これは、AI拡張に伴うコストの増加に対応するためだ。
AIインフラへの大規模投資:$70億〜$72億のCapEx
Metaは、2025年の資本支出(リース元本支払いを含む)を$70億〜$72億の範囲に設定した。これは、前回の見通し$66億〜$72億から上方修正されたものだ。Q3 2025単体では$19.4億(約2,910億円)の資本支出を計上し、サーバー、データセンター、ネットワークインフラへの投資が主な要因となった。
この投資規模は、MetaがAI開発とインフラ構築に本気で取り組んでいることを示している。単なる設備投資ではなく、スーパーインテリジェンス開発と既存事業の強化の両方を見据えた戦略的な投資だ。
2026年:さらに拡大する投資規模
2026年には、CapExのドル成長が2025年よりも「大幅に大きくなる」と予想されている。スーザン・リーCFOは「コンピュートニーズが前四半期の予想を含めて、意味のある形で拡大し続けていることが明らかになった」と説明している。
Metaは、自社インフラの構築とサードパーティクラウドプロバイダーとの契約の両方で、これらのニーズを満たすために積極的に投資する予定だ。これにより、2026年のCapExと費用計画にさらなる上昇圧力がかかると予想されている。
「コンピュート飢餓状態」という現実
ザッカーバーグCEOは、興味深い表現を使っている。「コア事業がコンピュート飢餓状態で運営されている」というのだ。これは、Metaの既存事業(Facebook、Instagram、広告事業など)が、利用可能なコンピュートリソースを上回る需要を持っていることを意味する。
つまり、Metaは現在、AI研究や新製品開発にリソースを優先的に配分しているため、既存事業に十分なコンピュートリソースを割り当てられていない状態なのだ。これは、MetaがAI投資を最優先事項として位置づけていることを示している。
2026年の費用増加要因
2026年の総費用は、2025年よりも「大幅に速い成長率」で増加すると予想されている。成長の主な要因は以下の通りだ。
- インフラコスト クラウド費用の増加と減価償却費が主な要因となる。データセンターの拡張と、新たに構築されるインフラの減価償却が費用を押し上げる。
- 従業員報酬コスト 2025年を通じて採用された従業員、特にAI人材の報酬が2026年にはフルイヤーで計上される。また、優先領域での技術人材の追加採用も予定されている。
戦略的パートナーシップ:Blue Owlとの合弁事業
Metaは、Blue Owlとの合弁事業を通じて、ルイジアナ州のデータセンターを共同開発する戦略的パートナーシップを確立した。これは、外部資本提供者とパートナーシップを結び、将来のキャパシティニーズをサポートするための長期的なオプション価値を提供する方法でデータセンターを共同開発することを可能にするソリューションだ。
この合弁事業により、Metaは資本効率を高めながら、将来のコンピュートニーズに対する柔軟性を確保している。データセンターの建設コストの一部を外部資本で賄うことで、自社の資本を他の優先事項に振り向けることができる。
投資の合理性:ROIの観点
ザッカーバーグCEOは、この大規模投資の合理性についても説明している。Metaは、これまで「積極的な仮定」に基づいてインフラを構築してきたが、常に「より多くのコンピュートを使用できる需要」があり、特にコア事業では「非常に収益性の高い方法」で活用できると述べている。
つまり、この投資は、スーパーインテリジェンス研究や新製品開発に使われない場合でも、既存事業の強化に活用でき、収益性が高いということだ。最悪のケースでも、数年分のインフラを事前に構築したことになり、減価償却の損失はあるものの、時間をかけて活用していくことができる。
Andromedaアップデート:広告システムの根本的再構築
Metaは、2024年後半から段階的に導入し、2025年10月頃に世界中のアカウントへの展開を完了した「Andromeda(アンドロメダ)アップデート」により、広告配信システムを根本的に再構築した。これは、AIを活用した広告配信アルゴリズムの大型アップデートであり、高度にカスタマイズされたディープニューラルネットワークを使用して、低遅延で高スループットの広告マッチングを実現している。
従来の「特定の興味・関心層を細かくターゲティングする」手法から、「多様なクリエイティブ(広告素材)をMetaのAIが個々のユーザーにマッチングさせて配信する」手法へとシフトした。この変更により、広告主は、これまで以上に多様なクリエイティブを用意し、システムの自動化(Advantage+キャンペーンなど)を活用することが重要になった。
Andromedaアップデートは、Metaの広告エンジンがAI中心に進化していることを示すものであり、特に広告運用におけるクリエイティブの重要性を高める変化と言える。このような大規模なAIシステムの運用には、相当なコンピュートリソースが必要となる。Metaが「コンピュート飢餓状態」と表現した既存事業への需要の高さは、このようなAI駆動型の広告システムの拡大も一因となっている可能性がある。また、この投資が「非常に収益性の高い方法」で活用できるというザッカーバーグCEOの説明は、Andromedaアップデートのような既存事業へのAI投資の成功例を示唆しているとも解釈できる。
Q4 2025の見通し
Q4 2025の総収益見通しは$560億〜$590億(約8.4兆円〜8.85兆円)の範囲とされている。これは、前年同期比で継続的な強い広告収益成長が見込まれていることを示している。
一方、Reality Labsの収益は前年同期比で低下すると予想されている。これは、Quest 3Sが2024年第4四半期にローンチされたため、前年同期の収益が高かったことによる。しかし、AIグラス収益は前年同期比で大幅な成長が見込まれている。
財務戦略:長期的な柔軟性の確保
Metaは、長期的な柔軟性を確保するために、複数の方法で資本を調達している。債券発行に加えて、Blue Owlとの合弁事業を通じたデータセンター共同開発など、戦略的パートナーシップも確立している。
これらの戦略により、Metaは大規模なAI投資を行いながらも、財務的な柔軟性を維持している。2025年の資本支出$70億〜$72億、2026年にはさらに拡大する投資規模、そして$30B債券発行計画。これらすべてが、MetaのAI戦略を支える財務基盤となっている。
まとめ
MetaのQ3 2025決算結果は、同社がAI投資を加速させながらも、既存事業で堅調な成長を維持していることを示している。$512億の総収益、26%の成長率、$600億のAI広告システム。これらの数字は、MetaがAI戦略を成功させていることを示している。一方、$30B債券発行計画と$70億〜$72億のCapExは、今後の大規模なAI投資を支えるための資金調達戦略だ。2026年にはさらに拡大する投資規模は、MetaがAIの未来に本気で取り組んでいることを示している。「コンピュート飢餓状態」という表現が示すように、需要は供給を上回っており、積極的な投資が必要な状況だ。今後、Metaがどのようにこの投資を活用し、競争優位性を強化するのか、注目が集まっている。
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