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DAOの枠組みを活かしたプロジェクトを考えているものの、そもそもの作り方がわからない・・・。
そんなお悩みをお持ちではありませんでしょうか?
本記事では、DAOを作るために必要な情報をご紹介いたします。
- DAOの基本的な概念
- DAOを作るために必要なツール
- 作り方のステップ・バイ・ステップガイド
- 国内外の参考事例
- DAOが持つ可能性:GamefiやNFTとのシナジー
プロジェクトやビジネスにDAOを導入したい方はもちろん、DAOをより深く知りたいという方にも参考になる情報を提供いたします。組織づくりの未来を描くための一助とされてください。
この記事の目次
1. DAOの特徴
DAOは“Decentralized Autonomous Organization”の略で、直訳すると「分散型自律組織」を意味します。まず、DAOについての特徴を解説します。
1.1 DAOとは何か?
DAOとは、ブロックチェーン技術を活用して、コードによってプログラムされたルールに基づき運営される新しい形態の組織です。従来のように組織や企業が中央集権的に管理しません。
ルールの多くは、スマート・コントラクトというブロックチェーン上のプログラムで実行され、組織内の意思決定から資金管理、ルールの変更までが自律的に行われます。
1.2 Decentralized(分散型) と Centralized(中央集権)の違い
中央集権的な組織では、一つまたは少数の機関が全ての決定権を持ち、組織の管理・運営を行います。
対照的に、DAOでは権限と責任がトークンを持つメンバー間で分散されます。例えば、ガバナンストークンの保有者は投票を通じてDAOの方針に影響を及ぼすことができ、すべての決定はコミュニティによる合意形成に基づきます。
この分散化により、一元化された権限によるリスクが減少し、透明性と民主的な運営が実現されるのです。
1.3 DAOの歴史と重要性
DAOの概念は、イーサリアムが生まれた2015年ごろに形成され始めました。イーサリアム上で動作するスマート・コントラクトの機能により、初めてプログラムによる自律的な組織運営が可能となったのです。
最初の有名なDAOプロジェクトは、単に“The DAO”と呼ばれ、資金調達で大きな成功を収めています。一方で、セキュリティの問題も露呈し、この出来事は、DAOのセキュリティと法整備の重要性を世に示すものとなりました。
DAOはDeFi(分散型金融)、NFT、メタバースなど、さまざまなブロックチェーン応用分野において中心的な役割を担います。 メンバーにインセンティブを与え、活動を促進する新たな手法としても注目されているのです。
2. DAOの基本構造
実際にDAOを作成する前に、DAOの基本構造について見ていきましょう。
2.1 スマート・コントラクトとBlockchain(ブロックチェーン)
DAOを構築するための基盤技術には、ブロックチェーンとスマート・コントラクトが欠かせません。
ブロックチェーンは、暗号資産(仮想通貨)や、NFT、その他のデジタルアセットのトランザクションを記録するための分散型デジタル台帳であり、イーサリアムのようなチェーン上で動作します。
一方、スマート・コントラクトは、あらかじめ設定された条件が満たされた際に自動的に実行されるプログラムであり、ブロックチェーン上で動作します。
例えば、イーサリアム上では、これらのスマート・コントラクトを使用してDAOのルールを定義し、メンバーの投票権やガバナンスのプロセスの自動化ができます。これにより、中央集権的な管理者の介入なくして自律的な組織運営が可能になり、透明性を確保できるようになるでしょう。
2.2 DAOの基本的な構成要素: ガバナンストークン、投票権とガバナンスプロセス
DAOの中心となるのは、ガバナンストークン、投票権、そしてガバナンスプロセスです。
ガバナンストークンは、DAO内での投票権と直接関連し、DAOの重要な決定に対してメンバーが意思表示をする手段を提供します。
DAOの参加者(トークンホルダー)は、新しいプロジェクトの承認、資金の割り当て、ガバナンスルールの変更など、DAOの運営方針に直接影響を与えるでしょう。
トークンベースの投票システムにより、すべてのメンバーは透明性の高いプラットフォーム上で議論に参加し、提案を行えます。
3. DAOを始める前の準備
この章では、実際にDAOを始める前の準備について詳しく説明します。
3.1 必要なツール: Metamask(メタマスク)、Aragon(アラゴン)、Discord(ディスコード)
DAOを立ち上げる前に、ツールを準備する必要があります。大きくはインフラ系のツールとコミュニケーション系のツールがあります。
インフラ系のツール
①Metamask(メタマスク)
イーサリアムベースのDAOを管理するためのデジタルウォレットであるMetamaskをセットアップします。これにより、DAO参加に必要なトークンを保持し、スマート・コントラクトとのやり取りを可能にします。
②Aragon(アラゴン)
DAOの構造を設計し、ガバナンスのルールを定義するためのツールです。Aragonを利用すると、投票、資金配布、ガバナンストークンの発行などDAOの基本的な機能を実装できます。
コミュニケーション系のツール
③Discord(ディスコード)
2023年時点では、Discordが主に利用されています。コミュニケーションツールはDAOのフロントエンドとしてメンバー間のリアルタイムでのディスカッション、情報共有、投票のアナウンスなどを行うため、DAOの自律性と民主的な意思決定プロセスに不可欠です。
これらのツールは現在さまざまな開発が進んでいます。新しいツールも定期的にチェックしておきましょう。
3.2 仮想通貨とWallet(ウォレット): イーサリアム、トークン、仮想通貨
DAOの運営資金と、管理のためのWallet(ウォレット)を用意しましょう。
運営資金は、イーサリアムやその他のトークン、仮想通貨で管理するのが一般的です。これらの資産は、DAO内のプロジェクトへの投資、運営コストの支払い、メンバーへのインセンティブ配布などに使用されます。安全でアクセス可能なウォレットの準備は不可欠なのです。
Metamaskは最も一般的なイーサリアムウォレットの一つです。ブラウザ拡張機能やモバイルアプリを通じて、トークンの管理やトランザクションを行えます。
また、DAOの資金を保管・管理する際には、多くの場合、マルチシグウォレット(複数の承認者の署名が必要なウォレット)の使用が推奨されます。
この段階では、資金の安全性を最優先に考慮し、セキュリティ対策を講じることが重要です。スマート・コントラクトのセキュリティ監査や、ウォレットのバックアップとリカバリー方法の確立も、準備作業の一環となります。
ここまでの準備が整えば、DAOの基盤を形成でき、ガバナンス構造の設計、コミュニティの構築、運営方針の確立ができます。
4. DAOの作成ステップバイステップ
ここからは、DAOの立ち上げプロセスに具体的に焦点を当てていきます。
4.1 DAO基盤の構築: Aragonとスマート・コントラクト
DAOを構築する際の最初のステップは、Aragonなどのツールを使用して、強固な基盤を築くことです。Aragonを利用することで、スマート・コントラクトを駆使し、DAOの基本的な枠組みの利用ができます。
スマート・コントラクトは、いわゆる中央集権的な管理者の介入なく、自律的に運営される組織のルールやガバナンストークンの発行、投票権の配布などを実行します。
スマート・コントラクトを用いることで、DAOの特徴となるtransparent(透明性)を確保できます。意思決定に関わるトランザクションはブロックチェーン上で公開され、どの参加者も記録を検証できます。
イーサリアムやその他の仮想通貨を用いた資金調達や、NFTやDeFiプロジェクトとの連携も、この基盤の上でスムーズに展開ができるのです。
この段階で、DAOの目的や運営方針、分配されるトークンの種類や量、投票プロセスなどを決定し、それをスマート・コントラクトに組み込む必要があります。
Aragonはこれらのプロセスをユーザーにとって非常に使いやすい機能で提供しており、専門知識がないユーザーでもDAOを立ち上げることが可能です。
4.2 コミュニティの運営と管理: Discordでのコミュニケーションとメンバーの参加
DAOの鍵となるのは、そのメンバーです。DAOの意思決定プロセスにおいてメンバーは中心的役割を果たし、その活動は主にDiscordというコミュニケーションツール上で行われます。
Discordはリアルタイムコミュニケーションができるので、DAOメンバー間での議論、情報交換、そして重要な決定に至る投票活動が行えます。
まずはDiscordサーバーを設定し、初期メンバーに招待URLを発行します。特に初期メンバーに対しては、適切な役割や権限(パーミッション)を与えることで、組織のガバナンス構造を反映させます。その後どのようにメンバーを増やしていくかのルール作りも重要です。
また、ガバナンストークンを保有することで得られる投票権を通じて、DAO内のプロジェクトへの資金配布や方針の決定にメンバーが参加できます。
DAOの成功はメンバーのエンゲージメントに強く依存しており、透明性のある運営、民主的な意思決定プロセス、およびメンバーに対するインセンティブ設計は不可欠です。
定期的なミーティングを開催し、メンバー同士の関係を強化するとともに、DAO全体の目標に対するコミットメントを高めます。
こうした運営と管理の態勢が整うことで、DAOは自律的ながらも組織的な強さを持ち、多様なプロジェクトやコミュニティ活動を推進していく基盤を築くことができるでしょう。
4.3 投票管理システムの設定: Snapshot(スナップショット)と投票プロセス
DAOにおいて民主的な意思決定を実現するためには、効果的な投票管理システムが不可欠です。投票管理システムの設定について、Snapshot(スナップショット)と投票プロセスに焦点を当てて解説します。
Snapshot
ガバナンストークンを保有するメンバーが投票を行う際のデファクトスタンダードツールとして広く認知されています。
このプラットフォームを利用することで、メンバーはイーサリアムやその他の仮想通貨を保有しているウォレットから投票権を行使でき、その結果はブロックチェーンに記録されます。
Snapshotを使うメリットは、トランザクションの手数料が発生しない点です。投票にはガス代(イーサリアムにおいて発生する取引手数料)がかかりません。参加者は自らの意志をコストをかけずに表明できるため、より多くのメンバーが議論に参加しやすくなるでしょう。
投票プロセス
投票プロセスは、提案された議題に対して、メンバーが自らのトークン量に応じた投票権を行使します。このシステムは透明性が高く、投票結果はリアルタイムで公開されるため、すべてのメンバーが結果を確認できます。
4.4 資金管理とDeFiの統合: 資金調達と資産管理
資金管理はDAOの運営において核となる部分です。DAOで発行するトークンと暗号資産を連動させる場合は、DeFiプラットフォームの統合により、DAOは従来の金融システムに依存せず資金を調達し、運用できます。
例えば、MakerDAOのようなDeFiプロトコルは、暗号資産を担保にステーブルコインを発行することで、価値の安定した資金調達を実現します。
DAOの資産管理はスマート・コントラクトを通じて自動化され、資産の移動や投資はメンバーの投票によって決定されます。これにより、資金の透明性とメンバー間の信頼性が確保されます。
さらに、Uniswap(ユニスワップ)やその他の分散型取引所(DEX)を利用することで、DAO内で発行されたトークンの流動性を高め、外部投資家にとって魅力的な投資対象になるでしょう。
DAOがDeFiプラットフォームと連携すれば、資金のステーキングやレンディングプラットフォームへの参加など、より複雑な金融活動の参画が可能です。
活動を通じて得られるインセンティブは、メンバーの参加を促すと同時に、DAOの財政的な自立性と持続可能性を高める重要な要素です。
5. DAOの成功例と参考事例
DAOの運営において、成功例と参考事例に焦点を当てて解説します。
5.1 既存のDAO組織の事例紹介: MakerDAO(メーカーダオ)、Ninja DAO(ニンジャダオ)、Colony(コロニー)、Aave(アーベ)
既存のDAO組織の参考事例を4つ紹介します。
MakerDAO
MakerDAOは、デンマークの起業家ルーン・クリステセン氏が発案。ステーブルコインDAIを発行・管理するDAOプロジェクトです。ガバナンストークンであるMKRを1MKR=1票としてガバナンスを行います。DAIの価格を安定させたり、MakerDAOの今後の方針を決めたりする仕組みです。
NinjaDAO
Ninja DAOは、日本最大級のDAO組織で、CryptoNinjaをメインキャラクターとしています。2021年9月にDiscord上での人気インフルエンサー、イケハヤ氏が創設したDAO組織。DAO内では、CryptoNinjaを用いたYouTubeコンテンツの開発、メタバースのゲーム開発、小説、漫画などさまざまなプロジェクトを行っています。
Colony
Colonyはクラウドソーシングの会社で、フリーランスで働く世界中の人々が、オンラインにて会社やプロジェクトごとに協力して働く仕組みです。Colony内の通貨として独自のトークンがあり、デザインやプログラミングなどの作業の対価として支払われます。また、Colonyはオープンなマーケットでトークンを現金と取引できます。
Aave
Aaveはイーサリアムやポリゴンなど複数のブロックチェーン上のDeFiのレンディングプラットフォームです。金融機関の仲介がなくても、ユーザー同士で仮想通貨の貸し借りができます。Aaveガバナンスはプロジェクトの変更だけでなく、プロトコル上に構築される新規プロジェクトや、アイデアに資金提供をする投票も行います。また、他では見られない「信用委任システム」や「フラッシュローン」といったサービスの導入をしています。
5.2 DAOの成功要因とインセンティブ設計の分析
DAOを成功に導くためには多くの因子が必要です。特にインセンティブ設計は、メンバーの参加と活動を促進し続ける大きな動機となり、重要な役割を果たします。
インセンティブは、ガバナンストークンの配布、ステーキング報酬、トランザクション手数料の割引など、多岐にわたります。メンバーにDAOへの貢献を動機付け、長期的なコミュニティの健全性を維持するために設計されています。
ガバナンストークンの保有は、投票権と密接に結びついており、意思決定プロセスに直接影響を与えます。メンバーは自らの意見がDAOの運営方針に反映されることを実感するため、より積極的な参加につながるでしょう。
イーサリアムや他のブロックチェーンを使用してスマート・コントラクトを発行することで、インセンティブの配布は自動的かつ透明性を持って実施されます。
また、Defiやステーキングなどの仕組みを取り入れ、資金調達や資産管理を行いながらメンバーに対するインセンティブを生成できます。例えば、資金をプールしてレンディングプラットフォームで利子を稼げることや、取引所での流動性提供を通じて手数料収入を得られるなどです。
分散型の特性を生かした透明性の高いインセンティブ設計は、参加者が組織の目標に沿った行動をとるよう促すだけでなく、外部からの新たな参加者や投資家に対してもDAOの価値を明確に伝えられます。
これは、メタバースやGameFiなどの新しいブロックチェーンベースのエコシステムへの参加者を引き付けるためにも重要です。
インセンティブ設計は柔軟に、進化し続けるべきものです。市場の変動やコミュニティの成長に伴い、インセンティブのパラメーターは定期的に再評価され、必要に応じて調整されるべきです。DAOの成功は、その持続可能な経済モデルと、コミュニティメンバーが感じる参加の価値に大きく左右されます。
6. DAOに参加する方法
DAOに参加する方法や、コミュニティの探し方や参加要件についても確認しましょう。
6.1 既存のDAOに参加するプロセスと参加者の権利
既存のDAOに参加する一般的なプロセスは、まず関心のあるDAOを見つけ、そのコミュニティに参加し、DAOのガバナンストークンを取得することです。
ガバナンストークンの保有は、DAO内での投票権を与え、意思決定プロセスに参加する権利を持つことを意味します。例えば、MakerDAOやAragonといったプラットフォームでは、ガバナンストークンを持つことにより、DAOの運営方針に対する投票に参加できます。
参加者は自分の持つトークンの量に応じて、議論に参加し、提案を行います。また、投票を通じてDAOの未来を形成する権利を持ちます。これは、中央集権的な組織では見られない、透明性と自律性の高い意思決定のプロセスです。
6.2 DAOコミュニティの探し方と参加要件
DAOコミュニティの探し方と参加要件は次の通りです。
DAOコミュニティの探し方
DiscordやTelegramといったチャットアプリケーション、または専用のフォーラムを介して活動します。プラットフォームは参加者が情報交換を行い、DAOの活動について議論を行う場所です。仮想通貨取引所や特化したウェブサイト、そしてCryptoNinjaやCoincheckといった日本語の情報サイトを利用してDAOコミュニティを探します。
DAOコミュニティの参加要件
参加要件はDAOによって異なります。一般的にはMetamaskやCoinbase Walletといった暗号通貨ウォレットを介して、イーサリアムや他の通貨でトークンを購入し、DAOに投資することが始めの一歩となります。
特定のDAOでは、資金調達への参加やコミュニティ活動への寄与など、参加者がある一定のタスクを達成する必要がある場合もあります。
7. DAO運営の注意点とリスク管理
DAOの運営には注意点やリスクもあります。事前に確認しましょう。
7.1 意思決定のプロセスと透明性
DAOの運営において最も重要な要素の一つは意思決定のプロセスです。DAOはその名の通り「分散型自律組織」であり、意思決定はガバナンストークンを持つメンバーの投票で行われるため、どうしても時間がかかってしまいます。
このプロセスはブロックチェーンによって透明性を持ち、スマート・コントラクトにより自動的に実行されることが一般的です。AragonやDAOstackなどのツール・プラットフォームを利用することで、これらのプロセスを容易に設計・実行できます。
意思決定の透明性はコミュニティに信頼をもたらしますが、同時にDAOの運営方針や重要な決定に対する全メンバーの合意形成が必要です。投票の前には広範囲にわたる議論や情報共有が不可欠になるため、DiscordやSnapshotなどのツールを使用したコミュニケーションを図ります。
7.2 リスク管理と法整備の重要性
DAOを運営する際には、詐欺やハッキング行為等により大きな資金損失に繋がる可能性があるため、リスク管理と法整備の両方に注意を払う必要があります。
一度ブロックチェーンにデプロイされたスマート・コントラクトは修正ができず、スマート・コントラクトのバグやセキュリティの脆弱性の改善が困難です。MakerDAOのような大規模なプロジェクトでもこれらのリスクは常に存在し、適切なセキュリティ監査とリスク評価が必須です。
また、DAOは新しいタイプの組織であるため、多くの国での法整備は追いついていません。法的な枠組みが未成熟な中での運営は、参加者の資産や権利を保護する上で曖昧さを残すことになります。
現時点ではDAOの法的地位は国によって異なり、税務や責任の問題が発生する可能性があります。そのため、DAOの創設者や管理者は、最新の法律に基づいた適切な法整備を進め、必要に応じて法的アドバイスを求めることが重要です。
DAOはautonomous(自律性)とdecentralized(分散型)の原則に基づいていますが、これらの原則は同時にその運営を複雑にさせます。意思決定のプロセスを透明に保ち、リスク管理に十分な注意を払い、進化し続ける法的環境に対応するためには、創設者とメンバーの間で継続的な対話と教育が不可欠です。
DAOは未来の組織形態を担う可能性を秘めていますが、その潜在能力を最大限に発揮するためには、これらの注意点に留意しながら慎重に運営を進めなくてはなりません。
8. DAOの成長と拡大
DAOが目指すのは分散型の運営体制を構築することだけではなく、自律的なコミュニティの成長と拡大にもあります。詳しく見ていきましょう。
8.1 コミュニティ拡大の戦略とGameFi(ゲームファイ)
コミュニティのエンゲージメントを高めるために、GameFiの概念が重要な役割を果たします。
GameFiとはゲームとDeFiを組み合わせたもので、プレイヤーがゲーム内で仮想通貨やトークンを稼げるシステムです。ゲームの楽しさと同時に経済的インセンティブの提供が、参加者のモチベーションを高め、DAOへの参加を促します。
獲得したトークンは、DAO内での投票権や意思決定権として使用されることがあります。ゲームをプレイするだけでなく、メンバーがDAOの運営方針やプロジェクトの資金調達に直接影響力を持てるようになるため、エンゲージメントの促進が期待できます。
また、ゲームという形はブロックチェーンやDAOに慣れていない層にもアピールしやすく、その結果コミュニティの拡大に寄与するでしょう。
8.2 NFT(非代替可能トークン)とDAO: 新しい可能性
NFTの登場は、DAOにとって新たな拡大のチャンスです。NFTは一意のデジタル資産であり、芸術作品からゲーム内アイテム、デジタル不動産まで幅広い分野に適用されます。特に、メタバースや「Decentraland(ディセントラランド)」などの仮想空間における土地や建物といったNFTは、DAOに新たな資産としての価値をもたらし、組織の資産ポートフォリオを拡大します。
NFTを使用すれば権利やメンバーシップの証明ができるため、DAOコミュニティ内で特定の権利を持つメンバーを作り出せます。例えば、特定のNFTの保有をガバナンストークンとすることで、DAO内での議論や意思決定に参加する権限を付与できます。
また、NFTは特定のプロジェクトやイベントに関する限定アイテムとしての役割も担い、これを通じてコミュニティ内外の関心を引き、新たなメンバーや資金をDAOに呼び込める可能性があります。
CoincheckやBitpointのような取引所が提供するNFTマーケットプレイスを利用すれば、NFTの発行や取引を通じて外部との経済的なつながりを構築できます。
GameFiの戦略的な活用とNFTとの組み合わせにより、DAOはコミュニティを拡大し、その組織の価値を高めることができるでしょう。
9. DAOの今後の展望
今後、DAOが進歩に伴い、期待できることについて確認しておきましょう。
9.1 DAOの未来: Metaverse(メタバース)との連携
メタバースという用語は、現実世界を超越した仮想空間における経済や社会活動の集合体を指します。このデジタルフロンティアにおいて、DAOは中核的な役割を果たすことが予想されます。
イーサリアムやポリゴンなどのブロックチェーンテクノロジーに基づいたDAOは、メタバース内での資産の管理、ガバナンストークンを通じた意思決定、スマート・コントラクトによる自律的な取引実行という形で、分散型の経済システムを実現しています。
DAOとメタバースの連携により、コミュニティはDecentralandのようなプラットフォームで不動産を購入し、仮想空間内でのビジネスやイベントを開催できます。DAOはメタバース内の自治組織として影響力を持つようになり、メンバーはDAOの運営に参加しながらデジタルネイティブなライフスタイルを享受できるでしょう。
9.2 DAOテクノロジーの進歩と日本における法的枠組み
DAOが技術的に進歩している一方で、日本を含む多くの国々では法的枠組みが追いついていないのが現状です。例えば、組織としての法人格の有無やトークン保有者の法的責任などに対処する必要があります。
日本においてもスマート・コントラクトやデジタル通貨は認知されつつあるものの、現時点では、実際のビジネスに統合されるための法的な指針はまだ確立されていません。しかし、仮想通貨交換業者やレンディングプラットフォームが登場したことで、DeFiやDAOに関する法的な議論が進められています。
今後、日本で暗号資産やブロックチェーン技術を利用したプロジェクトに対するインセンティブ設計を含めた法整備が進むことで、DAOの正式な運営やコミュニティによる分散型の意思決定が、より透明性と安全性を持って行われることが期待されます。
また、BitpointやCoincheckといった取引所がDAOのプロジェクトに関わることで、国内での暗号資産の流動性と認知が高まり、DAOの概念が一般に受け入れられる日も近いかもしれません。
DAOは単なる仮想通貨のコミュニティから、実際のビジネスモデルや組織運営のモデルとしての可能性を広げていくでしょう。メタバースとの連携や法的な基盤の整備によって、DAOは我々の社会にとって欠かせない存在になり得るのです。
10. まとめ
DAOは、新しい形態のデジタル参加と自律性を提供し、分散型の未来に向けた革新的な一歩です。プログラミングの知識や資金がなくても誰でも作れます。
自らの資産を運用しながら、同時に組織の運営に直接的に関与できる仕組みです。まだ課題も多くありますが、今後世の中を変えていく存在となるでしょう。
DAOに興味を持っている方は、この記事を参考にして、ぜひご自身で作ってみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
Web3のいろは.com / 編集部
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