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BtoBのペルソナの具体例が知りたい。BtoCの事例はたくさんあるが、BtoBはイメージがわかない。
ペルソナ設定の手順がわからない。
BtoBでもペルソナって必要?
そのような方に、本記事ではBtoBにおけるペルソナの作り方について基礎から解説いたします。
- ペルソナの定義
- BtoBとBtoCでのペルソナ設定の違い
- ペルソナ設定のメリット
- 具体例で学ぶ、ペルソナ設定法とステップ
- ありがちな失敗を避けるための注意点
BtoBにおけるペルソナ設定についてお悩みの方は、ぜひ本記事を課題解決にお役立てください。
この記事の目次
ペルソナ(persona)とは?
BtoBビジネス新規顧客開拓のために、ペルソナ(persona)設定が重要です。ペルソナとはラテン語で「人格」という意味で、マーケティング戦略や商品開発において、理想の顧客像を具体的に定義した架空の人物のことです。
ペルソナは、実際の顧客データや市場調査に基づいて作られ、性別、年齢、職業、居住地、年収などの属性を表すデモグラフィック情報と、性格、趣味嗜好、価値観など意思決定に関わる内面的要因を表すサイコグラフィック情報を含みます。
製品やサービスを使用する理想的な顧客の属性情報を表すため、マーケターがターゲット顧客を理解し、効果的なマーケティング戦略を立案するのに役立ちます。
ペルソナとターゲットの違い
ペルソナとターゲットは混同されがちですが、両者には重要な違いがあります。ターゲットは、特定の製品やサービスに興味を持つ可能性が高い、広範な顧客群を指します。
ペルソナはこの広範なグループ内の具体的な架空の個人を指し、より詳細な特性やニーズを持っています。精度の高いペルソナを設定すれば、マーケターは顧客のニーズや振る舞いの深い理解が可能になり、よりパーソナライズされたマーケティング戦略を展開できるでしょう。
BtoBとBtoCのペルソナ設定の違い
BtoB(企業間取引)とBtoC(企業対消費者)のマーケティングでは、ペルソナの設定において異なるアプローチが必要です。
BtoCマーケティングでは、個々の消費者のライフスタイルや個人的なニーズに焦点を当てたペルソナが作成されます。一方、BtoBマーケティングでは、ペルソナは購買部門の担当者、部長、社長といった企業の決裁者や、特定の職業や役職を持つ個人を対象としています。
BtoBのペルソナには、前述のデモグラフィック・サイコグラフィックに加え、業種、企業の規模、職務内容、決裁権の有無、ビジネス上の課題や目標なども含めて設定することが望ましいです。 これら職業関連の属性情報を「ファーモグラフィック」と呼びます。
また、BtoBでは購買決定プロセスが複雑であり、複数のステークホルダーが関与することが多いため、ペルソナは複数人の意思決定者がいることを考慮して作成する必要があります。
BtoBにおけるペルソナ設定のメリット
ペルソナ設定のメリットは多岐にわたります。ペルソナの策定により、顧客の理解が深まり、マーケティング戦略や営業施策の精度が格段に向上します。
顧客解像度が明確になり、施策の精度が高まる
ペルソナを定義することで、理想的な顧客解像度が具体的かつ明確になります。
これは、購買行動、決裁権の有無、ビジネス上の課題やニーズなど、年齢や職業などのデモグラフィック情報だけでは測りきれない、より深い洞察が可能になるからです。
たとえば業務効率化ツールを販売したい場合、ターゲットする顧客が「わかりやすさ・使いやすさ」に重きを置いているのか、「カスタマイズ性」に重きを置いているのかによって、とるべき施策や広告内容は全く変わります。
ペルソナを用いて顧客解像度を高めることで、広告費や施策の無駄撃ちを減らし、課題に合わせて最適化した施策を展開できるでしょう。
顧客視点を想像しやすい
ペルソナは架空の顧客ですが、その背景や生活、働き方に至るまで細かく設定されるため、企業は顧客の視点を容易に想像することができます。
新しい製品やサービスの開発、マーケティングコンテンツの制作など、ユーザー視点でのアプローチをとる際に非常に有効です。また、顧客が製品やサービスを利用・購入するまでの過程を可視化したカスタマージャーニーマップの精度を高めるうえでも役立ちます。
ペルソナを通じて、顧客の感情や行動をよりリアルに理解し、彼らのニーズに対応した解決策を提供することが可能になります。
社内メンバーで共通認識を共有できるため、戦略の一貫性が保てる
ペルソナは、社内の異なる部門やチーム間で共有されることで、顧客に対する共通の理解を促進します。
マーケティング、営業、製品開発、カスタマーサポートなど、顧客に接するすべての関連部署が一貫したメッセージと価値提案を提供することが可能です。結果として、企業全体の戦略的な方向性が統一され、顧客体験の質が向上します。施策に関わる人との認識がぶれることなく、事業全体をスピーディに進めることができるでしょう。
BtoBにおけるペルソナの作り方4ステップ
BtoBマーケティングにおけるペルソナの作成は、顧客理解を深め、より効果的なマーケティング戦略を立案するため重要です。以下に、ペルソナ作成の進め方4ステップのプロセスを説明します。
1.バリュープロポジションの確立(市場・自社・競合分析)
バリュープロポジションとは、製品やサービスが顧客に提供する価値やメリットを明確に表したものです。市場における自社の位置づけを決定し、顧客に「なぜこの製品を選ぶべきか」を伝えるうえで不可欠なステップです。
ペルソナ作成の第一歩は、自社のバリュープロポジションを確立することから始まります。
市場ニーズの特定
- 顧客調査(アンケート、インタビュー)
- 市場分析(業界トレンドや市場の動向)
競合分析
- 直接的・間接的な競合の特定
- 競合のバリュープロポジション分析(どのような価値を提供しているか)
- 自社製品との差別化ポイントの特定
分析を通じて、自社が提供できるユニークな価値や解決策、ターゲット市場の未充足ニーズを特定します。SWOT分析などのフレームワークを使用することで、情報を体系的に収集し、評価できます。
2.ターゲット顧客情報の収集
ターゲットとなり得る顧客像を絞り込むために、まずは顧客情報を収集します。
SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)などのツールに蓄積した既存の顧客データベースのほか、業界レポート、市場調査、SNS、ヒアリング情報、アンケート結果、インタビューの分析などから情報を収集しましょう。
3.セグメント化し、顧客像を絞り込む
収集した情報を基に、顧客を属性ごとに異なるセグメントに分類することをセグメンテーションといいます。
セグメント化は、業種、企業規模、購買権限、職業、ビジネス課題、価値観など、さまざまな軸で切り分けることができます。
次に、セグメント化した顧客像の中から、優先的に戦略を展開すべきターゲットセグメントを絞り込みましょう。たとえば、以下のような観点から絞り込むことができます。
- 過去の購買データから、LTV(顧客生涯価値)が高い顧客の属性情報・行動情報に似たセグメントをターゲティングする
- そのセグメントが持つ潜在的なニーズを自社製品が解決しうる。差別化しやすい
- 既存のマーケティング戦略や販売チャネルを活かしてアプローチできる
収益性はもちろん重要ですが、最初に分析した自社のバリュープロポジションについても十分考慮してターゲティングしましょう。
4.最も代表的な顧客像からペルソナを作成する
3で選定した各セグメントから最も代表的な顧客像を選び、その人物を基にペルソナを作成します。先述したとおり、BtoBで使われる企業ペルソナと、BtoCで使われる個人ペルソナでは、ペルソナ設定に必要な項目が異なる点に注意しながら進めていきましょう。
ペルソナは実在の個人ではありませんが、選定したセグメントの典型的な特徴を体現した架空の人物像です。名前、年齢、職業、業種、役職、所属部署、社風、具体的なニーズや課題、情報収集の方法、購買決定プロセスなど、詳細な情報を含めることが重要です。
マーケティングチームは、ペルソナのニーズや課題に直接対話するようなコンテンツや製品を設計しやすくなるでしょう。
ペルソナのゴールは顧客に振り向いてもらう的確な表現を見出すこと
マーケティング活動や営業活動では、顧客を振り向かせるための的確なメッセージ(キャッチコピー)を見出すことが重要です。
そのためには「誰に」「何を」「どうやって訴求するか」を探求しなければなりませんが、これらの解像度が低いと、的はずれで凡庸な訴求になってしまいます。
そこで役立つのが、ペルソナ設定です。
実態に即した精緻なペルソナ像を描けていれば、メッセージの精度を高めることができるでしょう。
また、メッセージは自社の特性・独自性を踏まえたものである必要もあります。顧客や市場に寄り添うばかりで、自社の強みへの視点が欠けていると、市場で競り負けるリスクもあるのです。
他社にない、自社だけが打ち出せる強みを理解し、魅力を的確に伝えられるキャッチコピーを探求していきましょう。
あくまでもペルソナは顧客理解の手段です。「顧客像」×「自社の強み」にズレを感じたときは、一度設定したペルソナ像やキャッチコピーに固執せず、根気よく見直しをはかることをおすすめします。
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BtoBにおけるペルソナの例
BtoBにおけるペルソナの設定例を2つご紹介します。曖昧で抽象的な表現は避け、具体的に記載することが大切です。
例1. ITソリューションの場合
ペルソナ名 | 現場での効率化を求めるシステム管理者:「解決志向の技術者」Aさん |
年齢 | 32歳 |
業界 | 製造業 |
企業規模 | 中堅企業(従業員数500-1000人) |
職位 | システム管理者 |
課題 | 現行のITインフラによる作業の非効率性と、システムの不具合に対応する時間の増加 |
ニーズ | ・日常の業務をスムーズにし、システムの安定性を向上させることで、作業効率を高めたい ・ユーザーフレンドリーなインターフェースを持つソリューションを求めている |
情報源 | 専門誌、オンラインフォーラム、同業他社のレビューやケーススタディ |
影響力 | ・決裁権は持たないが、ITインフラの日々の運用を担当し、問題点やニーズを最もよく理解している ・新しいソリューションの提案や、導入に関する決定において重要なアドバイザーの役割を果たす |
コミュニケーション戦略のポイント | ・具体的な利益の提示: 直面している日々の課題を解決することで、どのような具体的な利益(時間の節約、作業効率の向上など)が得られるかを強調する ・専門知識の共有: 技術的な詳細や導入事例を通じて、製品の信頼性と効果を示す。上層部に提案する際に役立つ情報を提供する ・サポート体制の紹介: 導入後のサポート体制や、問題が発生した際の迅速な対応を紹介することで、懸念を軽減する |
例2. コンサルティングサービスの場合
ペルソナ名 | 成長を目指す経営者:「戦略的思考家」Bさん |
業界 | スタートアップ企業 |
企業規模 | 小規模企業(従業員数50-200人) |
課題 | 急速な成長に伴う組織のスケーリングと運営の効率化 |
ニーズ | 組織の成長戦略、人材育成、プロセス改善に関する専門的なアドバイスを求めている |
決定プロセス | コンサルティングサービスの実績、専門性、提供する価値に関する情報を基に判断する |
情報源 | 業界のリーダー的存在や専門家からの推薦 ビジネス関連の書籍、専門誌、ブログ ネットワークイベント、セミナー、ワークショップ ケーススタディ、顧客の証言、成功事例 |
影響力 | ・組織の戦略的方向性を決定する中核的な役割を担う ・会社の長期的な成功に直接貢献する決断を下す ・新しいアイデアや提案に対してオープンで、組織全体の利益を考慮した意思決定を行う |
コミュニケーション戦略のポイント | ・専門性と実績の強調: コンサルティングサービスが過去に達成した成果や、特定の課題を解決した具体的な事例を前面に出し、直面している課題への適用可能性を示す ・信頼構築: 推薦や顧客の証言を利用して、サービスの信頼性と価値を証明、同業界や類似の経営課題を持つ他のスタートアップでの成功事例を共有する ・情報提供による教育: 最新の業界トレンド、戦略的な洞察、組織成長に役立つリソースを提供することで、鈴木氏が自社のビジョンと戦略をさらに洗練させる手助けをし、コンサルティングサービスがどのようにして目標達成に貢献できるか明確にする ・パーソナライズされたアプローチ: 特定のニーズに合わせ、カスタマイズされた提案を行い、サービスがどのように具体的な課題解決に寄与するかを示す 長期的なパートナーシップの構築に焦点を当て、継続的なサポートと成長のための戦略的アドバイスを提供する |
BtoBにおけるペルソナをマーケティング戦略へ活用する方法
ペルソナマーケティングで戦略を最適化する方法を解説します。ここでは、ペルソナを活用したコンテンツ戦略、広告、製品開発の手法を紹介します。
コンテンツ戦略
ペルソナをコンテンツ戦略に組み込むことで、ターゲット顧客のニーズ、疑問、課題に直接対応する内容を制作できます。
サービスの紹介やプロダクトの説明に留まらず、ペルソナの属性、関心事、職業上の役職、カスタマージャーニーの各段階に応じたコンテンツを企画し、制作します。
たとえば、決裁権を持つ経営者向けには、ROIや費用対効果を強調したホワイトペーパーやケーススタディを、技術担当者には製品の機能性や技術仕様を詳述したブログ記事やチュートリアルを提供します。
ペルソナをコンテンツ作成に活用すれば、リードの関心を引き、エンゲージメントを高め、リードジェネレーション・リードナーチャリングを効果的に行えるでしょう。
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広告
ペルソナの詳細な理解を広告戦略に活かすことで、ターゲットに対するメッセージの精度を高め、広告の費用対効果を向上させることが可能です。ペルソナのデモグラフィック情報、業種、職業、関心事を基に、最も効果的な広告チャネル(LinkedIn、Google Ads、業界特化型のWebサイトなど)と広告コピーを選定します。
具体例を挙げてみましょう。
たとえば、ITソリューションサービスのターゲットペルソナとして、「新しいテクノロジーを積極的に取り入れたいと考えて日々情報収集しているが、予算の制約と上層部の承認プロセスに苦労している」という像を設定したとします。
このペルソナに訴求するには、上層部を説得しやすくなるように、「コストパフォーマンスの高さ」や「導入ハードルの低さ」などを押し出すと有効かもしれません。
また、「日々情報収集している」ということから、ペルソナがよく閲覧していそうなテクノロジー系メディアやSNSなどに絞って広告出稿すると、効率的にリーチできる可能性が高まります。
さらに、ペルソナの課題やニーズに響く言葉遣いやビジュアルを用いることで、高いクリックスルーレート(CTR)とコンバージョン率の達成が期待できるでしょう。
製品開発
ペルソナは製品開発プロセスにおいても重要な役割を果たします。顧客のニーズ、使用環境、課題を理解することで、製品やサービスの機能、デザイン、ユーザーインターフェースを顧客中心に設計できます。
特定の業界で働くペルソナが抱える固有の課題に対処する新機能の追加や、特定の役職のユーザーがより使いやすいようにインターフェースを調整するなどが考えられます。ペルソナ像が明確であれば実際の利用シーンも想像しやすいでしょう。
また、製品の価値提案をペルソナのビジネス目標や価値観と連携させることで、製品の市場適合性を高め、顧客満足度を向上できます。
BtoBにおけるペルソナ設定の注意点
ペルソナ設定はBtoBマーケティング戦略において極めて有効なツールですが、正しく実施しなければ、その効果は半減してしまいます。
ペルソナ設定における重要な注意点を理解することで、よりリアルで有効な顧客像を構築することができるでしょう。
実態と異なる、企業目線の理想像を当てはめない
ペルソナを作成する際には、自社の製品やサービスを使用してほしいという願望から、理想化された顧客像を作り上げてしまうことがあります。
しかし、自社の理想や思い込みの設定は避けなくてはなりません。企業目線で作成された理想像は、実際の市場ニーズと乖離している可能性が高く、マーケティング戦略の効果を低下させるためです。
ペルソナは実際の顧客データ、市場調査、顧客インタビューなどに基づいて作成されるべきであり、実際の顧客のニーズ、課題、行動パターンを正確に反映する必要があります。
ペルソナは複数設定する
BtoB市場における顧客は多岐にわたるため、一つのペルソナだけに絞ることですべての顧客の代表となることはできません。
異なる業種、企業規模、役職、購買権限を持つ個々の意思決定者や影響力を持つ人物に対応するために、仮説を基に想定したそれぞれの構成要素を組み込んだ複数のペルソナを設定することが重要です。
マーケティング施策を各ペルソナの具体的なニーズに合わせてカスタマイズすれば、より高いエンゲージメントとコンバージョンを実現できるでしょう。
定期的な見直しを行う
市場環境、競合状況、顧客ニーズは常に変化しています。最初に作成したペルソナはあくまで企画段階のものとし、変化する顧客の実態を反映し続けるためには定期的な見直しが必要です。
営業部門やインサイドセールスなど、顧客に接する会社員に意見をヒアリングし、顧客からのフィードバック、業界のトレンド、新たな競合分析などを定期的に行いましょう。
ペルソナを現状に合わせて少しずつブラッシュアップすることで、マーケティング戦略の有効性を維持し続けることが可能です。
まとめ:ペルソナ設定でBtoBマーケティングの効果を最大化させよう
本記事では、BtoBにおけるペルソナの重要性や作り方、活用方法などを解説しました。ペルソナの設定は、マーケティング戦略やコミュニケーションの効果を最大化するために重要です。
BtoB、BtoCを問わず、ペルソナをマーケティング戦略に組み込むことで、企業は顧客との関係を深め、製品の市場適合性を高め、最終的には売上と顧客満足度の向上に貢献することができます。
注意点を考慮しながら、ペルソナ設定によって効果的なマーケティング戦略を立案するための基盤を築いてみましょう。