なかなか自社の認知度が上がらなくて悩んでいる。どうやって知ってもらえばいいのかわからない。

勘任せではない、戦略的な「売れる仕組みづくり」に取り組みたい。

これからマーケティングに力を入れたいけど、どこから手をつければいいかわからない。

そのような方に、BtoBマーケティングについての基礎知識や戦略立案の進め方をわかりやすく解説いたします。

  • BtoCの違いから見たBtoBマーケティング戦略の特徴
  • BtoBの購買プロセス
  • 主な施策や戦略実行のお役立ちツール
  • 事例に学ぶ、BtoBマーケティング成功の法則

いくら素晴らしい商品があっても、適切な人に届かなければ売上が上がることはありません。基礎から学びたい駆け出しマーケターはもちろん、自社のマーケティング戦略を見直したい経営者の方も、ぜひ本記事をご一読ください。

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BtoBマーケティングの基礎

まず、BtoBマーケティングとは何か、BtoCのマーケティングとの違いなど、BtoBマーケティングの基礎や用語なども確認していきましょう。

BtoBマーケティングの定義と役割

BtoBマーケティングとは、企業間のマーケティングを指します。

その主な役割は、企業間取引における顧客の認知・興味・評価・購買に至るまでのプロセスを管理し、コミュニケーションをとり続け、最終的には商談や受注に繋げることです。

また、マーケティングと混同されやすい「セールス」ですが、商品やサービスを販売して利益を得るという目的は同じです。異なるのは、マーケティングは「売れるしくみ作り」、セールスは「売ること」です。

現代マーケティングの父:フィリップ・コトラー氏は、マーケティングとは『ニーズに応えて利益を上げること』と言及しています。あくまでも視点は企業側ではなく、市場・顧客側にあるのです。

参考:https://www.tdb.co.jp/knowledge/marketing/01.html

BtoBとBtoCのマーケティングの違いと特徴

BtoBマーケティングとBtoCマーケティングではターゲット層が異なります。BtoBは企業、BtoCは一般消費者がターゲットです。

また、BtoBでは長い購買サイクルと複数の意思決定者が関与する点BtoCでは一人の消費者が個人の判断で購入する点が主な違いとなります。業態や商材によっても異なりますが、BtoBの場合、購買決定までに平均で半年〜1年程度かかります。

BtoBとBtoCのマーケティングの違いを確認しておきましょう。

  BtoB BtoC
ターゲットとなる顧客 法人(企業・団体・事業者) 個人(一般消費者)
利用者(意思決定者) 購入者と異なる場合がある

(組織・部署のトップ社内などで複数人の許可が必要)

購入者と同じ

(取引を行う個人)

判断基準 費用対効果(合理的) 個人の趣向(感情的)
取引・検討期間・購入サイクル 長い(稟議プロセスが複雑、数カ月~1年) 短い(即決~数日)
取り扱う商品 完成品、完成品に必要な原料・素材・機械・部品・ツール 完成品
単価 高額 少額

BtoBマーケティングを取り巻く変化

デジタル化の進行により、企業間の情報収集・商談がオフラインからオンラインへと移行しました。BtoBマーケティングのあり方にも大きな影響があり、デジタルマーケティングやマーケティングオートメーションへの注力が進んでいます。

また、従来と異なり、問い合わせや商談前に、顧客がある程度の情報収集をできるようになりました。

デジタル時代のマーケティングは、オンライン・オフライン問わずさまざまなチャネルからターゲットとの接点を持ち、新たな顧客やビジネスパートナーに対して適切な情報提供を行わなくてはなりません。どこでターゲットに見つけてもらうか、またはどのように信頼関係を構築していくべきかを考えるのがマーケティング戦略です。

マーケティングオートメーション(MA)は、顧客獲得から商談などマーケティング活動を自動化するツールです。これまでの対面営業型から変化し、マーケティングと営業を連動させることで効率化できます。

導入前に、自社の販売方法(直接販売、間接販売)、リード件数、営業体制、顧客の行動プロセス、戦略的実行に役立つツールの連携方法などを検討し、システム化する範囲と運用体制を決めましょう。

BtoBマーケティングの購買プロセス

ターゲットが購買に至るまでのプロセスは、複雑で多段階にわたります。一連のマーケティング・プロセスを理解し、各段階に合わせた戦略を立てることが成功の鍵です。

5つの購買プロセスとフローを確認しましょう。

  • リードジェネレーション(リード獲得)
  • リードナーチャリング(リード育成)
  • リードクオリフィケーション(リード選別)
  • 営業活動、商談
  • 購買

1. リードジェネレーション

リードジェネレーション(Lead Generation:リード獲得)は、潜在的な見込み顧客(リード)を獲得するプロセスです。

オンラインであればWebサイトやコンテンツマーケティングの活用、オフラインであれば展示会への出展、セミナー、テレアポなどの接点を通じて、自社の商品やサービスに関心を持つ可能性がある企業や個人を特定します。

ターゲット市場を明確にし、そのニーズや悩みに合致する価値あるコンテンツ提供や情報発信が重要です。

(具体例)

  • 業界関連のキーワードをターゲットにしたブログ記事を定期的に公開し、検索からの流入を増やす。
  • 専門分野の知識を共有するウェビナーを開催し、参加登録時に連絡先情報を収集する。

2. リードナーチャリング

リードナーチャリング(Lead Nurturing:リード育成)は、リードの興味や関心を深め、購入に向けて育成するプロセスです。ニーズを抱える顧客層がある程度顕在化すればアピールできます。

定期的なメールコミュニケーション、教育的なコンテンツ提供、パーソナライズされたフォローアップなどを行います。

リードの行動や反応に基づいてカスタマイズされたコミュニケーションを行い、関係を深化させます。最終的には顧客に購買行動を起こしてもらい、売上につなげることを目的とします。

(具体例)

  • 定期的に業界の最新情報やヒント、ホワイトペーパーを提供するメールマガジンを送信する。
  • 訪問者の行動に基づいてパーソナライズされたコンテンツをWebサイト上で提供する。

3. リードクオリフィケーション

リードクオリフィケーション(Lead Qualification:リード選別)では、リードナーチャリングを行ったリードに購買意欲があるかどうかを評価します。

予算、権限、ニーズ、タイミングなどの基準を用いて、購買に進む可能性が高いリードを特定します。アポイントを獲得できれば、インサイドセールスや営業担当者へ引き渡し、クロージングを行って成約へと結びつけるのです。

購買の確度が高い見込み客のことを「ホットリード」、逆に見込みが低い場合は「コールドリード」と呼びます。

効率的なリソース配分のために、高い購買可能性を持つホットリードに焦点を当ててリスト化していくことで、ROI(Return on Investment:投資対効果)の向上が期待できるでしょう。

(具体例)

  • 顧客行動、メール開封率やクリック率を分析し、リードの購買意欲をスコアリングする。
  • 高スコアのリードに対して営業部門が直接コンタクトを取り、ニーズや予算を詳細に調査する。

4. 営業活動、商談

質の高いリードはインサイドセールスや営業担当者へ引き渡すことで、具体的な提案やデモ、商談へと進みます。成功率を上げるためには、個別の顧客のニーズに対するカスタマイズされたソリューションを提供する必要があります。

これまでヒアリングした情報やナーチャリングプロセスで興味を示したトピックなどから、顧客のビジネスとその課題を深く理解し、具体的で説得力のある提案を行いましょう。

5. 購買

最終的な購買決定が行われる段階です。スムーズな契約締結、迅速に製品やサービスを受注すること、高品質なアフターサポートの提供で顧客満足度を高め、長期的にかかわるような関係を築きます。

各段階において顧客中心のアプローチを取り、そのニーズや期待に応えることが、BtoBマーケティング戦略の成功には欠くことができません。また、データを活用して各プロセスの効果を測定し、継続的な改善を図ることも重要です。

SaaS(Software as a Service:サービスとしてのソフトウェア)やサブスクリプション型のビジネスの場合、商談が成約して終わりではなく、いかに顧客に継続してサービスを利用してもらえるかに注力する必要があるでしょう。

BtoBマーケティング戦略策定の進め方

マーケティングは最終的に売上に繋がらなければなりません。必要なデータ取得や仮説検証を進めながら、BtoBマーケティング戦略策定の実践をして成果につなげていきましょう。

具体的にどのような方法があるのかを詳しく解説します。

顧客理解を深める

まずは顧客のニーズを理解し、その課題解決を目指す自社商品やサービスを提供することが重要です。次の3点がポイントです。

  • 市場調査: 顧客のニーズや悩みを理解するために、業界レポート、アンケート、インタビューなどを通じて市場規模や競合との優位性などを調査する。ニーズや特性から市場細分化(セグメンテーション)を行う。
  • 顧客フィードバック: 既存の顧客から直接フィードバックを得ることで、製品やサービスの改善点を把握する。
  • ソーシャルリスニング: ソーシャルメディアやフォーラムでの顧客の意見や態度を監視し、市場の動向を把握する。

ペルソナの作成

ペルソナ(persona)とは、実在の人物ではなく、理想的な顧客像を模した架空のキャラクターです。ペルソナ作成は、ターゲット顧客を具体的に理解するための有効な方法です。

ターゲットというのは「中小企業の経理部長、40代男性」といった粒度であるのに対して、ペルソナはより詳細な設定をします。

たとえば、自社が中小企業向けのクラウドベースの会計ソフトウェアを提供している場合、ペルソナの作り方は以下のようになるかもしれません。

  • 年齢: 40歳
  • 役職: 中小企業の経理部長
  • 企業規模: 従業員数50人の製造業
  • 課題: 複雑な会計作業を効率化したい。また、リアルタイムでの財務状況の把握が困難。
  • ニーズ: 手頃な価格の会計ソフトウェアで、財務報告の自動化と簡素化を望んでいる。
  • メディア利用習慣: 専門的な業界紙やオンラインフォーラム、LinkedIn。

このペルソナをもとに、マーケティングを行うことをペルソナマーケティングといいます。

ターゲットに合った訴求メッセージ、コンテンツ、広告キャンペーンを設計します。上の例であれば、LinkedInでのマーケティングや、会計の効率化に関するブログ記事やホワイトペーパーが接点の選択肢として挙げられます。

ターゲットとなる顧客の属性は、置かれている立場によって異なります。詳細なプロファイルを把握することで、より具体的なマーケティング戦略を策定できるようになるでしょう。

顧客になりやすかったり、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)が高くなったりするようなセグメント(顧客を特定の属性で分類した集団)を見つけ出すことが可能です。

【あわせて読みたい】

>> 【具体例付き】BtoBのペルソナ設定方法とおさえるべきポイント

自社・市場の状況を理解する

自社のビジネスモデルや商品・サービスの特性、リソース等を正確に理解し、どのようなマーケティング戦略が適切かを洗い出すことが重要です。

また、内部環境(自社の強みと弱み)のみでなく、外部環境(市場の機会と脅威)についても分析しましょう。以下に分析ポイントの例を挙げます。

  • SWOT分析: 自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、市場の機会(Opportunities)、脅威(Threats)を明確に分析するフレームワーク(framework)。
  • 競合分析: 主要な競合企業を特定し、彼らの戦略、製品、市場シェア、強み、弱みを評価する。
  • 市場トレンドの分析: 業界のトレンド、顧客の変化するニーズ、新しい技術や規制の影響を分析する。

課題・目的・目標を明確にする

現状を把握したら、解決すべき「課題」マーケティングを行う「目的」を明確かつロジカルに言語化しましょう。ゴールの明確化は、戦略の方向性を定め、リソースを効果的に配分するために不可欠です。

また、測定可能な「目標(KGI)」も設定しましょう。KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標=売上)とは、「新規契約数」など売上や利益に直結する数値目標のことです。

以下に、おさえるべきポイントを挙げます。

  • ビジネス目標との整合性の確認: マーケティングの目的が、企業全体のビジネス目標を支えるものであることを確認する 。
  • ステークホルダーとの協議: 目的を設定する際には、セールスチーム、経営陣、他の関連部門と協議し、共通の理解を築く。
  • SMART基準の適用: 目標は具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性があり(Relevant)、時間的な制限がある(Time-bound)ものである。

施策を選び、フェーズごとに戦略策定する

顧客のフェーズごとに、適切な施策を選定します。顧客のフェーズは、認知→検討→購入と進みます。最初のステップで想定したターゲット顧客像を踏まえ、目的に合った多様な手法を組み合わせましょう。

優先的に検討すべきなのは、商談・購入に直結するCV(コンバージョン)部分です。いくら広告によって広く認知を獲得しても、肝心の商談につながる場所が整備されていなければ意味がありません。

最も多くの人が情報源とするのが企業のWebサイトです。Webサイトやランディングページ(LP)の改善、問い合わせ窓口の整備などを検討しましょう。

カスタマージャーニーマップの作成

カスタマージャーニーマップとは、顧客の購入プロセスをステップごとに情報を整理したものです。各ステージで顧客がどのような体験をするか、どのような情報を求めているかが可視化できます。

BtoBではBtoCほど必須ではないものの、顧客の購買行動や戦略の全体像を俯瞰で見る上では役立ちます。

KPIを設定する

先程設定したKGI達成に向けた中間目標として、KPI(Key Performance Indicator:業績評価指標)を設定します。KPIにはリード数、Webサイトのトラフィック、コンバージョン率、顧客満足度などの定量的な目標が含まれます。

ただし、KPIの設定次第では、方向性を見誤ることがあるので注意が必要です。

たとえば、SNS戦略において単純なPV数(ページビュー数)や拡散数だけをKPIにしてしまった場合、バズり目的の投稿が増えて炎上リスクが上がったり、本来のターゲットに届いていないことに気づけなかったりといった事態が起こってしまうでしょう。

効果測定し、PDCAサイクルを回す

KPIで設定した項目を中心に、施策の効果を数値化して、マーケティング計画に落とし込むことで評価します。

計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)のサイクルのサイクルに沿って取り組むことを推進します。PV数やセッション数、CV数などを確認し、継続的な改善を行うことが理想的です。

一度立てた戦略をそのまま継続するのではなく、必要に応じて調整を加え、最終目標に達するよう戦略をブラッシュアップしていきましょう。

BtoBマーケティングの主な施策

BtoBマーケティングでよく用いられる施策の具体例をご紹介します。

リードジェネレーション(リード獲得)

ランディングページ

ランディングページ(LP)は、商品・サービスの購入や資料請求、問い合わせなど、コンバージョン(CV)の獲得を目的とするWebページのことです。

たとえば、新製品の紹介や特定のサービスの無料トライアルを促すランディングページを設置すれば、関心のある訪問者からの連絡先情報を収集できます。

ターゲットとなる顧客に直接アプローチし、具体的なアクションを促すことで、高品質なリードを効率的に獲得できるでしょう。

広告

BtoBマーケティングの広告媒体による施策は、ブランド認知度の向上からリード獲得まで、多岐にわたる目的を達成するための重要な手段です。

短期的に広く集客するには非常に有効です。他の施策と組み合わせると多角的なアプローチが可能となり、効果的なリード獲得に繋げることやブランド想起させることなどが目指せます。

広告運用は代理店に依頼するという分業体制も見られます。Web上でターゲットが興味を持てる広告を配信し、自社サイトへ誘導しましょう。

種類 解説
リスティング広告 検索エンジンの検索結果ページに表示されるテキストベースの広告。
特定の業界や製品に関連するキーワードをターゲットにして効率的なリード獲得へと導く。

リードの行動を想定して配信条件を設定することで、コスト削減やCPA(Cost Per Action:顧客獲得単価)を下げられる。

ディスプレイ広告 WebサイトやSNS上で展開される広告。
バナーやビデオがあり、ターゲットオーディエンスに視覚的に訴えることでブランド認知度を高める。
リターゲティング広告 過去にWebサイトを訪問したユーザーに対し、他のプラットフォーム上で広告を再表示する手法。
既に関心を示しているリードに対して再度アプローチし、CVR向上へ結びつける。
マス広告 テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などの伝統的メディアに展開する広告。
広範囲のオーディエンスにリーチできるものの、ターゲットを絞ることが難しいためBtoBでは注意が必要。
記事広告 記事形式の広告。読者に価値を提供しつつ、製品やサービスを巧みに紹介する。
交通広告 電車や駅、タクシーなどに出稿する広告。
ビジネスパーソンの認知獲得や、地域を絞ったアプローチに有効。

SEO対策

SEO(検索エンジン最適化)は、狙ったキーワードの検索結果においてWebサイトやコンテンツが上位表示されるように最適化する手法です。

検索するということは、その話題に一定の関心を持っている可能性が高いといえます。つまり、SEO対策を行うと、すでに関心を持っているターゲットの集客が期待できるのです。

また、適切なキーワードを含めたプレスリリースの配信もSEO効果が見込めます。この場合、情報の価値やタイミング、記述の正確さなどがポイントです。

ホワイトペーパー

ホワイトペーパーは、特定の問題に対する解決策や深い洞察を提供する詳細なレポートです。

業界の最新トレンドや技術的な課題に関するホワイトペーパーを作成し、ダウンロード時に連絡先情報の提供を求めれば、その話題に関心を示すリードの情報を収集できます。

高い専門性と価値ある情報を提供すれば、ブランドの信頼性向上にもつながるでしょう。

リードナーチャリング(リード育成)

メルマガ

メールマーケティングは、獲得したリードを育成する重要性の高い手段の一つです。メルマガやニュースレターを通じて、定期的に有益な情報を提供し、顧客の認知度や関心を喚起します。

セミナー・ウェビナー

セミナーやウェビナー(オンラインセミナー)は、専門的な情報を提供し、顧客との深い関係性を築く有効な手段です。

特にウェビナーは、コロナ禍で人との接触が制約された背景があり、急速に拡大・定着しています。ウェビナーで参加者に価値ある情報を提供できれば、顧客の課題解決を支援し、信頼を得られるでしょう。

BtoBマーケティング戦略実行に役立つツール

BtoBマーケティング戦略実行に役立つツールを3つ紹介します。

CRM(Customer Relationship Management)

CRMとは「顧客関係管理」のことです。CRMツールは、顧客情報を一元管理し、営業活動の支援、マーケティングと営業(インサイドセールス・フィールドセールス)の連携に役立ちます。

代表的なものとしては、Salesforce、Hubspot、Zoho CRMなどがあります。

SFA(Sales Force Automation)

SFAは「営業支援システム」のことで、営業プロセスを自動化し、営業の効率化を図るツールを指します。CRMと連携して使うことで、リードの管理から商談までを一元的に管理することが可能です。

MA(Marketing Automation)

MAツールは、リードの獲得から育成、選別までのプロセスを自動化します。メールマーケティングやウェビナーの配信、リードスコアリングなどを効率的に実施できます。

BtoBマーケティングのトレンド

BtoBマーケティングのトレンドでは、具体的にはどのような手法が注目されているのでしょうか。ここでは、トレンドについて4つ紹介します。

コンテンツマーケティング

価値あるコンテンツを提供し、顧客の課題解決を支援するコンテンツマーケティングは、BtoBマーケティングの重要なトレンドです。

一度作成したコンテンツは残り続け、中長期にわたってリードを獲得してくれます。制作コストはかかるものの、長い目で見ればリード獲得単価は下がります。最近では、動画やテキストだけではなく、音声コンテンツも人気が高まっています。

また、コンテンツ発信方法としてはオウンドメディア(Owned Media:自社で保有するメディア) も人気が高まっています。たとえば、YouTubeなどの既存媒体を利用する場合は、プラットフォーム側のさまざまな制限に従う必要がありますが、オウンドメディアであれば自由に運営することができます。メディア全体で自社の世界観や価値観を表現するには最適です。

SNSマーケティング

SNSを利用して自社の存在感を高め、新たなリード獲得のチャネルとする手法が注目されています。

いわゆる「中の人」戦略のように、必ずしもユニークで面白い発信をする必要はありません。コンテンツやホワイトペーパーを使ってターゲットとの接点を持つなど、他の施策と組み合わせて活用すれば、BtoBらしい信頼性や品格を保ちつつSNSのメリットを享受できます。

アカウントベースドマーケティング(ABM)

ABMとは、特定のアカウント(企業や組織)に絞ったターゲティングを行う手法です。ターゲットに合わせて最適化した戦略をとるため、施策の無駄撃ちが減り、マーケティング費・広告費の削減につながるでしょう。

カスタマーサクセス

自社の商品やサービスを使ってもらい、顧客の売上や利益につなげるよう、積極的に顧客へ働きかける活動です。

最終的には顧客との継続的な取引となり解約を避けられるため、顧客単価のアップにもつながります。必要に応じて適切なアップセルやクロスセルを行うと良いでしょう。

【事例紹介】BtoBマーケティング戦略の成功事例2選

BtoBマーケティング戦略は、企業によって実践される施策がさまざまです。成功事例を参考に、自社の状況に適切な解決策を見つけ出しましょう。

1:アドビ株式会社

アドビ株式会社はアメリカ合衆国に本社を置くソフトウェア開発企業です。MAツール「Adobe Marketo Engage(通称:マルケト)」のリード獲得にSEO対策を導入し、成果をあげました。

項目 説明
課題 プロダクト展示会やイベント、名刺交換などのオフライン施策のみでは、コンスタントなリード獲得が難しかった。
戦略・施策 これまでの成果をチャネルごとに分析し、検索エンジンからの流入が費用対効果が高いと判断。

ターゲットキーワードで上位表示を狙うために100以上の改善アイディアを出し、優先順位をつけて取り組んだ。

結果 SEO経由のリード獲得数は約150%、商談件数は約130%向上した。

2:コニカミノルタジャパン株式会社

複合機(MFP)・プリンターのソリューションを提供するコニカミノルタ社の事例です。課題の把握に時間をかけ、戦略改善へ寄与したことで成果につながりました。

項目 説明
課題 短期的なリード獲得施策が優先され、Webサイトの整備が後手に回っていた。
戦略・施策 アクセス解析に加え、ユーザー目線と企業目線それぞれから見た理想とのギャップを分析。
総合的な視点で課題を把握し、コンテンツ企画に落とし込んだ。
結果 創出案件数は昨年度対比158%増、創出案件金額は160%増加した。

BtoBマーケティング戦略を成功させるために

今回は、BtoBマーケティングの基本概念や戦略・戦術について、ツールを活用することで、効果的なBtoBマーケティング戦略を立案する際にどのようなシナリオを組んで進めるべきかを解説しました。

今後、BtoBマーケティングの必要性や需要は、DX市場が拡大するにつれて、より高まっていくことが予想されます。それぞれの企業や業界、顧客の特性により、最適な手法やノウハウ、打つべき施策は異なります。

BtoBマーケティングで失敗しないためにも、自社のビジネスモデルや顧客のニーズを理解し、PDCAサイクルを回しながら最適なマーケティング戦略を見つけ出しましょう。

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