奥が深いBtoBマーケティングの世界。同じ施策を展開していても、成功するケースとそうでないケースがあります。マーケティングの成否を分けるものとは、いったい何なのでしょうか?
本記事では、BtoBマーケティングの基本を踏まえつつ、具体的な成功事例14選を挙げて、各ケースでどのような戦略が効果を上げたかを紹介します。
また、戦略を成功へ導くためのポイントも深掘り解説。実例を通じて学び、自社のマーケティング戦略立案にお役立てください。>
この記事の目次
BtoBマーケティングとは?
BtoBマーケティング(Business to Business マーケティング)は、企業同士の取引を促進するための戦略的なマーケティングアプローチです。
消費者向けのBtoCマーケティングとは異なり、企業が他の企業に対して製品やサービスを提供する場合の戦略です。
このアプローチでは、顧客は他の企業であり、一般消費者とは購買プロセスや意思決定のフローが異なるため、特別な戦略が求められます。
BtoBマーケティングの手法
BtoBマーケティングを成功に導くためには、オンラインおよびオフラインの様々な手法を組み合わせて活用する必要があります。以下では、それぞれの手法について詳しく説明します。
オンライン
オンラインのマーケティング手法は、デジタルマーケティングの進化とともにBtoB市場での影響力を増しています。その中でも、いくつかの主要な手法を見てみましょう。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、BtoBマーケティング戦略の中核となる手法の一つです。 専門性や価値の高い情報をコンテンツとして作成することで、リード獲得が可能です。
具体的には、オウンドメディアの運営や専門的な情報を提供するホワイトペーパーの作成、SNSの運用、ニュースレターやメールマガジンの配信などになります。
コンテンツの情報を通じてターゲット企業に価値を提供し、関心を引きます。
また、マーケティングオートメーションを利用してリードナーチャリングを効果的に行うことも可能です。
Web広告
Web広告を活用すれば、ターゲット企業にリーチすることが可能です。
Web広告には次のような種類があります。
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
- SNS広告
- 記事広告
リスティング広告は特定のキーワードで検索された際に表示され、ディスプレイ広告やSNS広告はターゲットの興味や行動履歴に基づいて効果的な広告を配信します。記事広告とは、Webメディアに通常の記事の形で掲載する広告です。
オフライン
オフラインの手法もBtoBマーケティングにおいて、依然として重要な役割を果たしています。
BtoBマーケティングの成功には、オンラインとオフラインの手法を組み合わせて、ターゲット企業との信頼関係を築くアプローチが重要です。適切な手法の選択と効果的な施策の実行を通じて、リードの獲得から成約へとつなげる成功事例を生み出すことができるでしょう。
代表的なオフラインでのBtoBマーケティング手法をいくつかご紹介します。
展示会出展
展示会への出展は、顕在顧客や潜在顧客と直接対話し、製品やサービスを展示・宣伝する機会です。対面でのコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、商談の機会を得ることもできます。
マス広告
交通広告などのマス広告では、特定の地域や業界に焦点を当てたターゲティングが可能です。
不特定多数の人の目に触れるオフラインでの広告活動も、オンライン活動と連携して総合的なブランド認知を高めるために重要です。
テレアポ
テレアポ(テレフォン・アポイントメント)は、電話を通じて直接企業にアプローチする手法です。効果的なテレアポ活動によって、リードの質を向上させ、商談の機会を増やすことができます。
BtoBマーケティングの成功事例分析 14選
BtoBマーケティングにおける成功事例を見てみましょう。
これらの事例は、さまざまな手法や戦略を活用して成果を上げた実例です。
事例1: SEO対策に取り組みリード獲得数約150%向上
アドビ株式会社は自社サービスサイトのSEO対策としてビッグキーワードでの順位獲得をメインにした記事の制作や、ページ内の回遊率を高めるようなリンク設置の追加などを実施。SEOでのリード獲得数は約150%、SEO経由の商談件数も130%ほど向上しました。
事例2: Web広告の運用でコンバージョン数を10倍に
ビジネスエンジニアリング株式会社は、リスティング広告クリック後の遷移先をニーズに合わせたLPへと見直したことにより、Webサイトでのコンバージョン数が約10倍になりました。実施している施策の見直しで成果を上げた好例です。
事例3: マーケティング担当者の教育によりブレイクスルーが生まれた
トレノケート株式会社はマーケティング担当者の教育を実施。外部に依頼しカスタマージャーニーマップ作成のワークショップを行うことにより課題の可視化に成功。新たな気付きが生まれました。
事例4: MAツールの導入で大きな成果
株式会社ロジクエストは、営業およびマーケティングの効率化に取り組むためMAツールを導入。マーケティング活動の可視化・自動化に成功しました。ツールと連携してオンラインマーケティングの基盤を構築しました。Webからの反響が10倍になり、問い合わせからのアポイント獲得率は平均40%となりました。
事例5: ツールの導入で大きな成果リード数が2倍に
株式会社アスマークはMAツールを導入し、自社ツールとKintone(キントーン)の営業データを紐づけました。導入後はセミナー開催に注力し、セミナー参加者の行動履歴を追跡。ナーチャリング出来ているリードの数は1年でおよそ2倍以上にまで増加しました。
事例6: ユーザーのニーズに合ったコンテンツを整備
M&A仲介サービスを展開する株式会社ストライクは、M&Aに関するオウンドメディアを運営。信頼が問われる領域で自社の高い専門性を発揮し、その結果、月間 PV が大幅に増え100万 PV を達成しています。
事例7: 自社サイトの活用で売上が年間20%以上増加
キヤノンマーケティングジャパン株式会社は、営業担当の訪問営業のみに頼った販売をしていましたが、自社Webサイトを見直して活用。Webサイトで商品を検討してから購入することが増え、問い合わせ件数は前年比で2.6倍、売上が年間20%以上増加しました。
事例8: ユーザー目線でWebサイトをリニューアル 効率アップ
富士電機株式会社は、顧客目線でサービスを見直しました。顧客とどのようにコミュニケーションを取るべきかを考えた上でWebサイトをリニューアル。業務効率化や働き方改革などの変化に対応できるようになりました。
事例9: 属人化を解消してPV数やCV数が大幅に増加
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社は、マーケティング担当の業務が属人化していました。そこで運用のための定例会を実施。社内共有をすすめ、PV数やCV数を大幅に増加させることに成功。
事例10: 購入プロセスの可視化で売上1兆円を突破
株式会社村田製作所はMAツールを導入することによって顧客の行動をデータベース化し、ナーチャリングの強化を行いました。その結果売上高1兆円を突破しています。
事例11: インタラクティブコンテンツ提供で見込み顧客が2倍に
ログリー株式会社は、顧客と双方向のコミュニケーションが取れるインタラクティブコンテンツの提供を開始。顧客に適切な情報を提供できるようになったことで、新規の見込み顧客が2倍に増加しました。
事例12: データの一元化で紹介件数が10倍増
株式会社マネーフォワードはMAツールを導入し、データを一元管理することでパートナー企業からの情報をスムーズに共有することに成功。パートナー企業からの紹介件数が10倍増になりました。
事例13: インバウンドマーケティングで獲得件数が大幅アップ
株式会社トリニアスはテレアポ中心だった営業方法から、インバウンドマーケティングの内製化、広告運用を進めました。その結果、見込み顧客獲得が200件以上、アポ獲得率が60%以上となっています。
事例14: MAの導入で埋もれていた潜在顧客を可視化
アンリツ株式会社はMAを導入し、セミナーや展示会などのオフライン営業から活用を開始。インサイドセールスやフィールドセールスなどの担当者と円滑にコミュニケーションを取れるようになり、潜在顧客が1.7倍増加しました。
これらの成功事例から明らかなように、BtoBマーケティングの成功には多様な手法やアプローチの組み合わせが必要です。
リスティング広告やコンテンツマーケティング、オウンドメディアの活用、展示会への出展など、オンライン・オフラインを問わず、適切なタイミングでのアプローチが成果を生み出します。
企業ごとの戦略やターゲットに応じて適切な手法を選択し、持続的な改善を行うことがBtoBマーケティングの成功への道です。
BtoBマーケティングを成功に導くためのポイント
BtoBマーケティングの成功には、戦略的なアプローチと細心の注意が必要です。
戦略的なBtoBマーケティングを展開することで、ターゲット企業との信頼関係を築き、成果を上げることができます。
BtoBマーケティングを成功に導くためのポイントを紹介します。
顧客像・顧客心理へ理解度を上げる
BtoBマーケティングの基本は、ターゲット企業の顧客像と顧客心理を深く理解することです。
購買意思決定の背後にあるニーズや課題を把握し、それに対する提案を行うためには、顧客の視点に立ったマーケティングが不可欠です。
市場規模は大事だが、選定に時間をかけすぎない
市場規模の大きさは成功の鍵ですが、市場の選定プロセスに過度に時間をかけることは避けましょう。市場のポテンシャルを理解しつつも、スピーディなアクションが重要です。市場規模が小さくても、競合他社に先駆けて行動できれば優位性を保つことができます。
ターゲットをセグメントで絞りこむ
ターゲット企業を細分化し、セグメントごとに適切なアプローチを展開することで、ターゲットのニーズに合わせたコンテンツやメッセージを提供できます。BtoBマーケティングのセグメントというのは、例えば企業規模、業界などです。セグメンテーションは効果的なターゲティングを可能にし、成果を最大化します。
マーケティングリソース活用の合理化
全ての手法を十分に実施できれば良いのですが、リソースは限られています。限られたリソースを活かせるよう、マーケティング活動の効率的な実施が求められます。優先順位をつけ、適切な手法とプラットフォームを選定し、予算や時間の制約の中で成果を最大化する戦略を考えましょう。
マーケティングと営業部門の連携
マーケティングと営業部門は連携して取引のフローをスムーズにし、リードから受注への移行を迅速に行う必要があります。マーケティング部門から営業部門へクローズドループの情報共有を行えば、営業部からは適切なタイミングでのフォローアップが可能になるでしょう。
競合との差別化ポイントを具体化
競合他社との差別化は、ターゲット企業の選択肢から自社を浮き立たせる鍵です。自社の独自性や付加価値を明確にし、それを具体的なメッセージやアプローチで伝えることで、顧客の注目を集めることができます。
指標による成果の可視化と改善策の具体化
BtoBマーケティングは施策の成果状況を持続的に把握し、必要に応じて改善していく必要があります。成果を測定するためのKPIを設定し、定期的に成果を評価しましょう。成果の可視化を通じて、効果的な施策と改善が必要なポイントを把握し、戦略の最適化を図りましょう。
BtoBマーケティングに設定すべき重要指標・KPI
BtoBマーケティングを成功に導くためには、適切な指標やKPI(Key Performance Indicator)の設定が不可欠です。
BtoBマーケティングにおける重要なKPIについて解説します。
成果を見える化するためのKPI設定
BtoBマーケティングの最終的な目標は、収益やROI(費用対効果)の向上です。そのためには、以下のKPIを設定することが重要です。
- コンバージョン率(Conversion Rate): ウェブサイト訪問者が注文や問い合わせなど、目標としているユーザー行動に至る割合を示す指標です。リードから受注までの効果的なステップを把握し、改善のポイントを特定するのに役立ちます。
- CPA(Cost Per Acquisition): 新たなリードや顧客を獲得するためにかかる費用を示す指標です。マーケティング活動のコストと成果を対比することで、コスト効率の良さを評価できます。
- リードナーチャリング率(Lead Nurturing Rate): リードがナーチャリングプロセスを通じて受注に至る割合を示す指標です。リードの質の向上と、適切な情報提供による興味喚起が反映されます。
マーケティング解析技術を利用したKPIトラッキング
マーケティング解析技術を活用することで、KPIのトラッキングと改善がより効果的に行えます。
- ウェブ解析: ウェブサイト上の訪問者の行動や動向を把握し、コンバージョン率や離脱率などの指標を評価します。Google Analyticsなどのツールを用いてデータを収集し、改善施策を検討します。
- マーケティングオートメーション: リードナーチャリングやセグメンテーションを自動化するツールを活用して、リードの動向や反応をトラッキング。データに基づいて個別のコンテンツ提供を行い、リードの興味を維持・喚起します。
- CRMシステム: 顧客情報や商談の進捗を管理するCRM(Customer Relationship Management)システムを活用して、マーケティングと営業の連携を強化。リードの動向を可視化し、成果を共有します。
KPIは、BtoBマーケティングの成果を評価し、戦略の最適化に役立ちます。
正確なデータの収集と分析を通じて、効果的なマーケティング施策の展開と継続的な改善を行いましょう。
【まとめ】BtoBマーケティングの事例を参考に最適な施策を選択しよう
BtoBマーケティングの成功事例を通じて、効果的な施策や手法が明らかになりました。これらの事例を参考にしながら、自社のニーズやターゲットに合わせて最適なマーケティング戦略を選択しましょう。
成功事例から浮かび上がる鍵となるポイントは、以下の通りです。
- ターゲットの理解とセグメンテーション: 成功事例の多くは、ターゲット企業のニーズや課題を深く理解し、セグメントごとに適切なアプローチを展開しています。自社のターゲットについて徹底的に調査し、適切なセグメンテーションを行いましょう。
- マルチチャネル戦略の活用: 成功事例では、オンラインとオフラインの両方を組み合わせたマルチチャネル戦略が見受けられます。ウェブ広告から展示会出展、マーケティングオートメーションを活用したナーチャリングまで、幅広い手法の組み合わせを検討しましょう。
- KPIとデータ分析の重要性: マーケティング活動の効果を測定するためのKPI設定と、データ分析の活用は欠かせません。成果を見える化し、効果の高い施策を明確に把握しましょう。
- マーケティングと営業の連携: 成功事例では、マーケティングと営業部門の連携が強調されています。効果的なコミュニケーションとデータ共有を通じて、リードから受注までのプロセスをスムーズにしましょう。
BtoBマーケティングの世界では、一つの施策だけでなく複数の施策の組み合わせが成功のカギです。
自社の特性やターゲットに応じて、適切な手法を選び、戦略的なアプローチを追求することが、成果を上げるための重要なステップとなります。成功事例から学びを得つつ、自社の状況に合わせたマーケティング戦略を築いていきましょう。