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ビジネスの成長のために、マーケティングに力を入れたい。
社内にマーケターがおらず自力で取り組む必要があるので、基礎から学びたい。
自社でも取り組めるマーケティング手法があるのか知りたい。
そのような方に、本記事ではBtoBマーケティングとは何か、BtoBマーケティングの手法の選び方について解説いたします。
- BtoBマーケティングの基礎知識(BtoCとの比較、購買プロセス)
- BtoBマーケティング手法の具体例
- 他部門との連携で成果を最大化する方法
- 効率化のために有用なツール
- マーケティング戦略策定の手順
- BtoBの成功事例
マーケティングにこれから力を入れていきたいとお考えの方は、ぜひ本記事を課題解決にお役立てください。
この記事の目次
BtoBマーケティングの定義と役割
BtoBマーケティングとは、企業間取引のマーケティングを指します。つまり、企業が企業に対して商品やサービスを提供することに特化したマーケティングです。
自社製品やサービスの特性を深く理解した上で、ターゲット企業のニーズや課題を解決するソリューションを提供し、長期的な信頼関係を構築することが求められます。
BtoCマーケティングとの違い
BtoCは一般消費者をターゲットに製品やサービスを訴求し、購買行動を促します。対してBtoBは、ビジネスを行う企業を対象としています。したがって、以下のような特徴の違いがあります。
BtoBでは、短期的に目を引くキャンペーンや広告よりも、中長期的にコツコツと信頼を積み重ねるような手法が効果的な傾向にあります。
BtoBマーケティング手法の最新トレンド
BtoBマーケティング領域にもトレンドがあります。ここでは、最新の手法を2つご紹介します。
デジタルマーケティング
デジタルマーケティングは、オンラインプラットフォームやソーシャルメディアを利用したマーケティング手法です。
テレアポや飛び込みの営業が主流の、デジタル化される前の時代とは異なり、多様なチャネルでターゲットと接点を持てるのがメリットです。また、集めた情報からデータ分析を行い、顧客の行動理解や戦略立案に活かす企業も増えています。
マーケティングや営業に多くのリソースを割けない小規模事業者こそ、デジタルマーケティングは積極的に導入すべきでしょう。
アカウントベースドマーケティング(ABM)
アカウントベースドマーケティング(ABM)は、特定のターゲット企業(アカウント)に焦点をあてた戦略です。
広範囲の潜在顧客に対するアプローチではなく、ターゲットに合わせた戦略を展開するのが特徴です。
絞り込んだターゲットに合わせてマーケティング手法を最適化できるため、無駄な広告費の削減や顧客のエンゲージメント向上が期待できます。
BtoBのマーケティング・プロセス
BtoBのマーケティング・プロセスは、主に以下の5つのステップから成り立っています。
リードジェネレーション(Lead Generation)
見込み顧客(リード)の新規獲得を目的としたステップで、「リード獲得」とも言います。
認知を広げ、購買の見込みがあるターゲット層と接点を持ち、集客することを目指します。ニーズが顕在化されている層へのアプローチだけでなく、潜在ニーズの掘り起こしも行います。
- ウェビナーや展示会への出展
- ホワイトペーパーなどのコンテンツで関心をひく
- オウンドメディアを運営し、流入を図る
- 広告出稿で認知を獲得する など
リーチできたリードの情報は顧客データベースへと追加し、購買を促していきます。
リードナーチャリング(Lead Nurturing)
リードナーチャリングとは、リード(見込み顧客)が購買に至るプロセスを支援することです。「リード育成」とも言います。
リードの興味や行動に合わせた情報を発信し、信頼の構築と購買意欲の促進を行います。
- メルマガで定期的に情報提供
- ウェビナーやセミナーで教育機会を提供
- 製品への理解が深まるようなコンテンツの配信 など
マーケティングオートメーション(MA)ツールなどを導入すれば、パーソナライズされたメールマガジンやコンテンツの自動配信も可能です。
リードクオリフィケーション(Lead Qualification)
リードクオリフィケーションは、リードナーチャリングによって育成したリード(見込み顧客)が商談に進むべきかを評価するステップです。「リード選別」とも言います。
リードスコアリングという手法を用いて、リードの購買意欲や製品への関心度を評価します。高スコア、つまり購買確度が高いリード(ホットリード)のみが営業部門に引き渡され、商談へと進みます。
商談・受注
営業部門がリードに接触し、製品やサービスの価値を具体的に説明します。その結果、顧客が製品やサービスを購入し、受注に至ります。
商談時や案件獲得後に営業部門が顧客にヒアリングした情報があれば、マーケティング部門にも共有する体制が必要です。
継続利用
受注した製品やサービスが継続的に利用されるようにすることで、LTV(ライフタイムバリュー=顧客生涯価値)の向上を目指します。
具体的には、フォローアップや顧客サポートを行い良好な関係を作り出すことで、長期的に顧客満足度を維持することが必要です。
BtoBマーケティング手法:リードジェネレーション
BtoBマーケティングの第一ステップである、リードジェネレーションについて詳しくご説明します。リードジェネレーションは、ターゲット層と接点を持ち、コミュニケーションを取れるようにする段階です。
広報部門とマーケティング部門が分かれている企業の場合は、部門間の連携も必要になってきます。
Webサイトの活用
Webサイトは潜在顧客との非常に重要な接点です。
例えば、ターゲット顧客層の関心をひく資料を用意して資料請求できるようにしたり、メルマガ登録、無料トライアルの申し込みフォームを設けたりと、訪問者がリードに変わるための複数のエントリーポイントを設けます。
特定のキャンペーンやサービスに焦点を当てたランディングページを制作し、訪問者を特定の行動に誘導することも有効です。
SEO対策
SEOとはSearch Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略です。Webサイトへの流入を増やすため、検索結果で上位表示されるようにサイト構造やコンテンツを最適化します。
BtoBマーケティングでは、SEO対策は必須の手法です。狙うキーワードで検索上位に表示されることで、ターゲット顧客に自社のことを認知してもらうこともできるからです。例えば顕在顧客(ホットリード)が検索しそうなキーワードで上位表示できれば、コンバージョン確度も高くなります。
また、インターネットの普及により顧客の購買行動が変化し、Webサイトなどで情報収集・比較検討を行ってから問い合わせに至ることが多くなりました。自社サイトで有益な情報を提供することで、信頼獲得・コンバージョンの促進にも繋がり、競合よりも優位になります。
SNSの活用
SNSは、顧客との接点を増やす有力な手段です。顧客のニーズや興味に合わせたコンテンツを提供することで、リードジェネレーションへ繋げることが可能です。また、SNSを通じた情報発信はブランドの認知度向上にもつながります。
ターゲット顧客である企業のアカウントにコメントやDMなど、積極的なコミュニケーションを取ることも可能です。
一口にSNSといってもX(Twitter)、Facebook、LinkdIn、Instagramなどさまざまなプラットフォームがあります。リソースが十分でない場合は、ターゲット顧客となる企業がアカウントを持っているプラットフォームを見極め、運用するとよいでしょう。
オウンドメディア・コンテンツの活用(記事・動画・音声)
コンテンツマーケティングは、ターゲット顧客に対して価値のある良質な情報を提供し続けることで、自社について徐々に認知やエンゲージメントを高めるという手法です。
専門的なトピックを深掘りしたオウンドメディアは、ニッチなターゲットに刺さりやすく、信頼の獲得に繋がります。また、潜在顧客のニーズの顕在化にも役立ちます。
近年は、企業にも誠実性や社会へ果たす役割などが求められる傾向にあります。自社が大切にする価値観や「らしさ」を顧客・社会へ伝える手段として、オウンドメディアは有効な手段と言えるでしょう。
動画や音声コンテンツであれば通勤中などにも視聴できるため、ターゲット顧客との日常的なタッチポイントを作ることもできます。
BtoBはBtoCと異なり、必ずしも大きなPV数・再生回数を追い求める必要はありません。自社のターゲットのニーズに応える情報を発信し、「届けたい層へ、着実に届けること」が最も重要です。
オンライン広告
Web上の広告媒体に表示させるオンライン広告には、いくつか種類があります。
リスティング広告(検索連動型広告)
リスティング広告は、検索エンジンの検索結果ページ(SERP)に表示される広告です。
例えばGoogleの場合、検索結果のページ上部などに、「スポンサー」表示のある情報が表示されることがありますが、これがリスティング広告です。
特定の検索キーワードに合わせて入札形式で広告出稿します。ターゲット指向性が高いのが特徴です。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリ上に表示される視覚的な広告です。
バナー広告、動画広告など様々な形式があります。ターゲットユーザーのデモグラフィックや興味・関心に基づいて配信されることが多く、ブランド認知度の向上や製品の視覚的魅力を伝えるのに効果的です。
また、過去に自社WEBサイトを訪れたり、自社の広告をクリックしたことのあるターゲット顧客に対して、再度広告を表示させる「リターゲティング広告」という手法もあります。ターゲット顧客に自社のことを想起させる効果があります。
SNS広告
SNS上に表示される広告は、ターゲティング機能を活用してレコメンドとして表示させることで、具体的なペルソナ(訴求対象)を狙い撃ちすることができます。
企業が抱える課題やニーズにマッチした情報を届けることで、リード獲得に繋げます。
記事広告(タイアップ広告)
Webメディアに記事の体裁で掲載する広告です。ただ宣伝するだけでなく情報提供も可能で、さまざまなチャネルからの流入も期待できるため、潜在顧客への訴求にも有効です。
オフライン広告
オフライン広告とは、テレビやラジオ、新聞など、インターネットを使用しない広告のことです。
マス広告(TVCM・ラジオCM・新聞広告・雑誌広告)
マス広告は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのマスメディアを通じて不特定多数のオーディエンスに打つ広告です。
広範囲な顧客への認知拡大と、印象的な広告文を打てればブランドイメージ形成に役立つ反面、リード獲得へ直接的に結びつきにくいのが難点です。また、広告費が高額になりやすいため、運用には注意が必要です。
さらに、ターゲットを絞った広告に比べると効果判定が難しいという側面もあります。
交通広告
交通広告は、公共交通機関(バス、電車、地下鉄など)やその駅、空港、道路沿いなどで展開される広告です。
バスのラッピング広告や駅の看板、電車内の吊り広告などが含まれます。
不特定多数のオーディエンスにリーチすることができ、なおかつマス広告よりも限られた地域に出せるため、地域に密着した広告展開にも適しています。
記事広告
記事広告とは、業界紙やWEBサイト上で、記事のような形式で掲載する広告です。タイアップ広告とも言われます。
例えば、商品の使用レビューやインタビュー記事は、読者にとっては広告というよりも、読み物として受け入れられやすいというメリットがあります。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、業界や特定の分野のトレンドや最新の調査結果などを詳細にまとめた配布資料です。
ホワイトペーパーを提供する代わりに、会社名などの情報入力を求めることで、リード獲得につながります。 テーマや課題別に複数のホワイトペーパーを用意しておけば、リードがどの話題に関心を持っているかという情報も把握できます。
もちろん、ホワイトペーパーの質も重要です。顧客の課題解決に繋がる情報を提供することで、ターゲット顧客からの信頼獲得にもつながるでしょう。
深い専門知識を必要とする業界のBtoBマーケティングでは、非常に有効な手法です。
セミナー・ウェビナー
セミナーやウェビナー(オンラインで開催するセミナー)は、自社のサービスや商品に深い関心を持つリードと直接つながることができます。
ターゲットが関心のあるテーマで登壇者が有用な情報提供を行えば、ブランドへの信頼獲得が期待できます。
また、参加登録を求めることで、質の高い(購買意欲の高い)リードの情報を得ることが可能です。
オンラインで開催するウェビナーは地理的な制約が少ないため、広範囲のターゲットオーディエンスへリーチできます。一方、オフラインのセミナーは、直接対面でリードとやり取りできるというメリットがあります。
展示会
展示会への出展は、対面でのコミュニケーションがとれるのが大きなメリットです。
さらに、展示会のテーマに関心のある企業担当者が集まるため、短時間で多くのターゲット顧客と出会えます。
多くの企業や来場者に対して、製品やサービスを直接紹介できますし、対面でニーズを聞けるチャンスです。名刺交換で顧客情報を獲得したりすることも可能です。
また、競合他社の製品や業界のトレンドを把握する良い機会でもあります。
テレアポ
テレアポは、ターゲット顧客に直接電話をかけ、商談のアポイントメントを取る手法で、電話営業ともいいます。
テレアポで成果を得るためには、電話での案内の流れをまとめたトークスクリプトが重要になります。しっかりと練られたトークスクリプトがあれば、アルバイトや代行業者に任せることも可能です。
短時間で多くのアプローチができ、人件費と電話代のみで、比較的低コストで実施できます。
テレアポと近しい用語に、テレマーケティングがあります。テレマーケティングでは、新サービスなどの案内をしたり、顧客ニーズのヒアリングが目的となります。
BtoBマーケティング手法:リードナーチャリング
リードを育成するステップである、リードナーチャリングについて詳しくご説明します。
メールマーケティング
メールマーケティングは、その名の通りメールを用いてターゲットにアプローチする手法です。以下の3つに分類できます。
- ダイレクトメール(DM)
- メールマガジン(メルマガ)
- ステップメール
DM
ダイレクトメール(DM)は、特定のリードに対して直接情報を送付する手法です。
メールやSNSを利用したオンラインでのDMもありますが、手紙・カタログ・パンフレットのような紙の媒体を郵送したり、FAXで送ったりというアナログなDMで、存在感をアピールするケースもあります。
メールマガジン(メルマガ)
メールマガジン(メルマガ)またはニュースレターは、電子メールを通じて製品の最新情報や、リードが関心のあるトピックを配信する手法です。
メルマガが届いても、開封しないケースも多々あるため、開封率が重要になります。
自動化ツールにより、ターゲット顧客の属性や行動に応じてメール広告を配信するなど、内容をパーソナライズすることも可能です。
ステップメール
ステップメールは、事前に設定されたタイミングと条件に基づいて自動的に送信されるメールです。
リードの行動や反応をトリガーに送信されるため、リードの段階に合わせた情報提供が可能です。
例えば、ホワイトペーパーをダウンロードしたリードに対し、関連するトピックの情報提供を複数回に分けて行い、段階を踏んでナーチャリング(育成)するといった方法があります。
セミナー・ウェビナー
リードナーチャリングにおいても、セミナーやウェビナー・オンラインセミナーは有用です。
深い情報や専門的な知識を提供してリードを育成し、購買に至る可能性を高めます。
顧客のニーズや課題に対して適切な解決策を提示することで、信頼関係を築くことが重要です。
オウンドメディア・コンテンツの活用
オウンドメディアやコンテンツを通してブランドの価値観・世界観を表現することで、リードとの信頼関係構築に活用できます。
また、ニーズや課題の解決につながる情報を提供することで、購買意欲を後押しします。
施策を成果につなげる営業部門との連携
これまでご紹介した手法・施策の目的は、質の高いリードを集め、購買意欲を高めることにあります。最終的にはリードに対して営業活動を行い、売上に結びつける必要があります。
ここではマーケティングと営業部門との連携や、シナジー効果についてご紹介します。
インサイドセールスの重要性
近年、インサイドセールスの重要度が高まっています。
インサイドセールスとは、電話やメール、Zoomなどのリモート手段を用いてリードにアプローチし、商談を進める能動的な営業手法です。フィールドセールス(外回りの営業)とは異なり、オフィス内や特定の場所から営業活動を行うため、内勤スタッフのリソース活用が可能です。
この方法は、訪問費用を削減し、一人の営業員が同時に多数の顧客を担当できるため、費用対効果が高いとされています。
顧客とのやり取りや営業活動の記録は、成功も失敗もデータとして蓄積します。収集したデータと、顧客の生の声をマーケティング部門へフィードバックし、今後に活かすことも大切です。
CRM・SFAの活用
商談を効率化して営業成績を上げるために、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)やSFA(Sales Force Automation:営業支援ツール)の活用が不可欠です。
CRMは顧客情報を一元管理し、個々の顧客との接点履歴や商談進捗を確認できるシステムです。SFAは営業活動を自動化し、商談の効率化を図るツールです。
これらを活用することで、顧客一人ひとりに合わせた最適なアプローチを行い、商談のクロージングを目指します。
商談資料作成
効果的な商談資料を作成するためには、マーケティング部門・営業部門の連携が重要です。
リードの課題とニーズに合った提案ができる商談資料を作成するためには、これまでのマーケティング・プロセスでどのようなアプローチをとり、どのような反応があったのかを部門間で共有する必要があります。
BtoBマーケティング施策に活用できるツール
BtoBマーケティング施策に活用できる便利なツールを4つご紹介します。
マーケティングオートメーション(MA)ツール
MAツールは、マーケティングのDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現し、リードナーチャリングを効率的に行うためのツールです。
効率的なリード育成と購買行動への導線を作り出すことが可能です。
特にBtoBでは、購買までが中長期にわたり意思決定プロセスも複雑であるため、顧客管理機能により、状況を理解し適切なタイミングで接触することが重要です。
MAツールを使いこなせるようになれば、ナーチャリングのプロセスを自動化し、時間とリソースの節約に貢献します。
■MAの活用法
- ターゲット顧客の属性別アプローチ
- Eメールキャンペーンの配信管理
- オウンドメディア、コンテンツのアクセス数・CVR(コンバージョン率)分析
CMS
CMS(コンテンツ管理システム)は、企業が自社のウェブサイトの内容を、専門知識がなくても管理・更新できるように設計されたツールです。
各種コンテンツを管理・更新し、配信する手段を提供します。アクセス解析などの機能を持たせることも可能です。
オウンドメディアのコンテンツを充実させることで、潜在顧客の興味や関心を引きつけ、リードジェネレーションやナーチャリングを実現します。
■CMSの活用シーン
- ウェビナー
- ホワイトペーパー
- ブログ記事などのオウンドメディア
キーワード分析ツール
キーワード分析ツールは、マーケティングの中でも特にSEO(検索エンジン最適化)とSEM(検索エンジンマーケティング)において重要な役割を果たします。
キーワード分析ツールを使用することで、膨大なキーワードの中から関連性の高いキーワードを洗い出し、自社の商品やサービスがどのように検索エンジンで認知されているかを理解することができます。これにより、適切なキーワードを使用してコンテンツを作成し、SEOを強化することができます。
■キーワード分析ツールの活用シーン
- SEO対策
- オウンドメディア・コンテンツ
- デジタル広告
アンケートツール
アンケートツールは顧客の意見やフィードバックをアンケート調査により集めるのに役立つツールです。
アンケートにより、顧客のニーズや課題を深く理解するヒントを得ることが可能です。また、アンケートを通じて収集した情報は、商品開発やマーケティング戦略の改善に活用できます。
アンケートツールを活用することで、BtoB企業はより効果的なリードジェネレーションや顧客満足度向上策を立てることができます。
■アンケートツールの活用シーン
- セミナー・ウェビナー
- 展示会
- メールマーケティング
適切な手法を選ぶためのマーケティング戦略策定6ステップ
自社に合う適切なマーケティング手法を選択するためには、自社の課題を特定して戦略を立てる必要があります。ここでは、適切な手法を選ぶための戦略策定の進め方をご紹介します。
ステップ1: 市場調査と分析
戦略を立てるためには、まず自社の強みと課題を洗い出し、差別化できるポイントを見つける必要があります。はじめに、ターゲット市場と自社・他社の立ち位置を分析しましょう。
分析項目の具体例は以下の通りです。
- 市場:市場規模、成長性
- 自社:強みと弱み、市場内のポジション
- 競合他社:強みと弱み、市場内のポジション
- 外部要因:景気動向、規制、人口動態、トレンド
ステップ2: ターゲット顧客の特定(ペルソナ作成)
市場分析で得られた知見や既存の顧客データなどを分析し、主軸とするターゲット顧客層を明確化しましょう。
顧客分析を戦略立案に活かすための方法としては、ペルソナ(persona=理想の顧客像)作成があります。顧客の性格や社内での役職(社長などの役員か、部長などの管理職か、一般社員かなど)、よく利用するツールなど、行動パターンや習慣まで挙げることで具体的に想定しましょう。
また、商品を売る対象となるターゲット像はひとつではない場合がほとんどです。企業の特性やニーズに合わせてセグメンテーション(顧客分け)を行い、各セグメントに対する適切なマーケティング活動を計画します。
ステップ3: 目標設定
明確な目標、KGI(Key Goal Indicator: 重要目標達成指標)を設定します。目標のポイントは以下の通りです。
- 測定可能であること
- 達成が不可能なほど無理なゴールではないこと
- 課題の解決につながる目標であること
ステップ4: 戦略の策定
ここまで整理した情報をもとに、戦略を策定します。
ロジカルな戦略を策定するためのフレームワークには、マーケティングファネルやカスタマージャーニーマップなどがあります。
- マーケティングファネル:顧客が自社商品を認識してから、購入に至るまでのプロセスを図に表したもの。
- カスタマージャーニーマップ:ターゲット顧客がブランドを認知してから購入に至るまでのプロセスを可視化した図。
顧客と関係を深めていくフローの全体像を具体的にイメージすることで、それぞれのフェーズにおいてどの手法やチャネルを選択すべきかがより明確になります。
ステップ5: KPIの設定
戦略を策定できたら、次にKPI(Key Performance Indicator: 重要業績評価指標)を設定します。
KPIとは、最終的な目標値(KGI)を達成するために設定する、中間的な目標数値を表す用語です。
リードジェネレーションやナーチャリングの各ステップごとに、目標とする項目と数値を設定・管理することで、成果や課題を明確にできます。
例えば、以下のようなKPI指標が考えられます。
- リード数
- 商談数
- 成約率
- CPA(顧客獲得単価)
- ROI(投資収益率)
- 解約率
最終的なゴールだけでなく、マイルストーンとなる小目標も設定しましょう。(例:商談数が親KPIだとしたら、子KPIとして問い合わせ数やランディングページへのアクセス数などを設定する)
ステップ6: 効果測定とPDCAサイクルの継続
KPIを設定したら、達成目標から逆算して具体的なアクションプランに分解しましょう。
日々の施策実行管理には、PDCAサイクルが有用です。PDCAとは、プロセスをP(Plan: 計画)、D(Do: 実行)、C(Check: 測定・評価)、A(Action: 改善)というサイクルに分け、細かく振り返りながら軌道修正できるようにする手法です。
定期的に効果測定を行い、達成できていない場合は原因を検討して適切な改善を実施するなど、継続してPDCAサイクルを回す仕組みを作りましょう。
BtoBマーケティングの成功事例
ここではBtoBマーケティングの成功事例を2件ご紹介します。
1:株式会社マネーフォワード
画像出典:株式会社マネーフォワード
株式会社マネーフォワードは、法人向けに請求書管理や債権管理などのバックオフィスSaaSを提供しています。デジタルマーケティングに力をいれることで、自社Webサイトで月間100万PVを達成しました。
本記事でも紹介したリードジェネレーションの手法を取り入れることで、成果を上げています。
- SEO対策:年間約300本の記事を作成。経営者や個人事業主などに向けて、バックオフィス効率化に役立つコンテンツを発信。結果として年間サイト訪問者数が2.5倍に増加。
- ホワイトペーパー:WEBメディア内にホワイトペーパーへの導線を作成。ホワイトペーパーのダウンロードのためにメールアドレスを必須とすることで、リードの情報を収集可能にした。
参照:リード獲得数を4倍にしたマネーフォワード流SEOの裏側と成果
2:株式会社村田製作所
画像出典:株式会社村田製作所
株式会社村田製作所は、社内のプロモーション活動が連携できておらず、購入プロセスがつながっていないという課題を抱えていました。
しかし、MAツールの「Adobe Marketo Engage」の導入によりリードナーチャリングを実現し、成果につなげました。
具体的な取り組みは以下の通りです。
- 顧客情報のデータベース化
- 営業部門との連携プロセスの整備
- 育成されたリードの絞り込み
参照:Adobe Experience Cloud|Adobe Marketo Engage導入後の取り組み
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自社に合った手法でBtoBマーケティングを成功させよう
BtoBマーケティングの手法は多岐にわたります。
本記事でご紹介した手法全てを取り入れるのは難しいかもしれません。
大切なことは、手法を比較検討し、自社の業種やビジネスモデル、リソースなどに合った手法を見つけ出すことです。
自社に教科書となるようなノウハウがない、工数を考えると戦略立案に注力できる人材が確保できない、などの場合は、伴走してくれる外部のコンサルティング会社にコンサルタントを依頼する方法もあります。
実践した施策の効果を検証し、マーケティング部門と営業部門でパートナーとなるよう連携を推進しながら、PDCAサイクルを回し目標達成を目指しましょう。