今、あなたが直面しているビジネス課題は、BtoBマーケティング戦略がカギを握っているかもしれません。大企業のような豊富なリソースも、専門チームもない。そんな「ひとりマーケター」や、起業家・個人事業主にとって、マーケティングとは未知の領域であることも少なくありません。
この記事では、成果を引き出すBtoBマーケティングの秘訣を、戦略立案から実践的な手法まで、ステップバイステップで解き明かしていきます。成功への道は一歩から。まずはこの記事から、あなたのビジネスが抱える課題を解決へと導くヒントを見つけ出しましょう。

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BtoBマーケティングの基本概念

マーケティングの基本的な定義

マーケティングの基礎を理解することはBtoBマーケティング成功への最初のステップです。

「マーケティング」とは、顧客のニーズや欲望を満たすために、企業が自社製品やサービスをどのように価値あるものとして提供するかを考えて取り組む一連のプロセスを指します。

営業・販売活動と混同されやすいですが、マーケティングは顧客のニーズや市場全体へのアプローチに焦点をあてている一方で、営業・販売活動は具体的な取引や売上向上に焦点をあてているという違いがあります。

BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違い

BtoB(Business to Business:対企業)とBtoC(Business to Customer:対一般消費者)のマーケティングは、顧客の購買行動やニーズの違いから、異なるアプローチが求められます。

購買意思決定プロセスの違い

BtoCでは、消費者は個人であり、購買決定は短期的で、直感的・感情的な要素が関与することが多いです。このため、マーケティング戦略は商品やサービスが消費者の直感や欲求に訴えるような方法で設計されることが多い傾向にあります。

一方、BtoBの場合、商品やサービスは通常、長期的なビジネスモデルや企業間取引の一部であり、購買決定には多くの部署や役職が関与します。一般的に企業の取引は高額であり、その影響が組織全体に及ぶためです。

このためBtoBのマーケティング戦略は、一般消費者に対するものよりも、より複雑で中長期的な視点が求められます。

BtoBマーケティングのステップ

マーケティング領域

リードジェネレーション(獲得・創出)

リードジェネレーション(Lead Generation)とは、具体的な購買意欲を持つ見込み客(リード)を見つけ出し、関心を引く情報を提供し続けることで、最終的に商談に至る適切な接点を創出するプロセスです。これにはウェビナーやセミナー、ホワイトペーパーの配信、オウンドメディアによる情報発信などが用いられます。

リードナーチャリング(育成)

リードナーチャリング(Lead Nurturing)では、リードジェネレーションで得た見込み客を育成します。各リードの興味や関心に合わせた情報を提供し、自社商品やサービスへの理解と信頼を深めていきます。具体的には、メルマガやコンテンツ配信、ウェビナーなどを通じて、関係性の強化と購買意欲の後押しをします。

リードクオリフィケーション(選別)・スコアリング

リードクオリフィケーション(Lead Qualification)は、高い確度で成約に繋がる見込みのあるリードを選別するプロセスです。スコアリングはその一手法で、リードの行動や属性を点数化し、総合的に評価します。これにより、営業部門へ引き渡すリードの質を上げ、効果的な営業活動を可能にします。

セールス領域(営業活動)

商談

商談は、選別されたリードと直接対面やオンラインで接触し、具体的なビジネスの提案を行う活動です。ここでは、リードの課題解決を中心に、自社の商品やサービスがどのように価値を提供できるかを示します。この段階で成功するためには、商談の適切な進め方やターゲティングの精度が重要となります。

既存顧客への継続提案

既存顧客への継続的な提案も重要なステップです。一度の取引だけでなく、長期的な視点で関係性を築き上げることで、顧客生涯価値(LTV)を高めることが可能となります。

BtoBマーケティング戦略立案のポイント

顧客ニーズの深層理解

顧客ニーズの深い理解は、効果的なマーケティング戦略の立案に必要不可欠です。深層ニーズとは、顧客が意識的には気づいていないかもしれない、あるいは表現しづらい潜在的な欲求や願望を指します。

例えば、人がスマートフォンを購入する背景には、「コミュニケーションツールが欲しい」という明確なニーズだけでなく、「人とつながりたい」「情報を速やかに手に入れたい」という深層のニーズが存在するかもしれません。

表層的なニーズだけを捉えると、差別化すべきポイントやアプローチを見誤る可能性があります。顧客が真に求める価値を見出すことが、マーケティングの第一歩です。

ターゲティング

顧客理解のためには、ターゲットの特定が必要です。そのターゲットが直面する課題やニーズを明確に理解することで、効果的なアプローチと関心を創出できます。

BtoBの場合は、ターゲットする組織の規模、業種、地域、文化、成熟度などの要因も考慮する必要があります。出来るだけ具体的で精緻なターゲットを定義しましょう。

ペルソナ設定

ペルソナとは、自社製品の典型的な顧客を体現する、架空の人物像のことです。ペルソナ設定は、顧客の特性や行動、考え方を具体的に定義することで、どのような情報収集や購買行動をとるのかを理解・想像するのに役立ちます。

BtoBは購入決定に関与するステークホルダーが多く、窓口担当者に決裁権が無い場合もあるため、背景にある組織構造や担当者の役職なども踏まえて設定すると有効です。

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カスタマージャーニー

カスタマージャーニーは、顧客が商品やサービスを探す際にたどる一連のプロセスを視覚化するものです。各フェーズで何を求め、どのような行動を取るのかを理解し、それに基づいた最適な施策を展開することが可能となります。

他部門(営業等)との連携

マーケティングだけでなく、他部門との連携も成功への鍵を握ります。社内の他部門との連携を強化することで、より一貫したマーケティング戦略を構築できます。

営業活動とマーケティングのシナジー

マーケターと営業担当者が連携することで、高いシナジー効果が期待できます。

例えば、営業担当者が商談の結果や顧客の声をマーケターにフィードバックすることで、より質の高い(確度の高い)リードを獲得できるよう、マーケティング戦略に反映させることができます。逆に、マーケティング部門がこれまでリードに提供してきた情報を営業担当者と共有することで、より効果的な営業活動を行うこともできます。

CRMとSFAの活用

CRM(顧客関係管理)ツールとSFA(営業支援ツール)の活用は、各顧客の情報を一元管理し、その行動や関心に応じた適切なアプローチを可能にします。情報を属人化させず組織で共有することで、再現性あるプロセスの設計を行うことができます。

インサイドセールスの重要性

インサイドセールスは、顧客を直接訪問する従来の営業活動(フィールドセールス)と異なり、メールなどのデジタルツールを活用してオフィス内から行う営業です。効率化・コスト削減だけでなく、顧客との接点を多角的に持つという観点からもメリットが大きいと言えるでしょう。

【広報戦略についてはこちら】

>> BtoB広報戦略の立て方!成功へのステップと見直すべきポイントも解説

BtoBマーケティングの手法

リードジェネレーションのための手法例

BtoBにおける集客に役立つ手法をいくつかご紹介します。

WebサイトのSEO対策

検索エンジン最適化(SEO)とは、Webサイトの構造などを整理することで、Googleのような検索エンジンでの上位表示を目指す手法を指します。自社サイトへの訪問者数を増加させる有効な手法です。

わざわざ検索するということは、何かしらの解決したい課題やニーズがあるということです。つまり、検索から自社サイトへ流入してきたユーザーは、質の高いリードである可能性も高いと言えます。

具体的には、

  • 上位表示させたいターゲットキーワードを選定する
  • ユーザーのニーズに応える掲載内容になっているかを見直す
  • HTMLやメタタグなどを適切に設定し、検索エンジンがサイトの構造を理解できるようにする

といったアプローチで、高品質なコンテンツの提供を目指します。

SNS

LinkedInやX(Twitter)などのSNSを活用することで、ターゲットとなる企業や役職者に直接アプローチできます。情報発信だけでなく、積極的なコミュニケーションを通じて関心を創出し、リードを生成します。

コンテンツ活用

ブログ記事、動画、音声コンテンツ、インフォグラフィックなど、様々な形式のコンテンツを活用してリードの課題を解決するための情報を提供し、信頼と興味を引き出します。また、コンテンツは一度作成してしまえばずっと残り続けるため、中長期で活用していくことができます。

ウェビナー

ウェビナーはオンラインで行われるセミナーやワークショップのことで、参加者に対して深い知識や洞察を提供します。自社製品やサービスに関連したテーマのウェビナーの参加者であれば自社製品にも興味を持つ可能性が高いため、確度の高いリードを効率的に獲得することができます。ホワイトペーパー

ホワイトペーパーは、専門的な知識や解決策を深く掘り下げた報告書のようなものです。企業が深い専門知識と経験を持っていることを証明し、リードの信頼を勝ち取るとともに、そのテーマに高い関心を持っているリードの情報を得ることができます。

広告

BtoBにおいても、Google AdsやLinkedIn Adsなどのオンライン広告はリードジェネレーションに効果的です。ターゲティング機能を活用し、具体的な顧客属性や興味に基づいて広告を表示することで、高品質なリードを獲得できます。リスティング広告や交通広告など、さまざまな広告手法を駆使してリーチを拡大しましょう。

リードナーチャリングのための手法例

リードナーチャリングとは、既に取得したリードを営業可能な段階まで育成するプロセスです。

メール・ニュースレター

定期的なメールやニュースレターの配信はリードナーチャリングにおける主要な手法です。役立つ情報や専門知識を提供し、リードとの関係を深めます。

ウェビナー

ウェビナーはリードナーチャリングにも有効です。ここでは、より具体的なテーマを提供し、リードの問題解決につながる情報を共有します。

MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用

MAツールは、リードジェネレーションやリードナーチャリングを効率化し、システム化するための重要なツールです。リードの行動履歴を追跡し、パーソナライズされたコンテンツを自動的に配信することができます。また、リードスコアリングという機能を活用すれば、各リードが購買に至る可能性を評価し、営業部門への引き渡し時期を見極めることができます。

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BtoBマーケティングの分析と改善

データ分析の重要性

データ分析はBtoBマーケティングの中核をなします。データ分析を通じてマーケティングの全体像を把握することで、具体的な改善点を見つけ出すことが可能です。

戦略立案の場面であれば、市場調査や競合分析など、自社商品の位置付けや差別化要素を明確にするためにデータ分析は必須です。

施策実行プロセスにおいても、顧客情報、リード生成のパフォーマンス、ウェビナーの参加者数、メルマガの開封率など、膨大なデータを分析し、意思決定に活かすことができます。マーケティング活動を属人化させず、活動の効率化とリソースの最適化が可能となります。

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PDCAサイクルを回す

PDCAサイクルを適用することで、マーケティング活動の継続的な改善が可能となります。データ分析によって得られた知見をもとにPDCAサイクルを回すことは、BtoBマーケティングの成功に不可欠です。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のサイクルを繰り返すことで、マーケティング施策の改善と最適化が可能となります。

例えば、ウェビナーを開催した場合、参加者数や参加者からのフィードバック、リードへの変化を「Check」します。その結果をもとに、内容のブラッシュアップやターゲティングの再定義など「Act」を行い、次回の「Plan」を立てるのです。この一連のプロセスで、BtoBマーケティングの分析と改善を進め、最終的な目標である購買につなげていきます。

BtoBマーケティングの成功事例

コンテンツマーケティングの事例

マーケティングツール「ferret One」を提供するSaaS企業・株式会社ベーシックは、Webマーケティングについてのオウンドメディア「ferret」を運営しています。

「ferret」では、非常に幅広いマーケティングの悩みについて取り上げており、マーケティングに関心がある層、悩みがある層の課題解決を担うことで、効率的にリード獲得・リード育成につなげています。

ABM(アカウントベースドマーケティング)の事例

ABMとは、リード(個人)ではなくアカウント(企業)を軸にしたマーケティング戦略です。リードをベースとした通常のマーケティングでは、いかに認知を獲得するかという観点で戦略を立てるのに対し、ABMではまずターゲットを特定し、そこへどのようにアプローチするかを考えていくという違いがあります。

株式会社村田製作所は、Adobeが提供するMAツール「Marketo」を活用したABMキャンペーンを展開しました。ターゲット企業の関係者と名刺交換したことをSFA(営業支援システム)へ登録すると、その企業が興味を持ちそうなコンテンツをすぐにWebサイトへ配信。Marketo経由でダウンロードを促すURLを送信したところ、高いクリック率を得ることができました。

【マーケティングの成功事例はこちら】

>> BtoBマーケティング成功事例14選!成功へ導くポイントを独自解説

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BtoBマーケティングは外注すべきか

BtoBマーケティングを自社で行うか、外部の専門機関に委託するかは、多くの要素により決定されます。

リソースと専門知識

BtoBマーケティングは、リードジェネレーションやリードナーチャリング、マーケティングオートメーションなどの専門的なスキルと深い理解を必要とします。自社にこのような専門性を持ったマーケターが不足している場合、外部に委託することは理にかなっています。

コストパフォーマンス

自社でマーケティングを行うと、広告やツールの費用だけでなく、人件費や教育費も考慮に入れる必要があります。これに対して、外部の専門機関は一定の費用で多くの経験と専門知識を提供します。ROIを考慮すると、外注が有利な場合もあります。

柔軟性とスピード

市場環境やビジネスモデルが変化すると、マーケティング戦略も迅速に変わる必要があります。専門機関は複数のクライアントと一緒に働くため、多様な経験と知見をもって対応することができます。

集中力

マーケティングを外注することで、自社は主力業務に専念することができます。これにより、より良い製品やサービスの提供に注力でき、ビジネス全体の競争力を上げることが可能になります。

しかし、最終的には、企業の戦略、目標、リソースなどを総合的に考慮した上で、外部委託か自社実施かを決定すべきです。

【外注先選定とコストについてはこちら】

>> BtoBマーケティング会社15選。限られたリソースでも失敗しない外注先の選び方を解説

>> BtoBマーケティング施策の費用対効果を高める!予算の決め方と最適化のコツ

まとめ:BtoBマーケティングを成功に導くポイント

BtoBマーケティングの成功は、戦略的なリードジェネレーションとリードナーチャリング、そしてリードクオリフィケーションによる購買への誘導が鍵となります。

ひとつひとつのステップを着実に実行するとともに、評価と改善を繰り返しながら目標に向けて柔軟かつ継続的なアプローチが求められます。

戦略展開が中長期にわたるBtoBマーケティングは、マラソンのようなものです。効率を最大化するためにも、CRM・SFAなどのツールや、外部委託なども取り入れていきましょう。

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