BtoBの世界では、革新的なデジタルマーケティング戦略がビジネスの成長を加速させています。しかし、起業家や個人事業主などひとりでマーケティングに挑戦されている皆さんは、デジタル化といってもどこから手をつければいいのか迷うこともあるでしょう。
その取っ掛かりとなるように、この記事ではBtoB分野で成功を収めた6つの珠玉のデジタルマーケティング事例を厳選。各事例から学べる基礎知識、戦略の考え方、そして実際に結果を出すための具体的な秘訣を分かりやすく解説していきます。

BtoBマーケのいろは.com / 編集部

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BtoBデジタルマーケティングの定義と重要性

デジタルマーケティングとは

デジタルマーケティングは、インターネットやデジタル技術を駆使してターゲット市場とのコミュニケーションや関与を促進する手法の総称です。現代のビジネス環境において欠かせない戦略的アプローチとなりました。

特にBtoBマーケティングにおいては、デジタルマーケティング戦略の有効性がますます高まっています。

Webマーケティングとデジタルマーケティングの違い

Webマーケティングは、主にウェブサイトやオンラインプラットフォームを活用して行うマーケティング活動を指します。 ソーシャルメディア、メールマーケティング、検索エンジン最適化(SEO)、リスティング広告、コンテンツマーケティングなど、Web上の活動が含まれます。

一方デジタルマーケティングは、上記に加えて実際の来店情報や過去の購買履歴など、幅広いデジタルデータを活用して顧客との関係を築く総合的な戦略です。

Webマーケティングはデジタルマーケティングの中に含まれているということになります。

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BtoBデジタルマーケティングが必要とされる背景

デジタルマーケティングは、BtoB企業にとって必須とも言えるものになっています。

その背景についてご説明します。

インターネット普及による顧客の購買行動の変化

2000年以降、インターネットの普及で、消費者の購買行動が大きく変化しました。事前にオンラインで情報収集や比較検討を行い、より多くの情報を手に入れてから購買に踏み切る傾向が顕著になったのです。

この傾向はBtoBにおいても同様です。かつては、飛び込み営業やテレアポ、展示会やセミナーでの名刺交換など、対面でのコンタクトから徐々に関係を構築していく流れが主流でしたが、今はある程度の情報収集と比較検討が済んでから、問い合わせや商談へ至るケースが多くなりました。

この変化に対応するため、BtoB企業はオンラインでのマーケティング戦略展開を充実させて顧客の注目を集め、関心を引き、購買意欲を育成する必要が生じています。

BtoCとBtoBの購買プロセスの違い

BtoC(ビジネス・トゥ・コンシューマー)とBtoB(ビジネス・トゥ・ビジネス)の購買プロセスには大きな違いがあります。

BtoCでは、消費者は個人の欲求や感情に基づいて購買判断を行うことが多いのですが、BtoBでは複数の決裁者がいるなど意思決定プロセスが複雑で、各フェーズにおいて多くのステークホルダーの関与があります。

デジタルマーケティングは、BtoBの購買プロセスにおいて、情報提供や説明を通じてステークホルダーの理解を深め、共感を呼び起こす役割を果たします。

顧客に最適化した接点を複数持つことができる

デジタルマーケティングの大きなメリットは、顧客との接点を多様なデジタルチャネルを通じて確立できることです。

Webサイト、ソーシャルメディア、メールマーケティング、検索エンジン広告などのチャネルを活用することで大幅な集客が見込めるほか、フェーズごとに顧客に適切な情報を提供し、タイミングを見計らって関与を促すことが可能です。

顧客の購買プロセスに寄り添い、よりパーソナライズされた体験を提供できるのです。

インバウンドマーケティングの例

インバウンドマーケティングは、顧客が自ら情報を探し求めてアクセスする手法です。

インバウンドマーケティングにより、興味を持っている顧客との接点が生まれ、購買意欲を高めやすくなります。

例えば、業界の専門的な情報を提供するブログやホワイトペーパーを制作し、Webサイト経由で潜在顧客の認知を獲得し、集客に繋げるという方法などがあります。

アウトバウンドマーケティングの例

アウトバウンドマーケティングは、企業がプロアクティブに顧客に対して情報を提供する手法です。

電子メールやダイレクトメール、リスティング広告などがこれに該当します。

例えばリスティング広告の場合、特定の業界向けに広告を出すことで、よりニーズの高い顧客層にアプローチできるのです。

労力やコストが抑えられる

デジタルマーケティングは、労力やコストを効果的に抑える手段としても注目されています。

従来のオフラインの営業活動や広告手法に比べて、デジタルマーケティングではターゲット層へのアプローチが効率的に行えるからです。

また、デジタルマーケティングのツールやプラットフォームの活用により、ターゲットの絞り込みや成果の計測が容易に行えるため、投資対効果(ROI)の向上も期待できます。

ご紹介した通り、インターネットの普及と購買プロセスの変化に伴い、BtoBデジタルマーケティングは企業にとって不可欠な戦略となりました。

多様なデジタルチャネルを通じて認知獲得・集客を行い、効果的なリードジェネレーションやブランディングを実現することで、競争激化する市場で成功を収める道が開かれます。

BtoBデジタルマーケティングの具体的な施策

BtoBデジタルマーケティングでは具体的にはどのような施策があるかを詳しくご紹介します。

目的や自社の強み・課題に合わせて、複数の施策を組み合わせることでより高い効果が期待できます。

リードジェネレーション

リードジェネレーションとは潜在顧客(リード)を集め、興味を持ってもらうプロセスを指します。リードジェネレーションは、BtoBデジタルマーケティングの重要なステップです。

SEO対策、オウンドメディア、Web広告、SNS、ホワイトペーパーなど、多様な施策を組み合わせて行います。

SEO対策

SEO(Search Engine Optimization)対策は、ウェブサイトの検索エンジン上位表示を目指す取り組みです。ターゲットとなるキーワードに関連するコンテンツを提供し、検索エンジンからの流入を増やすことで、質の高いリードを獲得します。

オウンドメディア

オウンドメディアは、自社メディアを通じて情報を発信する手法です。ビジネスブログやコンテンツ制作を通じて、業界の専門知識を提供し、ターゲット顧客に価値を提供することで、関心を引きつけます。

Web広告

Web広告は、ディスプレイ広告やリスティング広告などを通じて、ターゲット顧客に直接アプローチします。リアルタイムな効果測定やターゲティングが可能であり、効率的なリード獲得を支援します。

SNS

ソーシャルメディア(SNS)を活用して、ターゲット顧客とのコミュニケーションを促進します。コンテンツ共有や対話を通じて、顧客との関係を構築し、興味を持ってもらいます。

ホワイトペーパー

ホワイトペーパーは、業界の課題や解決策について詳細に解説した資料です。高度な専門知識を提供することで、ターゲット顧客の信頼を得て、リードを獲得します。

リードナーチャリング

リードナーチャリングは、獲得したリードを育成し、購買意欲を高めるプロセスです。メールマーケティングやマーケティングオートメーション(MA)を活用して、リードに対する適切な情報提供やコミュニケーションを行います。

メールマーケティング

メールマーケティングは、ターゲットリストに対して定期的にメールを送信する手法です。最適なタイミングで情報提供やニュースを送ることで、リードとの関係を深め、購買まで導きます。

MA(マーケティングオートメーション)

MAは、自動化ツールを用いてリードへの情報提供やコミュニケーションを効率的に行う手法です。リードの行動履歴や興味を元に、パーソナライズされたコンテンツを提供します。

リードクオリフィケーション

リードクオリフィケーションは、獲得したリードの中から、購買に繋がりやすい優良なリードを特定するプロセスです。リードスコアリングや顧客の興味関心に基づいて、優先度を付けて対応します。

BtoBデジタルマーケティングは、これらのプロセスと具体的な施策を組み合わせて展開されます。リードジェネレーションからナーチャリング、クオリフィケーションまでの一連のステップを通じて、効果的なリードの獲得と育成を実現し、最終的には成功事例を創出することが求められます。

BtoBデジタルマーケティングの成功事例6選

BtoBデジタルマーケティングの成功事例を、ポイントとともにご紹介します。

富士通株式会社

幅広い商材を取り扱う、総合エレクトロニクスメーカー・総合ITベンダーの富士通。これまで商材ごとにコンテンツが乱立していたため、必要な情報へのアクセシビリティが課題となっていました。

そこで富士通では、コンテンツの編集・管理に動的CMSを導入。ユーザー情報や行動履歴からニーズを割り出し、コンテンツを出し分けできるよう改善しました。

ポイント:コンテンツガイドラインの設定

CMS導入にあたり富士通が取り組んだのは、ユーザー視点による全体の設計と、コンテンツの編集方針の標準化です。ユーザーはもちろん制作者にとってもわかりやすくなったことで、コンテンツの質の向上に繋がりました。

https://markezine.jp/article/detail/32664

株式会社村田製作所

1944年創業の老舗電子部品メーカーである村田製作所。

近年、すでに情報収集を済ませてからリードがコンタクトを取ってくるケースが増え、購買行動の変化を実感していたそうです。

そこでMAツールの「Adobe Marketo Engage」を活用してナーチャリングに注力したところ、成果が上がり始めました。

ポイント:アプローチの継続的な検証と最適化

MAをただのメール配信自動化のために使うのではなく、データ分析を行いながらアプローチの最適化に地道に取り組んだことが成功に繋がりました。

https://business.adobe.com/jp/customer-success-stories/murata-case-study.html

株式会社ブイキューブ

ライブ配信やリモートのソリューションを提供する株式会社ブイキューブ。

リード獲得数を伸ばし、かつ中長期的にリターンを得られる施策を模索し、アナリティクスの整備とコンテンツマーケティングに注力しました。

結果、半年でセッション数が前年比7倍、リード件数も10倍以上に成長。受注率も前年同月比で3倍増となりました。

ポイント:目的が明確なサイトリニューアル

ブイキューブが保有していた複数サイトの役割を明確化し、提供領域であるテレワークを軸としたオウンドメディアを設計。

目的意識をもったサイトリニューアルを行ったことで、ターゲットしたキーワードでのアクセスを集めることに成功しました。

https://moltsinc.co.jp/media/result/7147/

コニカミノルタジャパン株式会社

複合機(MFP)・プリンターのソリューションを提供するコニカミノルタ社。短期的なリード獲得に繋がる施策が優先され、Webサイトの整備が後手に回っていることに課題感をおぼえ、改善に着手します。

アクセス解析から課題の把握を行い、しっかりと時間をかけてコンテンツを作り込んだ結果、創出案件数は昨年度対比158%増、創出案件金額は160%増となりました。

ポイント:3つの視点で課題を分析

  • ユーザー目線でのヒューリスティック分析
  • アクセスデータ解析
  • 企業目線でのありたい理想とのギャップ

という複数の視点から総合的に鑑みたことで、多数の課題顕在化に繋がったとのことです。

https://note.com/kmj_marketing/n/n431571f1dda4

株式会社ロジクエスト

1985年の創業から配送サービスを手掛け続ける物流企業、株式会社ロジクエスト。ドライバー不足に悩む企業から、配送業務の委託などを受けています。

これまで営業は対面やオフラインが中心で、属人化や効率面が課題となっていました。そこで、見込み顧客の一元管理を目指し、MAツールの「SATORI」を導入。見込み顧客への効率的なアプローチが功を奏し、アポイントの獲得が3倍以上に増加。アポからの成約件数も安定して伸びているとのことです。

ポイント:ホットリードへの効率的なアプローチ

メルマガ配信後や、Webサイトの見積もりフォーム利用者へのアプローチは、架電のみに比べて特に高いアポイント獲得率を出せているとのこと。インサイドセールスとマーケティング部門が情報共有することで、フィールドセールスの効率化に貢献しています。

https://satori.marketing/case/logiquest/

ログリー株式会社

ログリーは、ネイティブ広告プラットフォーム「LOGLY Lift」を提供する企業です。リード獲得のため、インタラクティブコンテンツ配信ツールを導入しました。

インタラクティブコンテンツとは、クリックなどユーザーのアクションに反応して情報を提供するコンテンツのこと。バナーなどの静止画よりもリード獲得に効果的であるとも言われています。

サービス資料を埋め込んでWebサイト上で読めるようにしたり、関連するブログ記事への導線を敷たりしたことで、2倍近くリード獲得数が改善しました。

ポイント:ユーザー体験を損なわない工夫

ログリーのサイトでは、コンテンツの見せ方をポップアップではなく全画面表示に切り替えました。すると、サービス資料を閲覧しながらそのまま問い合わせフォームまでシームレスに移動できるようになったため、ユーザー体験を損なわずに問い合わせに繋がったとしています。

https://x-opt.io/case/340

成功事例から学ぶBtoBデジタルマーケティングの実施ポイント

BtoBデジタルマーケティングの成功事例を通じて学ぶべきポイントは多岐にわたります。以下では、成功事例から導き出される実施ポイントを解説します。

マーケティング活動の目的を明確化

成功事例を分析する際に注目すべきは、企業のマーケティング活動の目的です。

マーケティング活動を通じて何を達成しようとしているかが明確であることが重要です。例えば、特定のセグメントに対する認知度向上やリードの獲得、成約率の向上など、目的に応じて施策や戦略が異なります。

現状から正確に課題を把握し、解決に向けた仮説を立て、活動の目的を明確にしましょう。

「STP」で基本戦略を立てる

STP(Segmentation、Targeting、Positioning)モデルを適用して、マーケティングの基本戦略を立てることが成功の鍵となります。

まずは市場をセグメントに分け、各セグメントごとに最適なターゲットを特定します。

そして、そのターゲットに対してどのように差別化し、ポジショニングするかを検討します。このプロセスを踏まえて戦略を構築することで、効果的なメッセージングとターゲティングが可能です。

カスタマージャーニーを描く

各施策は、点ではなく、線でつながっていなければなりません。認知から購買に至るまで顧客がどのようなフローを経るのか、戦略全体を俯瞰で可視化しておきましょう。

適切なKPIの設定

成功事例には、適切なKPI(Key Performance Indicator)の設定が欠かせません。

目標に合ったKPIを選定し、それを達成するための戦略を展開します。例えば、リード獲得を目指す場合にはコンバージョン率やリード数、購買率などが重要なKPIとなります。

PDCAサイクルを回す

PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを徹底的に回すことが、持続的な成功への道です。計画を立てて実行し、その成果をチェックし、得られた情報を元に改善策を打ち出すサイクルを繰り返すことで、マーケティング活動を最適化します。

さきほどご紹介した成功事例の企業は、継続的なPDCAを通じて戦略の精度を高め、成果を最大化しています。

営業部門との連携

BtoBデジタルマーケティングの成功には、マーケティング部門と営業部門の緊密な連携が不可欠です。

リードの質を向上させ、成約率を高めるためには、マーケティングからのリード情報を営業が的確にフォローアップすることが重要です。また、営業のフィードバックを収集し、マーケティング戦略の改善に活かす体制を築くことも大切です。

BtoBデジタルマーケティングの成功を目指す際には、企業独自の戦略や施策を展開することが肝要です。成功事例から得られる知見を活かし、戦略の最適化を図ることで、効果的なデジタルマーケティングを実現しましょう。

【まとめ】他社の成功事例を自社のBtoBデジタルマーケティング戦略に活かすために

他社の成功事例は、自社のBtoBデジタルマーケティング戦略を洗練させるための貴重な情報源です。各事例からわかるように、「ツールや施策を導入したから成果が出た」という話ではありません。課題の把握、目的の設定、全体の戦略設計、効果測定と継続的な改善という、基本的なステップを着実に歩むことが成功へのカギです。

この記事で取り上げた成功事例から得られる洞察を、具体的なアクションプランに落とし込むことで、成果を最大化する道が開かれます。大企業のようなリソースは割けなくても、知見を取り入れつつ、独自のアプローチを加えて戦略を展開しましょう。

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