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PR/広報担当者がおらず、どのようにBtoB (B2B)ブランディングに取り組めばよいか悩んでいる。
ブランディングに力を入れ始めたものの、なかなか新規顧客の開拓につながらない・・・。
などといった状況に陥ることがあるかもしれません。
そのような方に、本記事では2024年最新版となるBtoBブランディングの基礎や施策、成功するための進め方を解説いたします。
- 企業ブランディングの役割
- BtoBとBtoCの違いから考えるブランディングの必要性
- BtoBのブランディングを進めるための基本事項
- BtoBブランディング戦略の成功事例
Btobの ブランディングについてお悩みの方は、ぜひ本記事を課題解決にお役立てください。
この記事の目次
企業ブランディングの役割
BtoB分野における企業ブランディングの役割について確認しましょう。
海外では、ブランディングはマーケティングの上位概念の戦略として位置付けられています。アメリカの経営学者のフィリップ・コトラー氏によると、ブランドとは次のように定義されています。
「ブランドとは、個別の売り手もしくは売り手集団の商品やサービスを識別させ、競合他社の商品やサービスから差別化するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたもの。」
企業ブランディングとは、単に製品やサービスを市場に提供するだけではありません。価格競争が激化する中、企業自体が競合と差別化し、クリエイティブなブランドイメージを築くための重要な戦略となります。
リード(見込み客)や取引先、投資家などステークホルダー(関与する利害関係者)に企業の価値やアイデンティティを訴求し、ブランドへの共感や認知を深めるというプロセスです。特にBtoBでは、強固な企業ブランディングが商談の成功に直結し、長期的な関係構築においても中心的な役割を果たします。
ブランド力の向上は、情緒的価値の創出やステークホルダーの関心を増すことにもつながり、企業の競争力を高める要素となります。企業はブランディングを戦略的に展開し、市場でのポジショニングと認知度の向上を図る必要があるでしょう。
BtoBとBtoCの違い
BtoB(ビジネス・トゥ・ビジネス)とBtoC(ビジネス・トゥ・コンシューマー)のブランディング戦略は、その対象となる顧客層において根本的な違いがあります。BtoBとBtoCのターゲットの違いに基づいて戦略を細分化し、それぞれのニーズに合わせたアプローチが必要です。
BtoBでは、企業が他の企業をターゲットとしており、長期的な取引関係の構築が中心です。ブランドイメージの構築や認知度が上がることが重要で、企業価値や信頼性の訴求が求められます。
一方、BtoCは最終消費者が対象で、製品やサービスの直接的な購買促進が目的です。感情的な共感やブランドへの愛着・感情移入を構築することが重要となり、消費者の生活や価値観に寄り添うマーケティングが効果的です。
BtoBでは、意思決定プロセスが複雑で、経済合理性や技術力、サービスの品質などが重視されます。BtoCでは、消費者の直感や感情、トレンドへの敏感さがより大きな役割を果たすのです。
なぜBtoB企業にこそブランディングが必要なのか
BtoB企業におけるブランディングの必要性は、その本質にあります。単なるマーケティング戦略を超え、企業の競争力を高め、持続可能な成長を促進する核心的な要素となるためです。
競争が激化し、製品やサービスがコモディティ化する現代市場において、企業ブランディングは差別化と競争力の強化に不可欠です。一貫性を追求する企業イメージの構築や認知度の浸透は、取引先の意思決定プロセスにおいて重要性が高く、企業価値の訴求と信頼関係の構築に寄与します。
特にBtoBブランディングに投資する動機として、採用や社内のモチベーション向上のためのインターナルブランディングや、取引の拡大を狙ったBtoBブランディングによるブランド拡張が着目されています。
長期的なビジネス関係が成功の鍵を握るため、相手企業に好意的に受け止められていると決裁されやすかったり、採用においては知名度の高い企業やイメージが浮かびやすい企業が求職者に選ばれやすかったりするなど、共感や信頼を築くことの影響は極めて重要です。
そういった場面で門前払いにならないためにも、ブランディングは商談の有利な進行、取引先との良好な関係構築、市場でのポジショニングが決まるために不可欠な要素です。
加えて、企業のパーパスやビジョンを明確に伝え、顧客やステークホルダーに企業の存在意義や価値を認識してもらうための力強い手段なのです。
BtoBブランディングがもたらす効果は、利益率(ROMI)増加とコスト削減のどちらの要素にも貢献するものです。企業の成長や組織変化に応じて、リブランディングを行うことも有効となるでしょう。
BtoBブランディングの基本
BtoBブランディングの基本から確認していきましょう。
自社の立ち位置・強み・弱みを分析する
ブランディングの基本は、自社の立ち位置、強みと弱みを正確に分析し、独自の軸となるブランドアイデンティティを確立するところから始まります。
具体的なターゲット顧客やステークホルダーに対して、どのようにそのブランドを伝えたいのかを明確にしましょう。
自社の立ち位置を分析する際には、市場内でのポジショニング、競合との比較、そして自社の製品やサービスが提供する独自の価値や解決策を理解することが重要です。
SWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)を用いることで、企業が直面する内部と外部の環境を包括的に評価できます。企業の競争力の源泉を特定し、市場での差別化ポイントを明らかにすることが目的です。
また、可能であればこの段階でコンサル・支援会社などの第三者に介入してもらうと、より本質に迫れるでしょう。
ブランドアイデンティティを確立する
ブランドアイデンティティを創ることとは、曖昧で抽象的になりがちな企業の「存在意義」や「パーパス」を明確にし、「企業が戦略的に創り上げる見られたい姿」を社内外に伝えることであると言えます。
ビジョン、ミッション、バリューなど、企業が何を大切にしているのか、どのような価値を提供したいのかといった裏のストーリーの定義も含め、社員を味方にして巻き込むという発想も大切です。
典型的な例ですが、社外の商談時にブランドメッセージと社員の発言が乖離してしまうと、マイナスイメージや誤解を与えてしまうことがあるためです。会社に対する愛着心や帰属意識を醸成させましょう。
ブランドアイデンティティには、ロゴ、スローガン、使用する色やフォントなどのビジュアルアイデンティティだけでなく、企業が取り組む社会的責任や倫理観も反映されます。
ただし、企業の価値観を押し付けてしまうことや、環境問題や人権問題などにも無頓着であった場合、炎上リスクとなる可能性が高まるため、現代のブランディングには向いていません。今後は、社会課題に対して、社会と手を取り合うようなブランドアイデンティティが望まれるでしょう。
「誰」に「どうやって」伝えたいかを明確にする
ブランディングの伝達手法を策定する際には、「誰に(ターゲット)」「どのようなメッセージを(コンテンツ)」「どのようなチャネルを通じて(メディア)」伝えたいのかコンセプトを明確に言語化しなくてはなりません。
ターゲットの特定では、取引先企業の意思決定者や影響力のあるステークホルダーを理解し、彼らのニーズや課題に対する洞察を深めることが重要です。メッセージの内容は、企業のブランドアイデンティティとターゲットのニーズとを繋げ、共感や信頼を喚起する必要があります。
伝達手段には、オウンドメディア、ソーシャルメディア、展示会、ウェビナーなど、さまざまなチャネルからの情報発信が考えられますが、ターゲットごとに最適な手段の選択が成功の鍵になります。
ステップを踏むことで、BtoB企業は強固なブランディング戦略を構築し、市場での差別化と競争優位を確立できます。企業ブランディングは、単に製品やサービスの売上だけでなく、企業とそのステークホルダーとの深い関わりの構築を意味します。
最終的に「この課題解消にはこの会社(自社)」という第一想起を獲得し、選択されることが大切です。
リソースが限られる中でも取り組みやすいBtoBブランディング施策例
リソースが限られている中でBtoB企業が取り組みやすいブランディング施策には、オウンドメディアの活用やSNSを通じたコンテンツ発信があります。
企業ブランディングにおいて「誰に」「どうやって」伝えたいかを明確にし、ターゲットとなる顧客やステークホルダーに対して一貫したメッセージを発信するための効果的な手段となるため、ポイントをしっかり確認しましょう。
オウンドメディア・コンテンツ発信
オウンドメディアは、企業が自らコントロールできる媒体チャネルであり、ブログやコーポレートサイト、ニュースレター、動画、音声などが該当します。
自社の世界観やストーリーを表現しやすく、メディアを通じて、業界のインサイトや事例、ノウハウ記事を発信することで、ブランドイメージの構築と認知度の向上を目指せます。コンテンツの質が高いほど、読者からの信頼を得られ、企業の専門性と権威性を示すことができるしょう。
現代は顧客が新しい商品やサービスに興味を持ってから比較検討し、購入に至るまでのプロセス(バイヤーズジャーニー)が変化しています。営業活動で顧客に初めて接点をもつ時点でほぼ勝負がついており、すでに情報収集・比較が済んでいるといった状態です。
SEO(検索エンジン最適化)を意識したコンテンツ作成を行えば、オーガニック検索からのトラフィックを増やし、潜在顧客や情報収集・比較段階の顧客にリーチすることも可能です。
立ち上げから軌道に乗るまではコストがかかりますが、一度作ったコンテンツは長く活用できるため、中長期的に見た場合の費用対効果は高くなるでしょう。
SNS
SNSの活用は、比較的少ないリソースで始められるブランディング施策で、開始するハードルが低いのが特徴です。
LinkedIn、Twitter、Facebookなどのプラットフォームを通じて、企業の最新情報、業界ニュース、製品やサービスに関する内容を定期的に共有することで、ターゲットオーディエンスとのタッチポイントとなります。直接接点を持つことで関係性を築くことができ、ブランドの認知度を高められます。
また、SNSは双方向性のコミュニケーションが可能であるため、顧客や業界関係者とのエンゲージメントを深める絶好の機会です。ハッシュタグの活用や業界関連のディスカッションに参加することで、関連性の高いコミュニティ内での存在感を高められます。
BtoBのブランディング成功事例
BtoBのブランディングにおける成功事例を2つ紹介します。
富士通
これまでもオウンドメディア「Fujitsu Journal」を通じて、グループが取り組む幅広い領域について情報提供を行ってきた富士通。
現在、全社DXプロジェクト「Fujitsu Transformation(フジトラ)」の一環として、オウンドメディア「フジトラニュース」を運営しています。
フジトラニュースのYouTubeチャンネル、SNSアカウントも運営中で、「IT企業からDX企業へ」というグループ方針を印象付けようとしています。
フジトラニュース: https://www.fujitsu.com/jp/microsite/fujitsutransformationnews/
SmartHR
クラウド人事労務ソフトを展開している株式会社SmartHR。
まずは認知拡大のためにTVCMや交通広告などを行っていましたが、中長期的な成長のためにブランディングを考え、サービスに込めるWebサイトのメッセージをリニューアル。
2020年には指名検索が前年比2倍に増加しました。
「働く」にフォーカスを当てたビジネスモデルを採用し、コンテンツやポッドキャスト番組なども配信しています。
参考2: https://unname.co.jp/btob-marketing/knowledge-blog/20220913-11#index_U4gRgUMS
まとめ:BtoBブランディングの必要性を理解して自社にとって適切なブランディングを行おう
BtoBのブランディングは、企業の心象を良くして顧客の記憶に留まるためだけの取り組みではありません。企画・コンテンツの共有やエンゲージメントを通じて、企業の価値やビジョンを伝え、市場での差別化と競争力の強化を図ることが必要です。
近年のビジネスの急速なデジタル化とともにBtoBのブランディングも進化し続けています。顧客との接点はWebサイトやSNSなどのオンラインにおいても手法は多岐にわたります。
また、SDGsやパーパス経営、ソーシャルイノベーションなど、企業の事業外への活動へも視点が向けられ、ビジネスを通して社会をよくする取り組みが求められるようになりました。
社会目的の取り組みを実践する企業に共感させ、自社だけでなくパートナー企業を巻き込んだ活動などがBtoBブランディングにおいても重要です。
リソースが限られている中でも、本記事の内容を踏まえることで、BtoBブランディングの必要性や構図を理解して戦略的な施策を実施すれば、成果が上がるでしょう。