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BtoBマーケティングに取り組みたいが、経験もリソースもない。
BtoCとBtoBは何が違うのか?
よそのBtoB企業はどんなことをやっているのか?
社内にマーケターがいない。起業したばかり。これからBtoBビジネスを始めたい…etc.
限られたリソースの中でも独学でマーケティングに取り組もうとしている方のために、本記事ではBtoBマーケティングの基礎知識を解説いたします。
- BtoBとBtoCの違い:マーケティング戦略で重視すべき点
- BtoBマーケティングで人気の手法
- 事例に学ぶ、BtoBマーケティング成功の法則
途中、そのテーマについてより詳しく深堀り解説している関連記事へのリンクも貼っています。ぜひ本記事を貴社の課題解決にお役立てください。
この記事の目次
BtoBマーケティングとは?
BtoBマーケティング(Business-to-Business Marketing)は、企業間取引を対象としたマーケティング活動のことを指す用語です。
BtoBマーケティングでは、企業が自社の製品やサービスを他の企業に対して販売することを目的としています。つまり、ターゲットは一般消費者ではなく、ビジネスを運営する組織や企業です。
購買プロセス・動機などが、個人とは大きく異なります。
市場戦略の立案、コミュニケーション手法、販売プロセスもターゲットを企業に特化して行う必要があります。
BtoCマーケティングとの違い:人・期間・購買プロセス
BtoBマーケティングとBtoC(Business-to-Consumer)マーケティングとの主な違いは、対象顧客の性質、購買プロセスの複雑さ、そして決定に至るまでの時間にあります。
BtoBマーケティング | BtoCマーケティング | |
対象顧客 | ・企業や組織 ・意思決定者(決裁者)が複数いる場合がある |
・一般消費者 ・ターゲット=意思決定者 |
購買プロセス | ・複雑で長期的 | ・比較的シンプルで短期的 |
購買動機 | ・ビジネス上の目標・課題解決 ・コスト削減、効率化など |
・個人の欲求や感情 |
- 対象顧客: BtoBは企業や組織が顧客であり、BtoCは一般消費者が対象です。BtoBの場合、購入決定は複数人のステークホルダーによる合意を必要とすることが多く、その過程でさまざまな部門の意見が反映されます。
- 購買プロセス: BtoBの購買プロセスは、一般的にBtoCに比べて複雑で長期間にわたります。製品やサービスの1案件あたりの単価が比較的高額で、ROI(投資収益率)などの検証が必要であったり、複数の部門の承認が必要であったりするためです。
- 購買動機: BtoC市場の購買動機は個人の欲求や感情に大きく左右されますが、BtoB市場ではコスト削減、効率化、収益性向上などのビジネス上の目標が購買動機の中心となります。
BtoBがマーケティングに注力すべき理由
デジタル化が進み、企業の購買行動は大きく変容しました。現代の顧客は営業担当者に会う前に、オンラインで情報収集・比較検討を済ませ、意思決定を進めています。
つまり、商談に至る前に勝負はついてしまっているのです。
このような背景から、営業部門とマーケティング部門の分業化を行い、BtoBマーケティングに注力する企業が増えています。
一方、デジタルマーケティングのおかげで、営業担当者やマーケターを持たないスモールビジネスであっても、効率的にターゲット顧客へ接触できるようになったという側面もあります。
むしろリソース不足に悩むBtoBこそ、マーケティングを学んで上手く活用すべきと弊社は考えます。
BtoBマーケティング・プロセス
BtoBマーケティングの全体像を以下のステップに分けてご紹介します。
- デマンドジェネレーション
(リードジェネレーション・リードナーチャリング・リードクオリフィケーション) - 営業活動・商談
- 受注
- リピート・継続購入
これからBtoBマーケティングに取り組みたいと考える方にとっては少し複雑に思えるかもしれません。しかし各ステップを丁寧に進め、顧客のニーズに対して真摯に応える姿勢があれば、成果につながるはずです。
リードジェネレーション(Lead Generation:リード獲得)
リードジェネレーションは、購入の見込みがある顧客(リード)を獲得するプロセスです。
用いられる戦略には以下のようなものがあります。
- コンテンツマーケティング
- SEO(検索エンジン最適化)
- SNSマーケティング
- ウェビナー
- 業界イベントの出展 など
重要なのは、需要と経路(チャネル)を見極めることです。ターゲット顧客にとって有益な情報を、適切なチャネルを通じて提供することで、自社への興味を喚起します。
リードナーチャリング(Lead Nurturing:リード育成)
獲得したリードを購買に向けて導く(育成する)プロセスを、リードナーチャリングと呼びます。リードとの関係を強化し、信頼を築くプロセスです。
リードナーチャリングの手法としては、以下のようなものがあります。
- 関連性の高いコンテンツ提供
- 定期的なメールマーケティング
- 個別のフォローアップ
ここでの目標は、自社製品やサービスに対する理解を深め、その価値を認識してもらうことです。
リードクオリフィケーション(Lead Qualification:リード選別)
獲得した全てのリードが購買に結びつくわけではありません。営業活動をより効率的に行うために必要なプロセスが、リードクオリフィケーションです。
リードクオリフィケーションでは、リードの中から、実際に商談に誘導する価値がある、確度の高いリード(ホットリード)を選別します。ホットリードに対して、購買意欲の低いリードをコールドリードといいます。
リードのニーズ、予算、購買権限、タイミングなど、さまざまな要素を数値化し、スコアリングします。その数値的な分析に基づいて選別されたホットリードを営業部門に引き渡します。
営業活動・商談
選別されたリードに対して、製品デモの提供、カスタマイズされた提案の作成、価格交渉などの具体的な営業活動を開始するフェーズです。
この段階で大切なのは、顧客のニーズに対する深い理解と、顧客の課題解決策としての製品やサービスの価値を明確に伝えることです。商談の成功確率を高めるためには、マーケティング部門と営業部門の連携が求められます。
受注
営業活動と商談を経て、顧客からの受注に成功したとします。
その後は顧客満足を最優先に考え、契約条件の確認、注文処理、製品やサービスの提供などがスムーズに進行するように管理することが重要です。
初回の注文で積極的に顧客に関与し、高い顧客満足度を得ることが、長期的な関係構築のための基盤となります。
リピート・継続購入
マーケターの仕事は、営業に引き渡すまでで終わりではありません。顧客との関係性を維持し、リピート購入や継続的なビジネスに繋げることが、BtoBマーケティングでは重視されます。
- カスタマーサクセスの取り組みを通じて顧客をサポート
- 定期的なコミュニケーションを保つ
- 新たなニーズを発掘し、アップセル、クロスセルにつなげる
この過程で非常に重要な指標の一つがLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)です。LTVは、顧客が全期間にわたって、どれだけの価値を生み出してくれるかを示します。
1回の注文は少額でも、リピート・継続されることで大きな価値となります。特にサブスクリプション型のサービスの場合は、いかに解約を防ぎ、中長期的に継続意欲を保つかが重要です。
顧客が直面する可能性のある問題を先回りして解決することで、LTVの最大化につながり、双方にとって価値ある長期的な関係を築けます。
BtoBマーケティング戦略策定ステップの解説
BtoBマーケティング戦略を策定する方法を、4つの手順にわけで解説します。
- 顧客理解を深める
- 市場環境・自社の状況を理解する
- マーケティング施策・手法を選ぶ
- PDCAサイクルを回す(施策実行・効果測定・改善)
顧客理解を深める
顧客理解を深めることは、BtoBマーケティング戦略の基礎を築く最初のステップです。
顧客がなぜ自社の製品を選ぶべきなのか、バリュープロポジション(顧客に提供する価値)を確立することからスタートします。顧客理解なくしてマーケティングは不可能です。
市場調査やデータ分析を行い、ターゲットとなる顧客群の特性、ニーズ、挑戦、購買行動を把握します。顧客への深い理解があれば、より効果的なコミュニケーション戦略を立て、顧客の問題を解決する製品やサービスを提案することができるでしょう。
まずはひとつに絞らず、考えうるターゲット層を複数洗い出してみてください。
ペルソナの作成
顧客理解を深める手法として、ペルソナマーケティングがあります。ペルソナ(persona)とは、理想の顧客像の粒度を高め、具体的に定義した架空の人物のことです。
実際の顧客データや市場調査から、性別、年齢、職業、年収などの属性や、性格、価値観など意思決定にかかわる内面的要因を想定します。たとえば、以下のような例が挙げられます。
項目 | 作成例 |
ペルソナ名 | ITイノベーションマネージャー・Aさん |
年齢・役職 | 35歳、中堅企業のIT部門マネージャー |
業界 | 製造業 |
課題 | 既存のITインフラが古く、生産性の向上やコスト削減を実現するための新しい技術導入を模索している |
情報収集方法 | 専門の業界誌、オンラインフォーラム、同業他社のケーススタディ |
購買決定の動機 | 技術の先進性、コストパフォーマンス、導入後のサポート体制 |
ターゲット顧客の代表的なプロファイルを作成することにより、訴求メッセージの精度向上や顧客ニーズに合わせた手法選択に役立ちます。
ペルソナの作り方と押さえるべきポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。
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市場環境・自社の状況を理解する
次に、市場環境と自社の現状を正確に把握しましょう。複数あるターゲット市場のセグメンテーション(市場細分化)を行い、自社がどのセグメントを狙うべきか、その市場規模はどれくらいかを確認します。そして、現在どのような課題に直面しているかを洗い出す段階です。
顧客像と自社の特徴をかけ合わせて、成果創出や課題解決に最も効果的と考えられるセグメントを選択しましょう。
役立つフレームワーク
市場環境と自社の状況を理解するためには、以下のフレームワークが役立ちます。
種類 | 分析の切り口 | 何に役立つか |
STP分析 | ・市場細分化(Segmentation) ・市場の絞り込み(Targeting) ・ポジショニング設計(Positioning) |
・マーケティングの基本戦略を立てるのに役立つ |
PEST分析 | ・政治(Political) ・経済(Economic) ・社会(Social) ・技術(Technological) |
・ビジネスを取り巻く外部環境をマクロで把握できる ・新市場進出時や、長期的な戦略策定時に有用 |
3C分析 | ・企業(Company) ・顧客(Customers) ・競合(Competitors) |
・戦略の基礎となる内部と外部の要因を把握できる ・他の分析や客観的なデータと組み合わせて活用 |
SWOT分析 | ・自社の強み(Strengths) ・自社の弱み(Weaknesses) ・機会(Opportunities) ・脅威(Threats) |
・内部/外部双方から課題を明確にする ・ビジネス機会の発見やリスクの特定に有用 |
5F(ファイブフォース:5つの力)分析 | ・業界内の競合他社 ・買い手の交渉力 ・売り手の交渉力 ・代替品の脅威 ・新規参入の脅威 |
・業界内の競争の構造が理解できる ・業界への参入障壁や、競争優位を確立するための方策を検討するのに役立つ |
課題・戦略の目的・目標の明確化
次に、抱えている課題の本質や、戦略の目的・目標を明確にしましょう。
目的・目標が不明瞭だと、方向性がぶれたり、打ち出す戦略の評価が正しく行えなくなったりする可能性があります。 マーケティングを行うこと自体が目的になってはいけません。
目標は、SMARTの法則に基づいて設定しましょう。
- Specific(具体的に)
- Measurable(測定可能な)
- Achievable(達成可能な)
- Related(経営目標に関連した)
- Time-bound(時間制約がある・期限がある)
KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)の設定
KGIとは、ビジネスの長期的な成功を測るための目標達成指標です。
収益増加、市場シェアの拡大、顧客満足度の向上などのビジネス目標に、マーケティング活動がどの程度貢献しているかを測定できます。
KGIは戦略全体の指針です。マーケティング部門や営業部門がフォーカスすべき主要な成果を見つけ出すことができます。
特定の顧客にフォーカスする戦略「ABM」とは
ABM(アカウントベースドマーケティング)は、特定のターゲット企業(アカウント)に焦点を当てたマーケティング戦略です。
従来のマーケティングが広範なターゲットに向けた活動であるのに対し、ABMでは特に重要なターゲット顧客にパーソナライズされた戦略やメッセージを展開するのが特徴です。広告費やコンテンツの無駄打ちが減る分、高いROI(投資利益率)を実現しやすい戦略です。
ただし、リソースを集中投下するため、それだけ大きな利益を生む可能性が高い顧客が対象でなければなりません。自社商品のターゲットが大手企業などの場合には、特に有用な戦略です。
マーケティング施策・手法を選ぶ
課題・目的・目標が明確になったところで、それらを達成するために最も効果的なマーケティング施策を検討します。
たとえば目的がリード獲得であれば、SEO対策、SNS活用、コンテンツマーケティングや広告などが候補として考えられます。はじめに分析した顧客ニーズや自社の特性、競合の状況を踏まえて、適切な手法を選択しましょう。
具体的な施策の例については次の項目でご紹介します。
カスタマージャーニーマップの作成
カスタマージャーニーマップとは、顧客が製品やサービスの購入に至るまでのプロセスを視覚化したマップです。顧客がどのタッチポイントでブランドと接触し、どのような経験をするかを書き出します。
マーケティング戦略全体の流れを俯瞰で把握したり、顧客視点から戦略を見直し、顧客体験を最適化したりするために活用できます。
(作成例)
タッチポイント | 顧客の行動 | 施策例 | |
認知 | ・検索エンジン ・SNS ・広告 ・口コミ |
・問題の認識 ・解決策の検索開始 |
・ノウハウ系コンテンツ(ホワイトペーパー・動画など) ・お役立ち情報の発信(記事・SNSなど) ・SEOによる潜在ニーズ掘り起こし |
情報収集 | ・LP ・サービスページ ・セミナー・ウェビナー |
・情報収集 ・資料請求 |
・サービス紹介資料 ・導入事例 ・お客様の声 ・製品関連のセミナー・ウェビナー |
比較検討 | ・Webサイト ・電話 ・メール ・商談(オンライン/対面) |
・問い合わせ ・見積り |
・営業資料 ・意思決定や社内稟議に役立つ資料の提供 |
購入 | ・カスタマーサクセス | ・利用開始 ・不明点の解消 |
・スムーズな導入に役立つ情報提供 ・FAQ ・フォローアップメール |
KPI(Key Performance Indicator:業績評価指標)の設定
KPIとは、マーケティング活動の成果を測定し、評価するための指標です。具体的なKPIには、リードの数、CPA、コンバージョン率(CVR)メールマーケティングの開封率やクリック率、受注率などがあります。
これらの指標を定期的に測定・分析が、マーケティング活動の効果の客観的評価に寄与します。
KPIの設定は、マーケティング施策の目標達成度を把握し、継続的な改善につなげるために不可欠です。
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PDCAサイクルを回す(施策実行・効果測定・改善)
PDCAサイクルは、BtoBマーケティング戦略の実行、効果測定、そして改善を継続的に行うためのフレームワークです。このサイクルを用いることで、ビジネスはマーケティング活動をより効率的かつ効果的に管理し、持続的な成長を実現することができます。
PDCAのフローは以下の通りです。
- Plan(計画):マーケティング目標を定義し、達成するための戦略と具体的なアクションプランを立案します。
- Do(実行):立案したプランに従って、マーケティング施策を実施します。この段階で重要なのは、計画通りに活動を進めることと、必要なデータやフィードバックを収集することです。
- Check(評価):実施した施策の効果を評価します。設定したKPIやその他の業績評価指標を用いて、目標に対する進捗状況を測定し、成果を分析します。
- Act(改善):評価の結果をもとに、施策の改善点を特定し、次のサイクルでの計画にフィードバックします。時には戦略を見直すこともあります。このプロセスを通じて、戦略やアクションプランを継続的に最適化していきます。
PDCAサイクルを効果的に回すことで、BtoBマーケティング活動は常に進化し続け、市場の変化や顧客ニーズの変動に迅速に対応できるようになります。
BtoBマーケティング施策・手法の具体例
BtoBマーケティングでは、ターゲットとなるビジネス顧客に対して、製品やサービスの価値を効果的に伝え、長期的な関係を築くための戦略的なアプローチが必要です。以下は、BtoBマーケティングを強化するための主要な施策と手法の具体例です。
SEO対策
SEO(検索エンジン最適化)は、ターゲット顧客がオンラインで情報を検索する際に、自社のウェブサイトやコンテンツが上位に表示されるようにウェブサイトの構造や内容を最適化する集客戦略です。
具体的には、キーワードリサーチによってターゲット顧客の検索傾向を把握し、そのキーワードを用いた質の高いコンテンツの作成や、ウェブサイトの技術的な最適化を行います。
リードジェネレーションやブランド認知度の向上が期待できます。特に、検索という能動的な情報収集を行っているリードは、購買につながりやすいホットリードである可能性が期待できます。
ランディングページ
ランディングページ(LP)は、特定のキャンペーンやプロモーションに関連するウェブページで、問い合わせや資料請求などのコンバージョンへ誘導することを目的としています。
訪問者のニーズや疑問に直接応える内容で、明確なCTA(コールトゥアクション:行動喚起。問い合わせなど、次にしてほしい行動へ誘導すること)を提供し、訪問者にアクションを促します。そのため、カスタマージャーニーやペルソナ分析に基づいた丁寧な導線設計が求められます。
SNS運用
SNSは、BtoBにおいても強力なツールです。ターゲット市場とのエンゲージメントを深め、ブランドの認知度を高めるために役立ちます。
X(Twitter)、LinkedIn、Facebook、Instagramなどのプラットフォームを活用して、業界の最新情報、製品アップデート、カスタマーケーススタディなどの価値あるコンテンツを共有します。また、顧客や業界関係者とのコミュニケーションを通じて、信頼関係を作り出し、リードナーチャリングに貢献します。
オウンドメディア
オウンドメディアとは、企業が自ら所有しコントロールするコンテンツプラットフォームのことです。ウェブサイト、ブログ、メールマガジンなどが含まれます。 自社の専門知識や価値提案を効果的に伝え、ターゲット顧客に対する教育や情報提供を行うことができます。
オウンドメディアのメリットは、SNSなどと比べてプラットフォームの制限を受けづらいため、世界観や価値観を自由に表現しやすいという点です。ブランディングや、ターゲット顧客とのコミュニケーションの場として活用できます。
また、SEO対策を施してターゲット顧客が検索しそうなキーワードで上位表示を狙えば、より精度の高いリード獲得が期待できます。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、業界の抱える課題解決や製品の利点を深く掘り下げた詳細なレポートです。 ダウンロード時に企業情報の入力を求めれば、その話題に関心を持っているリードの情報が獲得できます。
専門的な知識を要するBtoB市場において、ホワイトペーパーは信頼性の高い情報源として、リードジェネレーションやナーチャリングに大きな価値をもたらします。ホワイトペーパーを通じて特定の課題に対する解決策を提供することで、潜在顧客との関係を深め、最終的な購買決定に大きな影響を与えることができます。
オンライン広告
オンライン広告は、インターネット上に出稿する広告です。デジタル化が進む現代においてBtoBマーケティング戦略の中心となっています。以下に主なオンライン広告の種類をご紹介します。
種類 | 説明 |
リスティング広告 | キーワードに基づいて表示される広告で、検索エンジンを利用した情報収集を行うターゲットに直接アプローチできる。 |
ディスプレイ広告 | WebサイトやSNS上に表示される視覚的な広告。ブランド認知の向上や特定のペルソナへの訴求に有効。 |
SNS広告 | LinkedInやXなど、ターゲット顧客層がよく利用するプラットフォームで展開することで、特定の業界や役職に直接リーチすることが可能。 |
記事広告 | 専門性の高いコンテンツを通じて、製品やサービスの詳細情報を提供する。 リード獲得・ナーチャリングいずれも有用。 |
動画・音声広告 | 近年増加している形式。動画やポッドキャストを通じての認知獲得を図る。 |
オフライン広告
デジタルトランスフォーメーションが進む現在でも、オフライン広告は重要な役割を果たします。テレビや新聞などマスメディアの広告はマス広告とも呼ばれます。
ターゲット顧客へ訴求するうえで最も効果的なチャネルを選択しましょう。
種類 | 説明 |
テレビ・ラジオCM | 大規模な認知度向上やブランドイメージの構築に貢献。 BtoBにおいても、特定の産業や業界向けの専門チャンネルを通じて効果的にリーチできる。 他の施策と組み合わせ、認知獲得した後の対策を打つことで効果を発揮する。 |
交通広告 | 駅や空港、タクシーなど、ビジネスパーソンが頻繁に利用する交通手段に、デジタルサイネージなどの広告を配置する。 日常的な接点を通じて意識に留まりやすくなるほか、地域を限定した訴求が可能になる。 |
新聞・雑誌 | 紙媒体の方が信頼性が高く感じてもらえる、比較的記憶に残りやすいというメリットがある。 業界紙であれば特定の分野に関心のある層に絞ってリーチできる。 |
メールマーケティング(メールマガジン)
メールマーケティングもリードジェネレーション・リードナーチャリングに有効な手法です。
定期的なメールマガジンの配信により、製品情報や業界の最新ニュース、ケーススタディを提供することができます。ターゲットの属性別に関心を持ちそうなコンテンツを紹介し、閲覧を促すことも可能です。顧客との信頼関係を築き、長期的な関係構築へと導きます。
セミナー・ウェビナー
対面式セミナーやオンラインでのウェビナーは、製品やサービスの魅力を直接伝える絶好の機会です。顔が見えることでより情報が伝わり、信頼も獲得しやすくなります。
セミナーやウェビナーの参加者は、テーマに関心を持ち積極的に情報を得ようとしています。そのような参加者に、開催者として価値ある情報を提供できれば、自社への信頼が増すはずです。質疑応答を通じてさらなる課題を引き出すこともできるでしょう。
またウェビナーでは、地理的な制約を超えてより多くの潜在顧客にリーチすることができます。
展示会
展示会は、特定の業界内で製品やサービスを展示し、直接顧客との商談の場を設けるイベントです。
自社プロダクトをアピールできるほか、競合分析・業界トレンドの把握にも役立ちます。名刺交換により、良質なリストも獲得できるでしょう。直接的な対面コミュニケーションで顧客のニーズを深掘りすることもできます。また、製品やサービスに対して即座にフィードバックを得られる点も大きなメリットです。
テレアポ
テレアポは、電話を使用した直接的な営業活動です。特に新規顧客の開拓やアポイントメントの設定に有効です。
適切なリードに対してピンポイントでアプローチすることで、効率的にアポイントメントを獲得し、成約率の向上につなげることができます。
【詳しくはこちらもお読みください】
>>> BtoBマーケティング施策・手法一覧│マーケティングを始めるための基礎知識解説
>>> BtoBリード獲得完全ガイド!効果的な戦略から成功事例まで徹底解説
BtoBマーケティングを効率化する方法
マーケティングに多くのリソースを割ける企業ばかりではありません。限られた中で成果を最大化するため、マーケティング活動を効率化する方法を紹介します。
マーケティングオートメーション(MA)の導入
マーケティングオートメーション(MA)は、リードクオリフィケーション、リードナーチャリング、Eメールキャンペーンなど、複数のマーケティングプロセスを自動化するシステムです。
単なる自動化だけでなく、開封率やコンテンツのクリック率などのデータ収集・分析機能も併せ持つツールが多いため、データドリブンで効率的なアプローチが簡単に実現できます。 作業効率を高めるだけでなく属人化も防ぐことで、マーケティング成果の最大化につなげます。
デジタルマーケティングの導入
デジタルマーケティングは、Webサイト、SEO、ソーシャルメディア、Eメールマーケティングなど、デジタルチャネルを利用したマーケティング活動を指します。
コロナ禍を経てますますデジタル化は加速し、顧客の情報収集手段やタッチポイントの大半がオンラインになりました。
デジタルマーケティングの大きなメリットのひとつは、圧倒的なコスト効率の高さです。SNSやコンテンツを活用すれば、低コストで幅広いターゲット層へリーチできます。また、リスティング広告などもターゲットを絞って運用できるため、無駄打ちを防ぐことができます。
また、Googleアナリティクスなどのツールで顧客行動などのデータ収集・分析が可能なため、施策効果の評価・最適化を迅速に行える点も大きな利点です。
コンテンツマーケティングの活用
ブログ記事、ホワイトペーパー、カスタマーケーススタディ、インフォグラフィックなどの有益なコンテンツを制作・配信することで、見込み客の関心を引き、ブランドの専門性を示します。
初期投資は必要ですが、一度配信したコンテンツはリード獲得に貢献し続けるため、長期的に見ればROIの高い戦略であると言えます。
併せてコンテンツSEOを行うことで、検索エンジン経由のトラフィック増加も期待できます。
外注の利用
専門知識を持つ支援会社や制作会社を活用することもおすすめです。戦略策定のコンサルティングから依頼する、施策実行の一部分のみ代行を依頼するなど、状況にあわせてパートナーを選択すると良いでしょう。
人材問題を解決し、戦略立案から実行までの時間短縮と、専門的なスキルを活用したポイントを抑えたマーケティング施策が可能になります。
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BtoBマーケティングの成功事例
BtoBマーケティングの進め方については、他社の成功事例が参考になります。自社のビジネスモデルに合う手法や考え方は、積極的に取り入れましょう。
株式会社ロジクエスト:インサイドセールス導入で脱・属人化
画像出典:株式会社ロジクエスト公式サイト
ドライバー不足に悩む企業から、配送業務の委託などを受けている株式会社ロジクエストの事例です。
項目 | 説明 |
運営会社 | 株式会社ロジクエスト |
特徴 | インハウス型のインサイドセールス部隊を立ち上げ、顧客の一元管理のためにMAツールの「SATORI」を導入。 マーケティングに力を入れたことでWeb反響数が10倍、アポ獲得も3倍以上の効率化を実現した。 |
ロジクエストは、テレアポや飛び込み営業中心の属人的な顧客獲得方法が主で、マーケティングに取り組めていないという課題を抱えていました。
そこで、インサイドセールス部門を立ち上げ、MAツールの「SATORI」を導入。見込み顧客を一元管理できるようになり、属人化の解消と適切なタイミングでの効率的なアプローチを可能にしました。
その結果、アポイントの獲得数3倍以上という成果を創出しています。
株式会社キーエンス:ニッチなオウンドメディア戦略
バーコードリーダーや画像処理機器などの精密機器の開発と製造販売を行う株式会社キーエンスの事例です。
項目 | 説明 |
運営会社 | 株式会社キーエンス |
特徴 | ・工業事業の管理者や設計者向けに、バーコードの知識などニッチな分野のノウハウを解説するコンテンツを発信。 ・メディア内には網羅性の高い資料(ebook)ダウンロードの導線設計も。 ・ebookのダウンロードには会員登録が必要。 |
マッキンゼー社:コンテンツでリード獲得する導線設計
引用元:マッキンゼー社 公式サイト
アメリカに本社があるグローバルなコンサルティング会社であるMcKinsey & Company社の事例です。
項目 | 説明 |
運営会社 | McKinsey & Company社(マッキンゼー社) |
特徴 | ・ビジネスや経営のエキスパート達がさまざまな市場の最新トレンドを発信。 ・音声エピソードはテキスト化してブログ記事としても転用。 ・記事ページには、関連するテーマのメルマガ登録ボタンを設置。 ・リードとの接点を複数用意し、流入してきた人をしっかりと掴む流れが構築されている。 |
マッキンゼー社は、「The McKinsey Podcast」をはじめ、テーマに特化した複数のポッドキャスト番組の配信を行っています。
主に企業の役員や経営者、管理者に向けた良質なコンテンツを配信することで、信頼性を高め、リードジェネレーション、リードナーチャリングを行っています。
番組の内容はテキスト化されているため、自然検索からの流入や、音よりも文字の情報収集を好む層へのリーチも期待できます。
テーマに関連するニュースレター(メルマガ)への登録を促すCTAも設置されるなど、戦略的な運用がされています。
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まとめ
BtoBマーケティングの目的は、売上をアップさせることです。売上をアップさせるには、一連のマーケティング戦略を通じて、いかに多くの顧客を獲得できるかが鍵となります。
SEO対策やセミナー、オンライン広告など、BtoBマーケティングの手法は多岐にわたります。全てを一度に進めるのは現実的ではありません。BtoBマーケティングを効率的に行うためには、自社のビジネスモデルにあった手法を選定し、戦略に落とし込む必要があります。
同じ手法でもターゲットが潜在層か、顕在層かによって取り組む方向性も変わるため、戦略策定にはマーケティングのノウハウが必要です。
効率を最大化するためにも、CRM・SFAなどのツールや、外部委託なども取り入れて、BtoBマーケティングを推進していきましょう。
Submarineでは伴走サポートで、BtoBマーケティングの課題を解決しています。BtoBマーケティングの専門家として、この記事のほかにも詳しい解説記事を公開していますので是非ご一読ください。